コラム
2007年03月28日
新人材バンク構想と世代間の不公平
フジサンケイ ビジネスアイによれば
さらに、実現までは紆余曲折が予想されている
この構想は、談合などの悪しき官民癒着や非効率な外郭団体を誘発する天下りを廃したいという目的だろう
なぜ、この当たり前の願望を実現するのに、ここまでもめるのだろう
正論の例を述べれば、
・公務員の再就職の可能性を不当に狭めてしまう
・優秀な人材の再配置が進まないのは社会的損失
というところだろうか続きを読む
安倍晋三首相は「新人材バンクを可能な限り早期に立ち上げ、設置後3年以内に完全な一元化を実現したい」と明言したということだ
さらに、実現までは紆余曲折が予想されている
この構想は、談合などの悪しき官民癒着や非効率な外郭団体を誘発する天下りを廃したいという目的だろう
なぜ、この当たり前の願望を実現するのに、ここまでもめるのだろう
正論の例を述べれば、
・公務員の再就職の可能性を不当に狭めてしまう
・優秀な人材の再配置が進まないのは社会的損失
というところだろうか続きを読む
2007年03月14日
これで半導体製造技術も中国へ流出する危険
インテルが中国に前工程の工場を持つ見通しであるとCNETが報じている
新工場は300mmウエハ上に90nmプロセスというから、インテルにしても2世代前の世代の技術だ
しかし、これを悲観する半導体企業は少なくないだろう
インテルにとって2世代前の技術といっても、それはMPUの世界の話
MPUにとっては45nmが最先端でも、LSIなら90nmでも立派な設備、65nmでもまだ現役だろう
ましてやICとなれば、一桁大きなデザイン・ルールでも十分にやっていける
問題はこのような技術が国境を越えて後発国へ渡ることだ
記事では国防の観点の議論がなされているが、問題は国防だけではない
もちろんこれによって中国がすぐさまローエンドMPUを作れるようになるとは考えにくい
しかし、この技術はすぐにLSIやICの世界に浸透していくだろう
半導体前工程は資本集約的なプロセスだから、中国に工場を作ったから目覚しい有利性があるとはいえない
しかし、同時に大きな消費市場である中国に前工程の技術が渡ることは、半導体産業にとっては看過できないだろう
新工場は300mmウエハ上に90nmプロセスというから、インテルにしても2世代前の世代の技術だ
しかし、これを悲観する半導体企業は少なくないだろう
インテルにとって2世代前の技術といっても、それはMPUの世界の話
MPUにとっては45nmが最先端でも、LSIなら90nmでも立派な設備、65nmでもまだ現役だろう
ましてやICとなれば、一桁大きなデザイン・ルールでも十分にやっていける
問題はこのような技術が国境を越えて後発国へ渡ることだ
記事では国防の観点の議論がなされているが、問題は国防だけではない
もちろんこれによって中国がすぐさまローエンドMPUを作れるようになるとは考えにくい
しかし、この技術はすぐにLSIやICの世界に浸透していくだろう
半導体前工程は資本集約的なプロセスだから、中国に工場を作ったから目覚しい有利性があるとはいえない
しかし、同時に大きな消費市場である中国に前工程の技術が渡ることは、半導体産業にとっては看過できないだろう
第三者割当増資の是非
今日の日本経済新聞のコラム「大機小機」に「第三者割当増資のない世界」という文章が載っている
英米では第三者割当増資がほとんど行われないことを解説している
なぜか
希薄化や支配比率低下を避けるというのもあろうが、このコラムでは次のように断じる
株主が個人および個人のために厳格な受託者責任を負うべき機関投資家である以上、そうした個人中心の社会のあり方を変えてはならないとの社会の合意ないし規範意識
とても難しい言葉だが、私の受け止め方は、
・株主は個人、または個人の代理たる機関投資家
・投資家たる個人の利益を守ることが株主の立場
・ならば、企業のエゴの権化のごとき第三者割当増資は避けるべき
ということではないか
企業が不振で多額の債務を抱えているとき、支援のために第三者割当増資を受けることがある
これは、既存株主にもメリットのある取引だ
しかし、この場合も、せめて債務免除を勝ち取るぐらいの努力の上で、第三者割当増資を行ってほしいものだ
そうでないと、既存株主が支配権を薄めるというデメリットを避けられない
こういう意識を投資家がきちんと持つことが大切だ
そうでないと、北越製紙のように、王子製紙から買収提案を受けたから三菱商事に増資を引き受けてもらうようなことが許されてしまうだろう
第三者割当増資にも作法が必要ということだ
英米では第三者割当増資がほとんど行われないことを解説している
なぜか
希薄化や支配比率低下を避けるというのもあろうが、このコラムでは次のように断じる
株主が個人および個人のために厳格な受託者責任を負うべき機関投資家である以上、そうした個人中心の社会のあり方を変えてはならないとの社会の合意ないし規範意識
とても難しい言葉だが、私の受け止め方は、
・株主は個人、または個人の代理たる機関投資家
・投資家たる個人の利益を守ることが株主の立場
・ならば、企業のエゴの権化のごとき第三者割当増資は避けるべき
ということではないか
企業が不振で多額の債務を抱えているとき、支援のために第三者割当増資を受けることがある
これは、既存株主にもメリットのある取引だ
しかし、この場合も、せめて債務免除を勝ち取るぐらいの努力の上で、第三者割当増資を行ってほしいものだ
そうでないと、既存株主が支配権を薄めるというデメリットを避けられない
こういう意識を投資家がきちんと持つことが大切だ
そうでないと、北越製紙のように、王子製紙から買収提案を受けたから三菱商事に増資を引き受けてもらうようなことが許されてしまうだろう
第三者割当増資にも作法が必要ということだ
2007年03月13日
Debt HolderとEquity Holderの利益相反
本日の日本経済新聞「一目均衡」欄に編集委員、前田昌孝氏の「銀行の証券業務の限界」というコラムが載っている
これは、日産ディーゼルが行った一連のファイナンス取引についての意見だ
日産ディーゼルは2005年12月に一株824円の公募増資を行った
そして、ボルボが一株540円でTOBをかけている
単純計算で、公募増資に応じた株主の損失は176億円になると言うのだ
前田氏が問題とするのは、日産ディーゼルの経営陣メンバーに大きな変動はなく、大幅な株安の責任を負った形跡がないことだ
そして、日産ディーゼルの取締役1名、監査役3名はみずほグループの出身である
みずほグループは、一連の取引でどのような利益を得たのだろう
実は日産ディーゼルは2003年に転換権付優先株を発行し、その一部をみずほコーポレート銀行が引き受けている
この転換権付優先株は、優先配当と株式の希薄化をいやがる日産ディーゼルによって買入消却されている
それによって、みずほコーポレート銀行は巨額のキャピタル・ゲインを得ている
さらに、2005年の公募増資でもみずほ証券は主幹事、今回のTOBでも財務アドバイザーを務め、少なからぬフィー収入があった
いや、フィーなどはたいした話ではなく、それぞれの取引における転換価格・取引価格に強い影響力を持ったことが問題なのだ
お金に色はないから、優先株の消却のためのキャッシュの一部は公募増資による手取り金であったと考えるのが自然だろう
そうだとすれば、みずほグループは、
優先株の投資資金を回収するために公募増資を仕組んだ
と陰口を叩かれかねない
ここで、より先鋭な話をするため、仮想の話をしよう
上の優先株が、優先株ではなく貸金だったらどうだろう
銀行からの貸金を回収するために公募増資をさせた
公募増資の価格より大幅に低い株価でのTOBを許した
仮にこうであったなら、一般株主への配慮のかけらもない取引であったことが露骨に感じられよう
これは、いわゆるDebt HolderとEquity Holderの利益相反と呼ばれるものだ
転換権付優先株はDebtとEquityの中間、いわゆるHybrid証券と言えるから、本件では、HybridとEquityの間で利益相反が生じたということだ
前田氏が言わんとすることは、みずほグループが銀行由来の金融グループであり、債権者としての権威をもって発行体に影響力を及ぼすことのリスクを説いたものだろう
債権者である銀行が債務者に影響力を行使し、経営者を派遣する
そのグループの証券会社が、債務者が発行体となるEquity Financeで価格への強い発言権を持つ
また、銀行がその発行体に同時にEquity Positionを持つ
このような構図が、今回の一連の流れである
私は、みずほグループや日産ディーゼルが悪意を持って一連の取引を行ったとは考えない
彼らはその時々の彼らの使命に忠実に行動しただけだろう
そして、うまく行った
しかも、そのリターンは莫大な金額だった
ただそれだけだ
しかし、上記のような利益相反の危険がある以上、それぞれの取引におけるチーム編成についてもう少し配慮の余地はなかったのか
皮肉なものだが、みずほ系の会社だからこそ、みずほグループ以外の金融機関を雇うというような度量も欲しいところだ
これは、日産ディーゼルが行った一連のファイナンス取引についての意見だ
日産ディーゼルは2005年12月に一株824円の公募増資を行った
そして、ボルボが一株540円でTOBをかけている
単純計算で、公募増資に応じた株主の損失は176億円になると言うのだ
前田氏が問題とするのは、日産ディーゼルの経営陣メンバーに大きな変動はなく、大幅な株安の責任を負った形跡がないことだ
そして、日産ディーゼルの取締役1名、監査役3名はみずほグループの出身である
みずほグループは、一連の取引でどのような利益を得たのだろう
実は日産ディーゼルは2003年に転換権付優先株を発行し、その一部をみずほコーポレート銀行が引き受けている
この転換権付優先株は、優先配当と株式の希薄化をいやがる日産ディーゼルによって買入消却されている
それによって、みずほコーポレート銀行は巨額のキャピタル・ゲインを得ている
さらに、2005年の公募増資でもみずほ証券は主幹事、今回のTOBでも財務アドバイザーを務め、少なからぬフィー収入があった
いや、フィーなどはたいした話ではなく、それぞれの取引における転換価格・取引価格に強い影響力を持ったことが問題なのだ
お金に色はないから、優先株の消却のためのキャッシュの一部は公募増資による手取り金であったと考えるのが自然だろう
そうだとすれば、みずほグループは、
優先株の投資資金を回収するために公募増資を仕組んだ
と陰口を叩かれかねない
ここで、より先鋭な話をするため、仮想の話をしよう
上の優先株が、優先株ではなく貸金だったらどうだろう
銀行からの貸金を回収するために公募増資をさせた
公募増資の価格より大幅に低い株価でのTOBを許した
仮にこうであったなら、一般株主への配慮のかけらもない取引であったことが露骨に感じられよう
これは、いわゆるDebt HolderとEquity Holderの利益相反と呼ばれるものだ
転換権付優先株はDebtとEquityの中間、いわゆるHybrid証券と言えるから、本件では、HybridとEquityの間で利益相反が生じたということだ
前田氏が言わんとすることは、みずほグループが銀行由来の金融グループであり、債権者としての権威をもって発行体に影響力を及ぼすことのリスクを説いたものだろう
債権者である銀行が債務者に影響力を行使し、経営者を派遣する
そのグループの証券会社が、債務者が発行体となるEquity Financeで価格への強い発言権を持つ
また、銀行がその発行体に同時にEquity Positionを持つ
このような構図が、今回の一連の流れである
私は、みずほグループや日産ディーゼルが悪意を持って一連の取引を行ったとは考えない
彼らはその時々の彼らの使命に忠実に行動しただけだろう
そして、うまく行った
しかも、そのリターンは莫大な金額だった
ただそれだけだ
しかし、上記のような利益相反の危険がある以上、それぞれの取引におけるチーム編成についてもう少し配慮の余地はなかったのか
皮肉なものだが、みずほ系の会社だからこそ、みずほグループ以外の金融機関を雇うというような度量も欲しいところだ
投資家保護で苦渋の決断?
2007年03月12日
平成19年度の税制改正法案における法人所得課税における減価償却制度の見直し
(1) 残存価額の廃止
4月1日以後に取得する償却資産は残存価額を廃止
定率法の償却率は、定額法の償却率(=1/耐用年数)を2.5倍した数とする
(2) 償却可能限度額の廃止
・4月1日以後に取得する償却資産は、1円(備忘価額)まで償却
定率法の場合には、定率法により計算した減価償却費が一定の金額を下回るときに、償却方法を定率法から定額法に切り替えて計算
「一定の金額」とは、耐用年数から経過年数を控除した期間内に、その時の帳簿価額を均等償却すると仮定して計算した金額
ただし、納税者の事務負担を考慮し、耐用年数ごとに一定の割合を定めておく
・3月31日以前に取得した償却資産については、償却可能限度額(取得価額の95%)まで償却した事業年度等の翌事業年度以後5年間で均等償却
(3) 法定耐用年数の見直し
・FPD製造設備 10→5年
・フラットパネル用フィルム材料製造設備 10→5年
・半導体用フォトレジスト製造設備 8→5年
4月1日以後に取得する償却資産は残存価額を廃止
定率法の償却率は、定額法の償却率(=1/耐用年数)を2.5倍した数とする
(2) 償却可能限度額の廃止
・4月1日以後に取得する償却資産は、1円(備忘価額)まで償却
定率法の場合には、定率法により計算した減価償却費が一定の金額を下回るときに、償却方法を定率法から定額法に切り替えて計算
「一定の金額」とは、耐用年数から経過年数を控除した期間内に、その時の帳簿価額を均等償却すると仮定して計算した金額
ただし、納税者の事務負担を考慮し、耐用年数ごとに一定の割合を定めておく
・3月31日以前に取得した償却資産については、償却可能限度額(取得価額の95%)まで償却した事業年度等の翌事業年度以後5年間で均等償却
(3) 法定耐用年数の見直し
・FPD製造設備 10→5年
・フラットパネル用フィルム材料製造設備 10→5年
・半導体用フォトレジスト製造設備 8→5年
重要提案行為等とは
近年、アクティビストの投資ファンドが保有する株式の発行体に対してさまざまな提案を行い話題となっている
ファンドと経営が敵対的になった場合よくきかれる経営者の愚痴は、
大量保有報告書では純投資としていながら
このような経営への口出しをするのはいかがなものか
である
この言い分を受けて、2006年12月8日の証券取引法施行令では次のように「重要提案行為等」を定めている
第14条の8の2
1 重要な財産の処分又は譲受け
2 多額の借財
3 代表取締役の選定又は解職
4 役員の構成の重要な変更(役員の数又は任期に係る重要な変更を含む。)
5 支配人その他の重要な使用人の選任又は解任
6 支店その他の重要な組織の設置、変更又は廃止
7 株式交換、株式移転、会社の分割又は合併
8 事業の全部又は一部の譲渡、譲受け、休止又は廃止
9 配当に関する方針の重要な変更
10 資本金の増加又は減少に関する方針の重要な変更
11 その発行する有価証券の取引所有価証券市場における上場の廃止又は店頭売買有価証券市場における登録の取消し
12 その発行する有価証券の取引所有価証券市場への上場又は店頭売買有価証券登録原簿への登録
13 その他前各号に準ずるものとして内閣府令で定める事項
この重要提案行為等を行う場合には、投資ファンドであっても大量保有報告を特例報告(機関投資家向けに軽減された報告頻度)とできなくなるとされた
ファンドと経営が敵対的になった場合よくきかれる経営者の愚痴は、
大量保有報告書では純投資としていながら
このような経営への口出しをするのはいかがなものか
である
この言い分を受けて、2006年12月8日の証券取引法施行令では次のように「重要提案行為等」を定めている
第14条の8の2
1 重要な財産の処分又は譲受け
2 多額の借財
3 代表取締役の選定又は解職
4 役員の構成の重要な変更(役員の数又は任期に係る重要な変更を含む。)
5 支配人その他の重要な使用人の選任又は解任
6 支店その他の重要な組織の設置、変更又は廃止
7 株式交換、株式移転、会社の分割又は合併
8 事業の全部又は一部の譲渡、譲受け、休止又は廃止
9 配当に関する方針の重要な変更
10 資本金の増加又は減少に関する方針の重要な変更
11 その発行する有価証券の取引所有価証券市場における上場の廃止又は店頭売買有価証券市場における登録の取消し
12 その発行する有価証券の取引所有価証券市場への上場又は店頭売買有価証券登録原簿への登録
13 その他前各号に準ずるものとして内閣府令で定める事項
この重要提案行為等を行う場合には、投資ファンドであっても大量保有報告を特例報告(機関投資家向けに軽減された報告頻度)とできなくなるとされた
TOBにおける少数株主の保護: 全部買付義務
以前はTOB(株式公開買付)においては、買付予定株数を自在に定めることができた
ある株数に満たなければTOBを不成立にしたり、ある株主数を超えれば超えた部分の買付義務はなかった
ところが、このようなことを許すと、買収者は2/3の株式をTOBで取得し、その後は発行体の株主総会においていかなる特別決議も承認することができる
これではTOBに応じながら買い取ってもらえなかった株主に不利益を生じる
そこで証券取引法が改正され、2006年12月より2/3以上の買付予定株数のTOBでは全部買付義務を課すこととなった
買付義務の範囲は普通株のみではなく、転換権付優先株・CB・ワラント等も含まれるものと解されている
ある株数に満たなければTOBを不成立にしたり、ある株主数を超えれば超えた部分の買付義務はなかった
ところが、このようなことを許すと、買収者は2/3の株式をTOBで取得し、その後は発行体の株主総会においていかなる特別決議も承認することができる
これではTOBに応じながら買い取ってもらえなかった株主に不利益を生じる
そこで証券取引法が改正され、2006年12月より2/3以上の買付予定株数のTOBでは全部買付義務を課すこととなった
買付義務の範囲は普通株のみではなく、転換権付優先株・CB・ワラント等も含まれるものと解されている
2007年03月04日
行政の不作為:持株会社制度
独占禁止法が改正され純粋持株会社が解禁されてから10年だ
独占禁止法は内閣府の外局であり、純粋持株会社解禁を働きかけたのは経済産業省だろう
経済産業省は、国内産業の過当競争を避け、国際競争力を回復するために持株会社を解禁したかったのである
本日の日本経済新聞のトップ記事は、公共事業に持株会社が入札しやすくするよう国土交通省が検討しているというものだ
こんなことを今検討しているとは、国土交通省とはどういう組織なのだろう
実に、純粋持株会社を解禁してから10年目のことである
なぜ純粋持株会社が再編に役立つのか
とかく多角化が進んだ日本の大企業では、複数の事業が渾然一体となっているがゆえにM&Aを図りにくかった
大企業の一部事業を切り出し、営業譲渡の交渉を行うのは言うほど容易ではない
切り出された後の事業体の財務諸表がある程度の確度で予見できないと、買い手も売り手も買収対価などの意思決定がしにくいからである
また、多角化された事業が同一の人事制度にのっていることも、各事業分野の実態に合わない人件費を放置する原因となっていた
だから、持株会社化をして、あらかじめ事業別の会社に切り分けておく
そうすれば、その子会社を売却したり、合弁化すれば事足りるようになる
すでに会社として独立した財務成績を有しており、交渉における不透明性も少ない
ところが、ここで立ちはだかったのが行政の怠慢である
公共事業の入札に参加するためには入札資格が必要だ
これは、企業の各種業績に応じた経営審査点を取得し、公共事業の事業主体へ指名入札願いを届け出ることになる
経営審査点によって、入札できる工事のレベルが限定されるのだが、一般論として企業の規模が大きい方が有利である
このため2点の問題が起こる
まず、持株会社化の時点で、入札資格の断絶が起こること
持株会社化しても存続企業に入札資格が残るので、公共工事を業とする会社が存続会社でないと入札資格を失ってしまうのである
次に、会社を分割することで公共工事を業とする子会社の規模は元の会社より小さくなるため、経営審査点が下がること
たとえ入札資格を維持できても、経営審査点で不利になってしまう
この2つの問題を解決するために、公共工事事業の分割の際には先にノミナルな子会社を設立し、技術者などを所属させる
ある程度の経営審査点を取れれば指名入札願いを提出し、入札資格を得た上で子会社に公共工事事業を吸収分割させる
このような手立てを講じても、やはり不利に働いてしまうことに違いはない
金融の世界では、早くからこの問題に手立てが打たれていた
三公社の民営化などにおいて、国有財産である株式(例えばNTT株)が売り出しに出る場合などだ
財務省理財局は、引き受け証券会社を審査することになるが、この場合も規模や実績は重要なファクターである
このような審査においては、各金融グループは連結ベースでの審査となる
なぜ、金融の世界では先んじていたのか
それは、金融がグローバルな事業であるからだ
外資系証券会社が引き受けを営業する際に、仮に理財局が日本法人だけしか審査対象としなければ明らかに片手落ちだろう
NTT株式は海外でも売り出されている
海外での実績も勘案しなければ意味がない
自然と連結ベースの審査となる
ところが、極めてドメスティックな公共事業の世界では、このような視点は欠けている
監督官庁は国土交通省と地方自治体などであり、グローバルな視点はない
極めて硬直的な組織であり利権の温床であることだ
外資を導入する絶対的な必要性はないし、国内大企業や中小企業を助けたいという気持ちも働く
その国土交通省が重い腰を上げたのは、昨今の談合問題だ
この問題の根の深さは、談合が民間によるものというより、官製であるように見受けられる点にある
ゼネコン不況はもう15年も続いている
過当競争を防ぐための再編は必須であるが、会社分割がしにくい
ならば、過当競争を防ぐために、官が、民が、談合を行うのである
国土交通省が入札制度の改善を検討するのは望ましいことだ
談合は国民の財産を詐取する行為であり、許してはならない
適正な競争が存在し、過当とならないような環境整備が必要だ
この国土交通省の動きに遅れることなく、地方自治体などの公共事業の事業主体が運営を改めることが求められよう
企業の側も、ひとつの大きなリスクを認識すべきである
それは、金融の世界で起こっている現象だ
つまり、外資が参入する可能性である
もしも国土交通省がグローバルな連結を許すなら、あるいは、そういう圧力が海外から加われば、将来、外資の巨大企業が参入する可能性は高まる
実は、そこからが本当の競争なのである
独占禁止法は内閣府の外局であり、純粋持株会社解禁を働きかけたのは経済産業省だろう
経済産業省は、国内産業の過当競争を避け、国際競争力を回復するために持株会社を解禁したかったのである
本日の日本経済新聞のトップ記事は、公共事業に持株会社が入札しやすくするよう国土交通省が検討しているというものだ
こんなことを今検討しているとは、国土交通省とはどういう組織なのだろう
実に、純粋持株会社を解禁してから10年目のことである
なぜ純粋持株会社が再編に役立つのか
とかく多角化が進んだ日本の大企業では、複数の事業が渾然一体となっているがゆえにM&Aを図りにくかった
大企業の一部事業を切り出し、営業譲渡の交渉を行うのは言うほど容易ではない
切り出された後の事業体の財務諸表がある程度の確度で予見できないと、買い手も売り手も買収対価などの意思決定がしにくいからである
また、多角化された事業が同一の人事制度にのっていることも、各事業分野の実態に合わない人件費を放置する原因となっていた
だから、持株会社化をして、あらかじめ事業別の会社に切り分けておく
そうすれば、その子会社を売却したり、合弁化すれば事足りるようになる
すでに会社として独立した財務成績を有しており、交渉における不透明性も少ない
ところが、ここで立ちはだかったのが行政の怠慢である
公共事業の入札に参加するためには入札資格が必要だ
これは、企業の各種業績に応じた経営審査点を取得し、公共事業の事業主体へ指名入札願いを届け出ることになる
経営審査点によって、入札できる工事のレベルが限定されるのだが、一般論として企業の規模が大きい方が有利である
このため2点の問題が起こる
まず、持株会社化の時点で、入札資格の断絶が起こること
持株会社化しても存続企業に入札資格が残るので、公共工事を業とする会社が存続会社でないと入札資格を失ってしまうのである
次に、会社を分割することで公共工事を業とする子会社の規模は元の会社より小さくなるため、経営審査点が下がること
たとえ入札資格を維持できても、経営審査点で不利になってしまう
この2つの問題を解決するために、公共工事事業の分割の際には先にノミナルな子会社を設立し、技術者などを所属させる
ある程度の経営審査点を取れれば指名入札願いを提出し、入札資格を得た上で子会社に公共工事事業を吸収分割させる
このような手立てを講じても、やはり不利に働いてしまうことに違いはない
金融の世界では、早くからこの問題に手立てが打たれていた
三公社の民営化などにおいて、国有財産である株式(例えばNTT株)が売り出しに出る場合などだ
財務省理財局は、引き受け証券会社を審査することになるが、この場合も規模や実績は重要なファクターである
このような審査においては、各金融グループは連結ベースでの審査となる
なぜ、金融の世界では先んじていたのか
それは、金融がグローバルな事業であるからだ
外資系証券会社が引き受けを営業する際に、仮に理財局が日本法人だけしか審査対象としなければ明らかに片手落ちだろう
NTT株式は海外でも売り出されている
海外での実績も勘案しなければ意味がない
自然と連結ベースの審査となる
ところが、極めてドメスティックな公共事業の世界では、このような視点は欠けている
監督官庁は国土交通省と地方自治体などであり、グローバルな視点はない
極めて硬直的な組織であり利権の温床であることだ
外資を導入する絶対的な必要性はないし、国内大企業や中小企業を助けたいという気持ちも働く
その国土交通省が重い腰を上げたのは、昨今の談合問題だ
この問題の根の深さは、談合が民間によるものというより、官製であるように見受けられる点にある
ゼネコン不況はもう15年も続いている
過当競争を防ぐための再編は必須であるが、会社分割がしにくい
ならば、過当競争を防ぐために、官が、民が、談合を行うのである
国土交通省が入札制度の改善を検討するのは望ましいことだ
談合は国民の財産を詐取する行為であり、許してはならない
適正な競争が存在し、過当とならないような環境整備が必要だ
この国土交通省の動きに遅れることなく、地方自治体などの公共事業の事業主体が運営を改めることが求められよう
企業の側も、ひとつの大きなリスクを認識すべきである
それは、金融の世界で起こっている現象だ
つまり、外資が参入する可能性である
もしも国土交通省がグローバルな連結を許すなら、あるいは、そういう圧力が海外から加われば、将来、外資の巨大企業が参入する可能性は高まる
実は、そこからが本当の競争なのである