コラム

2008年06月30日

開発費を資産計上するようになるのか?

本日、財務省管轄の企業会計基準委員会がいくつか「企業会計基準公開草案」を公開した。
そのうちの第28号
 「研究開発費等に係る会計基準」の一部改正(案)
はメーカの経営に大きな変化をもたらしうるもののように思える。

この改正案では
 買収により取得した被買収企業の仕掛研究開発費について
 取得企業(買収企業)がその対価の一部を仕掛研究開発費とした場合
の取扱について書かれている。
日本の会計基準では、研究開発費は原則、発生時に費用処理している。
したがって、これまでは被買収企業の仕掛研究開発費についても一括費用処理することとしていた。
改正案では、これをやめようというものだ。

ならばどうなるか。
被買収企業の仕掛研究開発費は資産化されることになる。
ところが、これは取得企業の自前の研究開発費の取扱と異なる取扱になってしまう。
そこで、将来的に、この不整合が正されるのではないかとの思惑が頭をよぎる。
実は、国際会計基準においては、研究開発費のうち一定の要件を満たすものは資産化することとされている。
日本の会計が国際会計基準に収斂していくならば、自前の研究開発費についても資産化されるようになると予想すべきだろう。

研究開発費の一部が資産化されるとすれば、これはメーカの経営に大きなインパクトを及ぼすかも知れない。
資産化にともなう研究開発費の評価方法を考えてみよう。
バリュエーションの常として、マーケットアプローチ、インカムアプローチ、コストアプローチが挙げられる。
研究開発費という性質から、マーケットアプローチは考えにくい。
かと言って、コストアプローチは時価会計の流れに合わない。
ならば、インカムアプローチとなるだろう。

会社は資産化された研究開発費について、経常的にインカムアプローチによる評価の見直しを行うようになるのかもしれない。
仮に評価が下落すれば減損ということにもなろう。
そのような評価額の変化が経営判断に影響を与えるようになるのではないか。

いささか、会計士を肥やすだけの改正にも見えなくもない。
posted by 浜町SCI at 20:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | プレス・リリースから

2008年06月28日

株主総会をダメにするもの

株主総会が真剣勝負になってきた。
すばらしいことだと思う。
一方で、今年の株主総会シーズンでも失望することがあった。

レベルの低い株主がますます増えた
お土産目当ての株主。
遅刻・早退は当たり前。
趣味として、経営者たちに説教をたれる老人たち。
まったくの勉強不足なのに、したり顔をして新事業の提案をする。

このようなレベルの低い行為は、実は株主全体の利益に反する行為であることに気づいてほしい。
レベルの低い議論に、取締役は神妙の顔をしながら、心の中で胸を撫で下ろしている。
無駄な時間によって、本質的な議論をする時間は失われてしまう。

レベルの低い個人株主は、かつてのシャンシャン総会で会社側から雇われていた総会屋に等しい。
このような勢力の増徴をアクティビストが助長してしまったとすれば、悲しいことだ。

株主の権利を放棄する機関投資家
買収防衛策の導入が大流行だ。
すべての案が悪であるとは言わないが、そのほとんどが大きな議論もなく承認されていくのはやはり何かがおかしい。

本来であれば、大きな議決権を有する機関投資家が、株主総会の場で議論・意見表明してもいいはずだが、その自浄作用は望めないのが現状だ。
米英のように、年金基金のような機関投資家が会社のガバナンス強化に一役買うような形になっていない。

議決権の多くを握る機関投資家がその役割を十分に果たさず、議決権をほとんど持たない株主の一部が株主総会をかく乱する。
日本企業のガバナンスはまだまだ改善の余地がある。
posted by 浜町SCI at 16:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境

2008年06月17日

コーセル (6905) 減収減益決算

スイッチング電源の優良企業、コーセルが決算短信を開示。
08年5月期の業績は、売上高22,708百万円(前期比2.5%減)、営業利益5,582百万円(同15.4%減)の減収減益だった。

ユニット電源は、半導体製造装置、FA関連機器向けなどで市場全般が低調に推移、売上高は15,101百万円(同4.6%減)。
オンボード電源は、通信・情報機器向けや半導体製造装置業界の減速の影響を受けたものの、中国における通信機器向け受注が増加し、売上高7,464百万円(同0.8%増)。
ノイズフィルタは市場に浸透しつつあり、売上高143百万円(同147.8%増)。

09年5月期の会社業績予想は、売上高23,280百万円(前期比2.5%増)、営業利益5,183百万円(同7.2%減)の増収減益とされている。
posted by 浜町SCI at 20:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | プレス・リリースから

2008年06月13日

エヌジェーケー (9748) 連結子会社メディアドライブを完全子会社化

8月1日に連結子会社メディアドライブを簡易株式交換により完全子会社化すると発表した。

メディアドライブは、OCRや音声認識等の認識技術に特化したオリジナルパッケージ開発・販売事業を中心に事業を展開している。
会社はメディアドライブのOCR技術を応用したパッケージ製品を開発するなど、両社間で技術的な連携を深めていた。
また、メディアドライブが受注したOCRソリューション案件のOCR以外の開発を会社が受託するなど、営業面・開発面でも連携進めている。

メディアドライブとの事業シナジーを強化、意思決定と事業展開を迅速化、あわせてグループ経営の効率化を図るためとしている。
posted by 浜町SCI at 20:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 備忘録

絶妙のタイミングで報告書を出す企業価値研究会

今月11日、経済産業省の企業価値研究会が買収防衛策のあり方に関する報告書をまとめた。
買収防衛策が「株主の利益を守るためのもの」であるべきとし、取締役会による濫用に釘をさす内容だと報道されている。

投資家であれば誰でも関心のあるテーマだろう。
筆者は、報道されるとすぐ経済産業省のウェブサイトをブラウズした。
しかし、報告書は公表されていない。
後の報道によれば、今月中に報告書を公表する予定だという。
なんとも絶妙のタイミングだ。

ここからは下衆の勘ぐり。

言うまでもなく、今月下旬は株主総会シーズン。
すでに召集通知を送付済みの会社がほとんど。
買収防衛策花盛りの今年の株主総会シーズンをやり過ごすのでは面目が立たない。
さりとて、このタイミングで公表すれば、混乱を引き起こしかねない。
もしかしたら4月や5月に公表でも間に合ったかも知れないが、それでは経済産業省が企業に対して負い目を感じることになる。
結果、6月上旬にマスコミに情報提供、株主総会の終わりころに公表というのは都合がいい。

企業価値研究会の思いとは別に、今年はたくさんの買収防衛策が承認を受けることになる。
posted by 浜町SCI at 08:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境

2008年06月12日

日本ハウズイング (4781) 株主名簿の開示命令

原弘産(8894)が日本ハウズイングに対して提起していた株主名簿閲覧謄写請求の訴訟で、東京高裁が東京地裁の却下の判決を覆し、原弘産の主張を認めた。
日本ハウズイングは本決定を受け、3月31日末の株主名簿につき、原弘産による閲覧・謄写を受け入れた。
原弘産は日本ハウズイングにTOBを提案しており、今後は株主にTOBの賛同を働きかけるもようだ。

会社法第125条3項3号では、会社は競合関係にある株主よりの株主名簿閲覧謄写請求を拒むことができるとされている。
この条項についてはかねてより議論があり、競合関係にあるという理由だけで拒否できるのは立法時の錯誤ではないかという意見もあった。
顧客名簿を出せというならともかく、競合関係にあるからと言って株主名簿を出さないのはいかがなものかという考えである。
東京高裁の判決は、株主が株主権の確保・行使のための調査の目的で請求を行ったことが証明できる場合について、請求を拒めないとしている。

日本ハウズイングの対応もよく準備されたものと見え、主張すべきところを主張した上で、いたずらに時間を費やすことなく高裁の命令に従っている。
潔いというほかはない。
プロセスを長引かせることで株主が経営陣に悪い印象を持つことのないようにとの考えだろう。

日本ハウズイングはこれを受けて、原弘産からのTOBについての買付説明書に対して質問書を送付した。
日本ハウズイングは地裁・高裁で争う間に理論武装を進めていたはずだ。
これからは、本質的な中身の議論が始まるだろう。
株主は短期的な利益だけでなく、どちらの主張が永い事業発展につながるかを判断する機会を得ることになる。
posted by 浜町SCI at 23:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | プレス・リリースから

2008年06月10日

「株主にも資格と義務が伴う」のか

本日の日本経済新聞「一目均衡」で末村篤特別編集委員が含蓄のある指摘をしておられる。
氏は、松永安左衛門の「株主は株式の所有者ではあっても、会社そのものの所有者ではない」という言葉を引き、最近の投資ファンドの振る舞いを批判する。特定少数の私募ファンドが議決権を行使する際、出資者を開示させ、真の株主は誰かを明かすのが筋だろう。
・・・
正体を明かせば、投資家が逃げ、株価が下がるという主張には、日本はそれで結構と答えればよい。
なるほど、大賛成だ。

筆者は、私募のファンドであっても、ファンド以外の投資家を守るという意味から、ファンドへの出資者を公開することが望ましいと考えている。
一般の投資家がある銘柄に投資したとしよう。
そこにファンドが投資してくるが、誰が真の出資者かは分からない。
10位以内の株主になれば、個人投資家でも住所・名称が記載されるが、ファンドの場合はファンドの住所・名称が記載されるに過ぎない。
一般投資家は誰と一緒に同じ船に乗っているのか分からない。

たとえば、こんなルールにしたらどうか。
ある投資ファンドが
・ある銘柄で関係者を含めた持分が10位以内になったり、
・預かり資産額がたとえば50億円以上となったりしたら、
そのファンドの上位出資者10名を開示する義務を課す。
これなら、上場企業とスクラッチの条件ではないか。

末村氏の指摘でどうしてもうなずけない点がある。会社は株主のためにあるのではなく、経営に参加する以上、株主にも資格と義務が伴う。というくだりだ。
3つ私見を述べたい。
たとえ株主が株主総会で反対票を入れても
(1) それが即ち経営に参加することを意味しない。
(2) 株主には資格は伴わない。
(3) 株主に義務は伴わない。

筆者は個人のポートフォリオにおいて、議決権行使書の「否」に○をつけて返送することがある。
多くの場合、役員選任議案についてである。
全員を否とすることはないが、いくつかのケースで否をつけさせていただいている。
例としては
・上場子会社で経歴から見てミスマッチと思える親会社出身者が候補となっている場合
・業績が極端に悪い会社で、あまりにも長く居座っている役員が候補となっている場合
などである。
企業でIR担当をやっている知人からは
 そんなことするとブラックリストに挙がっちゃうよ
と言われるが、自ら恥じるところはないから仕方がない。

筆者が株主総会で反対票を入れたからといって、だから経営に参加することにはならないというのが(1)の主張だ。
所有と経営の分離の中での行動である以上、たとえ大株主が反対票を入れたとしても、それが即ち経営参加とはならないだろう。
どんな組織でも、部下が拙い案を上げてきたら、上司は突っ返すだろう。
取締役を雇っている株主もそれをしているだけなのだ。
言いたいのは、
 もっとましな案を出して来い
ということ。
ただし、むろん反対をする者も、反対の意味を重く受け止めるべきであるのは言うまでもない。

(2)は上場企業について述べたものだ。
長い間に会社法も上場規則も変化を遂げてきたのは、末松氏も指摘している。
今に生きる以上、現行の法・規則にそって行動するのが市民の避けられない生き方だ。
少なくとも現行の証券取引所のあり方を見る限り、投資家に資格を求めるような規則はない。
それを求めるなら、プロ専用の市場を作るしかない。
現状のインフラの中で「資格のない株主」を排除するというなら、いったん上場企業は上場を見直すのが筋ではないか。
ルールに則り投資をした投資家の側に負担を課すのが筋なのだろうか。

最後に(3)。
企業のガバナンスを高める意味から、こうは考えたくない。
会社について、株主は経営者ほどには情報が与えられていない。
その中で、株主に義務を課すのでは、事実上、黙れというに等しい。

ここまで書いてきて、一つ申告しなければいけない。
かつてここに書いた「投資家にも品格が必要だ」である。
この拙文では、末村氏ほどの高尚なポイントではないが、最近、眉をひそめたくなる株主が増えたことを嘆いた。
つまり、筆者自身もまだ迷っているということか。
posted by 浜町SCI at 08:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境

2008年06月09日

SJホールディングス (2315) 決算短信を訂正

売上高から当期利益まで広く訂正。
営業利益では、訂正前1,735百万円を1,670百万円とした。

要因は、
・中国子会社間の内部取引金額の修正で期ズレが発生、売上高が20百万円減少、利益も減少。
・前期子会社化した華深貿易(国際)有限公司で将来的に課税対象となる可能性があり、売上原価が16百万円増。
・グループ会社サン・ジャパンの無形固定資産の一部7百万円を研究開発費として費用化。
・中国子会社における債権について、貸倒引当金が33百万円増。
・華深貿易(国際)有限公司の課税にともない法人税等見積もりに18百万円を計上。
とされる。
posted by 浜町SCI at 18:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | プレス・リリースから

Mixed Signal IC

アナログ信号、デジタル信号の双方を扱うIC。
外部からのアナログ信号をデジタル信号に変換したり、デジタル信号をアナログ信号に変換する。
オペアンプやA/D・D/A変換器などが代表的。
用途では、携帯電話の情報送受信、磁気/光学記憶装置のデータリードアンプ、音声コーディングなど。

(注)オペアンプ
 Operational Amplifier (演算増幅器)
 理論的には増幅率無限大の差動増幅器で、増幅器のほか信号処理(加減算・微積分など)を行える。
 以前は自動制御を電子回路で行うのに、オペアンプで演算をアナログ処理していたことから、こう呼ばれるようになった。
posted by 浜町SCI at 13:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になるハイテク用語

LSIの種類

CPU: 制御が得意
DSP: 信号処理が得意
SIMD: 1命令/複数データ処理のプロセッサ
ASIC: 特化した処理をLSI化(低消費電力、高速処理、低コスト化のため)
FPGA: 回路構成を静的に変更可能
リコンフィグラブルLSI: 回路構成を動的(リアルタイム)に変更可能
posted by 浜町SCI at 12:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になるハイテク用語

SiP

System In Package
SoCの対立概念で、複数のLSIチップを1つのパッケージ内に封止した半導体製品。
MCM(Multi-chip Module)とも言う。

短い製品サイクル、開発コストの制約が問題となる分野ではSoCでは対応しきれない場合がある。
このため,SoCを補完する形でSiPが用いられる。
開発済みのチップをそのまま利用するため、開発期間短縮、費用低減が可能となる。
例えば携帯電話のように小型化が要求され短寿命な製品では効果が大きい。
従来、別個に基板に実装されていたものを、縦積みのスタック型SiPとすることで実装面積を抑えることができる。

SoCの製造プロセスでは大容量メモリを集積することが難しいが、SiPならいろいろなタイプのメモリを混載可能。
チップを混載すれば、そのチップ間の高速バスも必要なくなる。
posted by 浜町SCI at 12:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になるハイテク用語

SoC

System On a Chip
システムが1チップに搭載されているLSI、≒システムLSI
マイクロプロセッサ、チップセット、ビデオチップ、メモリ等の機能が1チップに集積され、実装面積や消費電力が小さくて済む。
システム設計に変更がないと見込まれる分野では、効率のよいやり方となる。
posted by 浜町SCI at 12:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になるハイテク用語

2009年以降の個人の証券税制

個人が受け取る上場株式等の配当等・譲渡益の10%軽減税率は2008年で廃止される。
同時に、現在10%軽減税率とされているものに2009-2010年は経過措置を講じる。

配当
源泉徴収税率は10%。
受取配当が年間1百万円(原則として少額配当等を除く)
・以下の場合: 申告不要。税率10%の申告分離課税または総合課税の選択制。
・超の場合: 以下の選択制
 ◆申告分離課税(税率は年間100万円以下の部分は10%、100 万円超の部分は20%)で、
  上場株式等の譲渡損と上限なく損益通算が可能。
   (2010年からは源泉徴収付特定口座での損益通算を可とする)
 ◆総合課税で、配当控除の適用。

上場株式等の譲渡益
・年間500 万円以下の部分は税率10%。
・年間500 万円超の部分は税率20%。

特定口座年間取引報告書の税務署への提出
上記の所得金額を確認するため、2009 年以降、源泉徴収付特定口座でも提出が必要。


(注)少額配当
現行では、1銘柄について1回に支払を受けるべき金額が、次により計算した金額以下であるもの:
 10万円 × 配当計算期間の月数(最高12か月)÷ 12
つまり年間10万円の受取とされてきたが、現在参議院で審議中の「所得税法等の一部を改正する法律案」では、これが年間1万円に引き下げられている。
posted by 浜町SCI at 12:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 備忘録

2008年06月08日

日本にバフェット流は根付くか

本日の日本経済新聞の社説は考えさせられるものだった。
株主と経営者の関係のあり方を論じたものだ。
この中で、投資ファンドへの苦言も書かれている
大量に株を取得し、事実上経営権を握る姿勢を示しながら、当該企業の経営について何も方針を示さないといった態度は、やはり無責任だ。
他の株主や働く人が不安を感じても、無理はない。
・・・
日本でもバフェット流の成功事例が増えてくれば、「投資家=短期の金もうけ主義」という世間の冷ややかな視線も変わるだろう。
考えさせられる言葉だ。

私は、会社法上の「公開会社」の株主が経営の方針を示す義務を負うとは思わない。
所有と経営の分離とはそういうものだからだ。
しかし、これは株主と経営者との関係について述べたものだ。
日経新聞の社説が指摘しているのは、ファンドと他の株主、働く人との関係である。
つまり、少数株主や従業員のように弱い立場に置かれファンドと経営者の争いに翻弄される人たちに配慮せよという指摘だ。
これは、会社が法のもとに人格を与えられている以上、考慮すべき観点であろう。
しかし、そう考えたときにも所有と経営の分離とは何なのか悩むところだ。

もう一つ気になるのは、この議論にバフェット氏が引かれているところ。
バフェット氏はアクティビストではない。
だから買収をした企業に対しても経営権を振りかざすようなことはしないばかりか、経営にはほとんど口を出さない。
言わば、サイレントシェアホルダーである。
それでも成功するのは、優れた経営者を擁する優れた事業モデルにしか投資をしないからだ。
Agency Problemに喘ぎ、不誠実で怠慢な経営者が多い日本企業とともに論じることには違和感がある。

バフェット氏が投資を行う銘柄は全体からすればごくごく僅かだ。
それほど厳選するからこそ投資が成功する。
だから、バフェット流の投資が日本の企業統治を改善する力にはなりえない。
変わるのは、日経新聞が言うように、日本人の投資ファンドに対する見方だけだろう。
そんな中で、期待できる投資対象はアメリカと同じようにオーナー企業であろうと思われることはなんとも皮肉だ。
posted by 浜町SCI at 10:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | Buffett Watch

2008年06月07日

荏原 (6361) 監査役が決算承認せず

27日に開催予定の荏原の定時株主総会において、決算が承認議案となる。
警察庁、内閣情報調査室長、NEC専務などを歴任された大森義夫氏が事業報告(注)を承認しなかったためだ。

日本経済新聞によれば、大森氏は
 取締役が調査に必要な情報の開示を行わなかった
 関係者へのヒアリングにも協力していない
 取締役にも法令違反の疑いがある
と主張しているようだ。

本件と別の話として、企業ぐるみの法令違反が報道されることは珍しいことではない。
しかし、監査役がそれに公にストップをかけたという例はほとんどない。
監査役には、経営側の提示する経営側に都合のいい情報に基づき、追認するというイメージがある。
それで報酬を得ているとすれば、本末転倒も甚だしい。

ニュースとしては、やれやれといった話だが、日本でもガバナンスに変化が現れたと思えば嬉しい話でもある。
そういう検察官のような監査役を擁することは会社の品格を高めることでもある。

(注)「決算」を「事業報告」に訂正(6月9日)
会社より公表された平成20年6月8日付「昨日の一部報道について」を受けての訂正。
本開示の趣旨は、承認されなかったのは決算ではなく、事業報告であると説明されている。
おそらく、決算内容への不信感を払拭するための主張だろう。
posted by 浜町SCI at 19:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境

2008年06月04日

交易条件指数

輸出価格指数 ÷ 輸入価格指数 で計算される指数。

日本銀行の発表する指数が有名。
この指数が高いということは、輸入価格に対して輸出価格が高くなる傾向にあることを示し、貿易条件が有利と解される。

日本のような工業輸出国では、原油や資源価格が高騰すると輸入価格が上昇するため交易条件は悪化するが、その場合、この指数が低下していることになる。
posted by 浜町SCI at 18:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 備忘録

2008年06月03日

新銀行東京: 皮肉にも先を見通せるようになるのは近いかもしれない

新銀行東京の08年3月期業績が開示された。
167億円の最終赤字で、累積損失は1,016億円。
この1,016億円を減資し、繰越損失を解消する予定だという。

減資をして繰越損失を消したところで何も解決しない。
純資産が増えるわけではないからだ。
そればかりか、過去の責任を忘れさせようという姑息な手段のようにも見える。
1,016億円に見合うような責任を都、都議会、経営幹部は果たしたろうか。
茶番のような都議会の議決で責任は終わったなどとは思ってはいけない。
せめて、関与した都知事・都職員、都議会議員、経営幹部には各1億円だけでもいいから損害の穴埋めをしてほしいとさえ思えてくる。
それでも都民の被った損害には遠く及ばないのだから。

報道されているように、現在、新銀行東京へは金融庁の金融検査が入っている。
創業以来、初めての金融庁検査である。
会社の公表する不良債権比率は12.7%だが、これが検査の結果で悪くなる可能性は高い。
普通に健全にやっている銀行でも、金融検査では検査官から厳格な資産査定を受け、引当の積み増しを迫られることが多い。
初めて金融庁検査を経験する新銀行東京では、資産査定のあり方に相当な差があることも予想される。
不良債権比率はすでに2桁、これ以上の積み増しは、皮肉にも、近い将来への見通しを提示するものかも知れない。

資産内容の悪い銀行に入検する検査官も気の毒だ。
相手は金融機関、簡単に破綻させるわけにもいかない。
他行と同じ基準で資産査定を行い追加引当を指導した結果、その銀行が破綻してしまってはたいへんだ。
金融の信頼性が揺らぐばかりか、引き金を引いた責任さえ追及されかねない。
そこで、検査官も本庁と連絡を取りながら、ソフトランディングをさせるべく、資産査定結果を調整にかかることさえあると言われている。

金融検査の客観性を保ちつつ、資産内容の悪い金融機関をソフトランディングさせるという難しい仕事だが、ぜひ行政のリーダーシップに期待したい。
と同時に、今後の引当金積み増しは現経営陣の責任であることも申し添えたい。
posted by 浜町SCI at 08:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | プレス・リリースから

2008年06月02日

日本株は上昇するか

本日の日本経済新聞「月曜経済観測」にモルガン・スタンレー・アセット・マネジメント投信社長のアルカイヤ氏のインタビュー記事が掲載されている。
たいへん興味深いコメントが多い。
 先週の株価や長期金利の上昇は、日本経済の好循環入りの可能性を示唆している
 ・・・
 日本経済はティッピングポイントに近づいていると思う
 ・・・
 債券が売られ、長期金利の指標である新発10年国債利回りは年内に2%に乗せ、
 向こう3年以内に3%をうかがう可能性もある
世間の見方と大きく違うのは、氏が日本株にブルな予想を立てていること。
もちろん、エクイティ関係者の言だから、希望的観測が入っていることも意識しなければいけない。
しかし、長年日本株に関わってきた氏の意見には胸を打つものがある。

HSCIではかねてより短中期円高、長期円安の予想を紹介してきた。
なかなか実現しない円高だったが、このところ、やや流れが変わってきたような感もある。
もしかしたら、短中期の円高・株高がやってくるのかもしれない。
もしも円高・株高がこの2−3年で進行するなら、
 短期で日本株運用
 中期で株式売却・ドル転
がリズナブルなストラテジーとなる。

ただし、多くのエコノミストが円高・株安を予想しているから、このストラテジーには大きなリスクが存在することに留意されたい。
posted by 浜町SCI at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境