コラム

2008年07月18日

蓄電技術(素子)

二次電池
・鉛蓄電池: 重いデメリット、脱鉛化の中で減少傾向。
・NiH電池
・Li+電池: 中型以上で安全性に課題がある。
・NiCd電池: カドミウム公害により先進国では作られない。

キャパシタ
・P-EDLC: 擬似キャパシタ。片極に電池の電極を用いる。研究段階。
・EDLC: 両極に活性炭の極材を用いる。
  容量こそ二次電池に劣るが、瞬時に充放電できその他特性にも優れる。

自動車向け・産業向けではNiHと電気二重層キャパシタ(EDLC)の組み合わせが利用されている。
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2008年07月17日

持分法投資損益

ソニーが09年3月期から持分法投資損益を営業損益に計上すると報じられている。
この変更により、関連会社の利益の持分の分が営業利益に合算されることとなる。
営業利益がグループの実力を示すようにという趣旨だ。
これに似た話として、先日投資ファンドの会計処理について紹介した。
連結会計の課題は、何も投資ファンドに限ったものではないようだ。

ソニーは米国会計基準に基づき決算開示を行っている会社だ。
米国会計基準では、原則、持分法投資損益を営業損益に計上するのを許していない。
持分法適用会社が親会社の事業に必須とされる場合に認めている例外的取り扱いだ。
ソニーはこの取り扱いと同時に、重要な関連会社3社の財務諸表を個別開示、残りを合算で開示する。

証券分析の立場から、この変更のインパクトを考えてみよう。
ソニーには、携帯電話事業など重要な関係会社が複数ある。
この損益が営業損益に反映されるのは、実態を知る上でプラスととらえるべきだろう。
一方で、注意したい点もある。

貸借対照表と損益計算書の対比においては、注意が必要となる。
証券分析で重要な指標の一つが、ROAだろう。
ROAの分子は営業利益、分母は総資産だ。
この営業利益には関連会社分が算入されているのに、分母には連結されない。
結果、ROAの意味合いが歪なものになってしまう。
この議論はROIC等の指標においても同じことだ。

証券分析の世界は毎日何かが変化する。
この件もその一つのようだ。
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2008年07月16日

インターネット検索市場の独占は大きなリスクをはらむ

米国検索市場においてGoogleのシェアが7割に近づいたことをCNETが伝えている。
懸念する声がかねてからあったが、米国ではGoogleによる独占が近づいているようだ。
これは、単なる無料のサービスの市場の独占ではない。
Googleによる「知の再配列」を万人が受け入れるプロセスと見るべきだ。

WWWの黎明期は、ウェブサイトの数もさほど多くはなかった。
ネット・サーフィンする人は、ディレクトリ方式のウェブ検索や有力なリンク集を見て、面白そうなサイトに訪問していた。
ところが、CMSやブログの勃興により、状況は大きく変わった。
近年のアクセスログを見る限り、アクセスのほとんどは検索エンジン経由である。
ウェブサイトを一種の知の保管場所とするなら、その保管場所の案内をするのが検索エンジンである。

ウェブサイトが爆発的に増えたから、ディレクトリ方式の検索エンジンは成立しなくなった。
検索エンジンはロボットサーチとなり、そのアルゴリズムが優劣を決めることになる。
Googleが強力な技術力を駆使する中、そのアルゴリズムで勝負をしようとする会社は減り、Googleの自然独占が進んでいる。

もちろん、Googleは悪意を持ってアルゴリズムによって不正を行おうとしてはいないのだろう。
アルゴリズムはとても機械的に知を整理しているのだろう。
それでも、一民間企業に知の再配列を委ねていいのだろうか。

健全な対抗勢力の成長を期待したい。
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日本株は安全資産たりうるか

サブプライム問題に端を発した世界的な経済停滞の中で、投資資金の安全資産への逃避が進んでいる。
安全資産を債券とするなら、残りの投資戦略は為替のみとなる。
しかし、そう割り切るのは早いだろう。

このところ、米国株の下落がすさまじい。
言うまでもなく、ファニーメイとフレディマックの経営危機をめぐる米金融経済の不安が背景だ。
この数年、ドルと円のみならず、米国株と日本株までもが連動する傾向が強かった。
ここに来て、先行して下げた日本株には下げ止まり感がある。
そろそろ、米国株と日本株の間にはデカップリングが起こりそうな気配だ。
そこで、気になる問が、
 日本株は安全資産たりうるか
ということになる。
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2008年07月12日

ソリッドステートドライブ

Solid State Drive, SSD
HDDのような磁気ディスクの代わりに半導体メモリを用いるストレージ。
HDDと同等のインタフェースで,OSからHDDとして認識される。
NANDフラッシュをメモリに使えば、不揮発性となり、小型HDDの代替として使える。
ただし、フラッシュメモリの書き換え可能回数は1百万回程度であるため、寿命が短いとの指摘もある。

耐衝撃性に優れるほか、HDDより高い転送速度を得られる。
また、HDDで言うシーク時間(ヘッドの移動時間)やスピンアップ時間(回転数を高める時間)は必要としない。

SSDでも多値(Multi-level cell, MLC)と非多値(Single-level cell, SLC)とがある。
MLCは書き込み可能回数とR/W速度が劣るものの、ビット単価は安い。
SLCは相対的に性能に優れ、ビット単価は高い。
この二つを組み合わせた「コンボ」も、東芝などから出荷されている。

SSDの問題の一つである寿命は、SLCとMLCを組み合わせることである程度は改善できる。
書き換える頻度の高いデータをSLCに、低いデータをMLCに記憶させればよい。
ただし、この使い分けにはOS等での手当てが必要となる。
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2008年07月11日

ハーモニックドライブシステムズ (6324) 第1四半期の単体売上高は前年同期比増

09年3月期第1四半期の単体売上高を公表。

受注高は、前年同期比12.3%増、前四半期比0.1%減。
 産業用ロボット向け: 前年同期比で増、高水準だった前四半期比では減少したが、総じて堅調。
 半導体製造装置向け: 前年同期比・前四半期比ともに減。
 FPD製造装置向け: 前年同期比・前四半期比ともに増と好調を維持。

輸出受注高は、前年同期比・前四半期比ともに減。
 北米: 前年同期比32.0%減、前四半期比12.2%減。
 欧州: 前年同期比2.5%減、前四半期比15.9%減。

売上高は4,378 百万円と、高水準だった前四半期比で5.7%減となったものの、前年同期比では9.1%増となった。
前年同期比増の要因は、減速装置が同13.9%増となったもの。
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タイテック (6893) 上場子会社エルモが新株発行

電子機器・光学機器のメーカ、タイテックの上場子会社エルモ(7773)が新株発行と株式売出しを行う。
 公募による新株式発行 普通株式 1百万株
 オーバーアロットメントによる売出し 普通株式 150千株 (上限)
 オーバーアロットメントに係る第三者割当増資 普通株式 150千株 (上限)
とされている。

エルモのプリマネーの発行済み株式総数は9,864千株。
売出しで株式を売却する株主は東海東京証券である。
オーバーアロットメントを含むベースで、9,864千株から11,014千株に発行済み株式総数が増加する。
タイテックの議決権比率は67.5%から60.4%程度まで低下すると予想される。
連結子会社であることには変わりがないが、特別決議に対する拒否権を手放すことになる。

HSCIでは7月3日付レポートにて、タイテックとエルモの親子上場の現状について言及した。
時価総額が親子で逆転し、成長ドライバも子会社に頼る中で、資本構成にも必然の変化が起こっていると言えよう。
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バークシャーハザウェイがダウケミカルによるR&H買収に投資

ダウケミカルが同業のローム&ハース買収を決めた。
7月9日のR&H終値に74%のプレミアムを載せた株価で買収する。
デットを含む買収金額は188億ドルと巨額だ。
この巨大ディールを可能にしたのが、バークシャーハザウェイとクウェートの政府ファンド(SWF)という。

 バフェット氏率いるバークシャーハザウェイは30億ドル
 クウェートのSWFは10億ドル
をそれぞれ投資する。
これにより、バークシャーハザウェイはダウケミカルの大株主に浮上。
ダウケミカルは昨年、コモディティ薬品事業をクウェートの石油化学会社との合弁にすると決定したから、本件によりクウェートとの関係も強まる。
(この合弁設立により、ダウケミカルは80億ドルを手にする予定とFinancial Timesは報じている。)

サブプライム問題で、レンダーが軒並み苦しむ中、レバレッジを使わない資金の出し手が大きな役割を果たす環境となった。
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投資事業組合(投資ファンド)の会計処理

本日の日本経済新聞に、
 JAFCOが運営するファンドを非連結にする
と報じられている。
かなり、複雑な話なので、背景を説明しよう。

投資ファンドというのは、
 集めた資金と出資者たち(投資事業組合等)
 その資金を運営するGP(正確には業務執行組合員等)
からなることが多い。

金融機関が設立する場合、子会社としてGPを作ることが多いが、VC専業の場合は、本体=GPとすることが多い。
記事はVCについてなので、VC本体=GPのケースで考えよう。
GPはどのような収益を上げるのか。
典型的には
 ・(受託総額に対して)年2%程度の管理報酬
 ・組合にキャピタルゲインがあった場合の成功報酬
  (キャピタルゲイン総額の20%程度)
がまず発生する。
そのようなGPの取り分、その他の運営費用を差し引いたものが、組合員(LPとGP)の取り分となる。
通常、GPも組合に出資しているので、
 ・GPの出資分に対する収益分配
もGPの収益となる。

つまり、
・管理報酬
・キャピタルゲインに応じた成功報酬
・出資に対する分配
であった。
従来は、これらの金額をGPの収益に計上する会計処理がなされていた。

ところが、2000年に入ってから、投資組合を利用した不明朗な会計が散見されるようになった。
そこで、企業会計基準委員会は2009年9月、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」を公表し、会計処理の変更により、問題に対応しようとした。
その概要は、
(1) 子会社判定では、投資事業組合に対しても支配力基準を適用し、業務執行の権限によって、組合への支配力を判断する。
(2)GPでなくとも、緊密で同意している者がGPであり、かつ緊密な者とあわせて組合の資金調達額の過半の融資・出資を行っている場合や組合損益の過半について享受・負担する場合は、組合を子会社とする。
(3)関連会社判定のためには影響力基準を用いるが、支配力基準と同様、業務執行権限により判断する。
であった。
つまり、GPは業務執行権限を有するため、組合を子会社として連結することとされたのである。

そうなると、GPの連結財務諸表はどのようになるのだろう。

管理報酬
子会社である組合からGPへの支払いとなるため、連結消去される。

投資事業組合のキャピタルゲイン
運営する投資事業組合にキャピタルゲインが発生した場合、子会社での収入であるため、売上高に計上することになる。
組合全体のキャピタルゲインの全額がGPの売上高に計上され、営業利益にもその全額の寄与分がプラスされる。
たとえGPが組合総額の半分未満の出資であっても、全額のキャピタルゲインが加算されるのは不合理だ。
この不合理は、通常の連結会計と同じように、当期利益前の「少数株主利益」で減算される。
当期利益には、ネット数字だけの寄与になる。

このような連結財務諸表への数字の表れ方が問題となっている。
現行の会計基準に従うと、連結売上高や連結営業利益の数字に意味がなくなってしまう。
投資家に財務内容を正確に伝えるためのP/Lにおいて、当期利益以外の項目に意味がなくなるのでは意味がないという主張だ。

JAFCOでは、資産管理業務を信託銀行に委託することを理由に、連結から除外するという。
この手法には異論もあるようだし、当初のルールの趣旨から見たら、無理のある考え方だろう。
一方で、そのルールにも致命的な問題点があるように思える。
どのような方向性に収束するのか、注目されるところだ。
posted by 浜町SCI at 18:00 | Comment(0) | TrackBack(1) | 気になる投資環境

2008年07月09日

ミクロン精密 (6159) 中間決算は前年同期比経常減益

08年11月期中間期の業績は、売上高3,165百万円(前年同期比8.4%増)、営業利益442百万円(同8.7%増)、経常利益422百万円(同28.7%減)、中間純利益231百万円(同24.3%減)だった。
第1四半期に続き、円高影響で経常利益ライン以下が前年同期比減となった。
会社は、通期業績予想については変更していない。
現在、為替相場は期初よりは円安側に振れており、相場の動向によって経常利益ライン以下の予想達成の可否が決まってこよう。

過去の株式レポート
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Googleはエンコードするデータ交換形式を推奨

Googleがデータ交換フォーマット「Protocol Buffers」のオープンソースプロジェクトを立ち上げたことをCNetが紹介している
XMLを共通言語として利用するつもりだったGoogleだが、XMLでは作業が複雑になる場合があること、XMLの大容量のファイルがパフォーマンス低下を招く可能性があることから方向変換したようだ。

Googleが推すオープンソースプロジェクトなので、使い勝手や応用可能性には優れているのだろう。
しかし、エンコードするデータ形式というところにはやや心配もある。

XMLのよさの一つは、平文で書かれたテキストファイルであること。
そして、そのデータ形式がブラウザによってサポートされつつあることだ。
これがエンコードのあるデータとすると、手軽さが半減する。
むろん、リード・ライトのルーチンが提供されれば、テキストエディタのような使い勝手でデータを扱えるようになるのだろう。
だから、問題はウェブ・アプリケーションにあるのかもしれない。
ブラウザによってXMLとスタイルシートのようにサポートされるのか、ウェブアプリケーションによって使われるphpのような言語にインターフェイスがどのように普及していくかだろう。
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2008年07月07日

太陽光発電の現実

トヨタがプリウスに太陽電池を搭載するとCNETが紹介している。
高価格版に装着される予定で、このパネルを利用して、空調に必要な電力2〜5キロワットの一部が供給される仕組みという。
早ければ2009年春にも登場する見込みとのことだ。
発電パネルは、京セラのものを利用するようだ。
と書かれている。

ここで太陽電池で発電できる電力量を試算してみよう。
太陽電池モジュールの発電量は京セラの陸屋根100kWもものを使う。
このサイトでは、
・システム太陽電池容量: 100kW
・設置面積(東京の場合): 約1,239平米
・年間予測発電電力量: 105,706kWh/年
とされている。
自動車屋根で、いったいどれだけの面積がとれるだろう。
太陽電池セルは変換効率を高めようとすると、その材料によって色が決まってしまう。
結晶系Siであれば、濃い紫色となる。
自動車は意匠性が重要となるから、それほど多くの面積を取れるとは思えない。
ここでは、仮に2平米ぐらいと仮定してみよう。

2平米として、屋根と概ね同じような日照があったとすると、
 105,706kWh/年 × 2/1,239 = 170kWh/年
となる。
実際は高級車だから、これほどの日照は稼げまい。

1年間に170kWhが発電される一方、消費電力は最小でも2kWh必要とされている。
つまり、年間の発電で最大85時間のエアコン稼動が可能となる。
この数字を大きいと見るか、小さいと見るかは読者にお任せしよう。

これが、太陽光発電の現実である。
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2008年07月05日

DIとCI

内閣府が毎月公表する景気指標。
最近、主要指標がDIからCIに変更された。

ディフュージョン・インデックス, Diffusion Index, DI

経済指標として採用する指標のうち、景気拡張を示している指標の数の割合。
通常、3か月前との比較で、景気拡張を示す指標数を数える。(同じ場合は、0.5個と数える。)
 DI =(拡張系列数/採用系列数)×100(%)
50%が拡大と悪化の境目となる。

DIは景気局面を把握することを目的とする。
 一致指数が50%を上回っている時が景気の拡張局面
 50%を下回っている時が後退局面
とされ、
 一致指数が50%ラインを上から下へ切ると景気の山
 下から上へ切ると景気の谷
であると考えられる。

注意:
・景気拡張及び後退の期間が短い場合、単純に景気拡張または後退と考えるべきではない。
・50%が目安ではあるが、判断時は大半の経済部門に景気変動が波及していることを確認することが必要。
・変化率を合成したものではなく、景気変動の速度・程度は意味しない。

コンポジット・インデックス, Composite Index, CI

DIで採用した経済指標について変化率を合成し、DIでは把握できない景気変動の大きさをとらえるもの。

作成方法は内閣府より詳述されている。
・個別指標の前月比(対称変化率)を計算
・各指標のトレンド、振幅、基準化変化率を計算して平均
・合成した前月比増減率を計算:
  基準化変化率×振幅+トレンド
・前月のCIに合成した前月比増減率を掛けて当月のCIを計算
実際のCIの計算では、異常な上昇率や下落率の影響を除くという操作が行われている。

一致指数の上昇時が景気の拡張局面、下降時が後退局面であり、一致指数の山・谷の近傍に景気の山・谷が存在すると考えられる。

注意:
・月々の動きに、前月との対称変化率・差を利用しており、前月及び当月の不規則な動きを含んでいる。
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2008年07月04日

環境コストは用役ベースでの負担か、人頭による負担か

2008年7月3日、ヤフー株式会社が
 Yahoo! JAPAN、カーボンニュートラルを目指して活動開始
  〜ポータル初、個人向けカーボンオフセットサービスも開始〜
とのプレスリリースを行った。
内容は、
・Yahoo Japanがカーボンニュートラルな事業活動のためにグリーン電力証書と排出枠を購入する。
・個人が暮らしで排出したCO2をオフセットするため排出枠を購入できる「Yahoo!カーボンオフセット」を提供する。
というものだ。
この後半の内容に興味をそそられた。

ITmediaでは、
排出したCO2を打ち消す(オフセット)ことで、地球温暖化防止活動に貢献できるとしている。
社会貢献の姿勢を打ち出しながら、CSR(企業の社会的責任)広告を掲載するなどしてビジネス化する計画だ。
と紹介している。
もちろん、現状、個人にも企業にも、カーボンオフセットを義務付ける規制はない。
しかし、近い将来、そうなるかも知れない。
特にメーカを中心に、企業に対しては、そのような圧力が強い。

そのような環境にあって、ヤフーの事業モデルには、論理的矛盾はないだろうか。

以前、このコラムでカーボン・フットプリントを紹介した。
そこでは
 温暖化ガスの削減費用を消費者が負担するようになれば、
 「カーボン・オフセット」の普及の一助となる。
と紹介した。
つまり、カーボン・フットプリントで表示された温暖化ガスの削減費用を商品やサービスの価格に転嫁すべきという方向だ。
この流れとヤフーの動きは明確に対立する。
・カーボン・フットプリントの流れは、環境コストを用役ベースで負担させようとする。
・ヤフーの動きは、人頭で、しかも自主的な負担としようとする。

温暖化ガスの削減費用を製品価格に転嫁しようがしまいが、製造者の責任においてカーボンオフセットをするならば、それが自主的であれ規制上のものであれ、ある意味、消費者がそのコストを負っていると考えるべきだ。
製品価格に明示的に転嫁されていなくとも、それは製造者の間接費または直接費であり、それが製品価格に配賦されていると見るべきなのだ。
その意味で、自主的にカーボンオフセットを開始する企業が存在する今、すでに消費者はそのコストを負担し始めている。

そうだとすれば、ヤフーが個人へ排出枠を販売するというのはどういう営みなのか。
その一部において「2重取り」が発生しているともとれる。
税に例えるならば、
 目的税でありながら、所得税と間接税でダブルカウントする
というようなものだ。

排出権の価格は、自家用車を利用しない人が1月420円(排出権121キロ分)から、利用している人が600円(同173キロ分)からという。
自家用車による差はついているが、その他の活動での差はついていない。
つまり、この価格設定では、温暖化ガスの排出を減らすようなモチベーションは働かない。

企業がカーボンニュートラルな経営を始めると、2重取りの範囲が増えていく。
ヤフー自らがカーボンニュートラルな経営を始めたところが皮肉な話ではないか。
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2008年07月03日

M&Aにおける買い手との識別

財務省管轄の企業会計基準委員会が2005年12月27日に公表した「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」において、M&Aの買い手の識別の手順が説明されている。
(1) 対価要件で取得と判定された場合には、対価を支出した企業を取得企業とする。
(2) 議決権比率要件で取得と判定された場合には、議決権比率が大きいと判定された結合当事企業を取得企業とする。
(3) 議決権比率以外の支配要件で取得と判定された場合には、支配を獲得したと判定された結合当事企業を取得企業とする。

対価要件
M&Aの対価の全部または一部に株式以外のもの(例えば現金等)が交付された場合は、それを支出した側が買い手になる。

議決権比率要件
M&A後企業に対する、元の企業の株主が有する議決権比率に差がある場合、議決権比率が大きい側が買い手となる。

議決権比率以外の支配要件
・重要な経営事項の意思決定機関の構成員の過半数を占めている場合
・いずれかの結合当事企業の株主が有利な立場にある場合
・企業結合日後2 年以内に大部分の事業を処分する予定がある場合
・多額のプレミアムが発生している場合
・結合当事企業が3 社以上の場合
が挙げられ、これらの場合で支配的な地位にある側を買い手とする。
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2008年07月02日

企業価値研究会、買収防衛のあり方を公表

6月30日、経済産業省企業価値研究会が、「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」という報告書を取りまとめた。
今年の株主総会シーズンが明けて公表するという、産業界への配慮の仕方には半ばあきれ、半ば感心する。
公表のタイミングはともかく、内容はなかなか密度の高いものだ。
気になる記述を紹介しよう。

米国におけるライツ・プランの趣旨の理解
米国におけるライツ・プランは、
 買収者や被買収者の現経営陣から、
 株主にとってより優れた買収条件や経営提案を引き出すことを可能とする仕組み
として考えられている。
つまり、株主の利益を守るための措置と理解されている。
ライツ・プランは濫用的買収者から買収防衛することのみを目的とするのではない。
現経営陣と買収者の間で、よりよい経営提案を引き出すためのものなのであるという。

敵対的買収の効果
敵対的買収には「積極的効果」があるとされる。
例えば
・脅威の存在が経営陣に規律を与えること
・買収により株主共同の利益が向上する場合がある
などである。

買収防衛策発動のリスク
買収防衛策を実際に発動して買収を止めることは、買収に賛成する株主が株式を買収者に売却する機会を奪うことになる。
2005年5月25日公表の「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」では、株主共同の利益を確保し、向上させる買収防衛策として、
(@)株主が買収の是非を適切に判断するための時間・情報及び買収者・被買収者間の交渉機会を確保することを目的とする買収防衛策
(A)株主共同の利益を毀損することが明白である買収を止めることを目的とする買収防衛策
を想定していた。
あるべき目的に反して、経営陣の保身を図ることを目的として買収防衛策が利用されることは、決して許されるべきものではないとしている。


買収防衛策のあり方

買収者への金員等の交付
買収者に対する金員等の交付を行うべきではない。
・買収防衛策発動を誘発する。
・買収者に売却する機会を株主から喪失させる。
・会社の財産が買収者に交付される結果、株主の利益が害されるおそれがある。

取締役の責任
取締役が自らの判断を回避し、形式的に株主総会決議に諮ることで、買収防衛策は正当化されるとの議論は誤りである。
株主総会決議を通せる株主構成になっていれば、盤石な防衛体制がとれるといった誤ったメッセージを関係者に対して送りかねない。
被買収者の取締役が、第一次的判断を回避するのは、責任逃れとさえ言える。
買収局面における被買収者の取締役には責任と規律ある行動が求められる。


被買収者の取締役の行動のあり方

(1)利害関係者の利益に言及して論点を不明確にしたり、保身のために発動要件を拡大解釈してはならない。
(2)買収後の資産売却など、株主共同の利益を侵害するとまでは言い難い理由のみで発動が必要と判断してはならない。
(3)買収提案の検討期間をいたずらに引き延ばしたりして、株主の判断の機会を奪ってはならない。
(4)株主共同の利益向上という観点から、買収提案を真摯に検討しなければならない。
(5)条件の改善により買収提案が株主共同の利益にとなる可能性がある場合は、真摯に交渉しなければならない。
(6)株主共同の利益を向上させると判断した場合は、株主総会の判断を待たず、買収防衛策の不発動を決議しなければならない。
(7)株主の判断のために、取締役会の評価等について、できるだけ事実に基づき株主への説明責任を果たさなければならない。
(8)特別委員会を設置する場合は、独立性を担保し、勧告内容に従うという判断に最終的な責任を負わなければならない。


全体を通して、経営者に高いモラルが求められている。
主たる主張は、
買収防衛策のあるべき目的は、最終的な意思決定者に判断の材料を時間を与えることにある。
買収防衛策の運用の責任は取締役会にあり、特別委員会を設置しても、株主総会を開催しても、その責を逃れることはない。
買収防衛策発動のいかなる段階でも、買収者への金員等の交付は必要なく、行うべきでない。
ということだろう。
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2008年07月01日

平然とM&Aが起きる文化

ちょっと変わった記事を見つけた。
筆者が愛用しているIT関連のニュースサイトであるCNETがCBSに買収されたという記事だ。
これだけ聞くと何とも思わないかも知れないが、筆者が呼んだ記事はCNETによる記事であるところに奇妙な感じがある。

アメリカではメディアの買収など日常茶飯事ということだろう。
CBSとCNET Networkは今年5月にこの買収で合意していた。
1株あたりの買収株価は前営業日の株価の44%増しだった。
ここでもう一つ驚くのが、買収対価の総額だ。
なんと18億ドルだという。

確かに、インターネット・メディアはレガシーを持たない、現代と将来に見合ったメディアと言えるだろう。
高名なCNETだから18億ドルでも高くないと思う人も多いだろう。
しかし、筆者の想像の範囲ではなかった。

細かな手間仕事と思われていたサービス業が、大きな価値を持つ。
それに高いプレミアムが付され、高額で買収される。
その買収を、買収されるメディアが平然と報じる。
 アメリカとはなんでもありの国だ
という思いを感じるニュースだった。
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会計制度メモ「無形資産評価の趣旨と概要」

企業会計基準委員会は6月30日、M&A会計のうち持分プーリング法廃止の案を公表した。
これにより、M&A会計はパーチェス法に統一され、国際会計基準に収斂する。

パーチェス法では、受け入れる資産・負債と買収対価の差額が問題となる。
取得企業は、受け入れる資産・負債を再評価して受け入れる。
この再評価後の資産・負債のネット(純資産)と買収対価は通常は合致しない。

これまで、多くの日本企業は
・買収対価の方が大きい場合、差額をのれん計上
・買収対価の方が小さい場合、差額を負ののれんとして計上
してきた。
しかし、実はこの取り扱いは、国際会計基準とは異なる。
国際会計基準では、買収対価の方が大きい場合、一定の要件を満たせば無形資産intangiblesを計上することとされている。
日本では、無形資産の計上が任意であったため、ほとんどの企業が無形資産の計上をせず、差額すべてをのれんに計上している。

この日本の会計基準は近い将来、変更されるものと予想される。
この点について、会計制度メモ「無形資産評価の趣旨と概要」に簡単にまとめたのでご参照願いたい。
posted by 浜町SCI at 08:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境