コラム
2008年08月31日
マリン・ブロック
JFEスチールの作ったマリン・ブロックが宮古島に設置されるというニュースが、新聞やテレビで取り上げられている。
白化現象などで死滅したサンゴ礁を復活させようという試みだ。
まずは、小さな陶器製の着床具を産卵間近のサンゴ礁に設置する。
サンゴが産卵すると、個々の着床具にサンゴが着床し、生長を始める。
1-2年で小さなサンゴが出来るので、これを、マリンブロックに固定するというもの。
マリンブロックは、製鉄工程でできるスラグを原料としている。二酸化炭素を付加することで、主成分をサンゴと同じ炭酸カルシウムにして、サンゴが定着・成長しやすくしている。
マリンブロックがない場合、サンゴの成長は不安定になる。
白化現象等で荒れ果てた海底では、死んだサンゴがガレキのようになって、大波の時には海底をさらってしまう。
低い岩でサンゴを育てようとしても、サンゴのガレキに傷つけられたり、埋まってしまったりする。
そこで、マリンブロックのように重いブロックが助けとなる。
マリンブロックは海草の造成礁としても利用されている。
(参考)鉄鋼スラグとは
鉄や鋼の精製過程で出来る副産物で、石灰(CaO)とシリカ(SiO2)を主成分とする。
用途がなければ、製鉄会社は、コストを払って処分しなければならない。
日本では鉄鋼スラグ協会が設立され、有効活用が模索されている。
用途の例としては、
・セメントやコンクリート
・肥料や土壌改良剤
など。
白化現象などで死滅したサンゴ礁を復活させようという試みだ。
まずは、小さな陶器製の着床具を産卵間近のサンゴ礁に設置する。
サンゴが産卵すると、個々の着床具にサンゴが着床し、生長を始める。
1-2年で小さなサンゴが出来るので、これを、マリンブロックに固定するというもの。
マリンブロックは、製鉄工程でできるスラグを原料としている。二酸化炭素を付加することで、主成分をサンゴと同じ炭酸カルシウムにして、サンゴが定着・成長しやすくしている。
マリンブロックがない場合、サンゴの成長は不安定になる。
白化現象等で荒れ果てた海底では、死んだサンゴがガレキのようになって、大波の時には海底をさらってしまう。
低い岩でサンゴを育てようとしても、サンゴのガレキに傷つけられたり、埋まってしまったりする。
そこで、マリンブロックのように重いブロックが助けとなる。
マリンブロックは海草の造成礁としても利用されている。
(参考)鉄鋼スラグとは
鉄や鋼の精製過程で出来る副産物で、石灰(CaO)とシリカ(SiO2)を主成分とする。
用途がなければ、製鉄会社は、コストを払って処分しなければならない。
日本では鉄鋼スラグ協会が設立され、有効活用が模索されている。
用途の例としては、
・セメントやコンクリート
・肥料や土壌改良剤
など。
2008年08月30日
「デルファイ清算の可能性」の衝撃
日経新聞では、国際面の20行もないような小さな記事だった。
29日のウォールストリート・ジャーナルが、米国の自動車部品大手デルファイが清算される可能性があると報じた。
デルファイと言えば、GMの自動車部品部門がスピンオフして設立された名門企業だった。
GMも深刻な業績不振に陥る中、デルファイも2005年10月に破産法11条を申請していた。
破産法11条(いわゆるチャプターイレブン)は日本でいう民事再生法、つまり、デルファイは今も法の監視下で事業再生に努めていることになる。
そのデルファイが清算(WSJではliquidation)の可能性があるという。
清算されてしまう事業とは、どんなに債務カットをしても黒字化が無理な事業と表現できる。
つまり、営業黒字化の見込みのない事業ということだ。
デルファイのようなかつての名門企業が、そこまで深刻な業況に陥ったとは、ただただ驚きだ。
日本の自動車セクターも低迷期に入りつつあるが、それでも大手が清算を意識するような例は皆無だ。
米国の自動車セクター不振の一因として、年金債務の負担が大きいことが挙げられるが、それだけとは言えまい。
むろん、事業部門ごとでは、救えるような事業・資産もあろう。
そのような部門(工場)はGMに引き取られる見込みというが、それがまたGMの財務の重しになってしまう。
人に優しい企業として有名であったGMとデルファイ。
他人事とは思えない話だ。
29日のウォールストリート・ジャーナルが、米国の自動車部品大手デルファイが清算される可能性があると報じた。
デルファイと言えば、GMの自動車部品部門がスピンオフして設立された名門企業だった。
GMも深刻な業績不振に陥る中、デルファイも2005年10月に破産法11条を申請していた。
破産法11条(いわゆるチャプターイレブン)は日本でいう民事再生法、つまり、デルファイは今も法の監視下で事業再生に努めていることになる。
そのデルファイが清算(WSJではliquidation)の可能性があるという。
清算されてしまう事業とは、どんなに債務カットをしても黒字化が無理な事業と表現できる。
つまり、営業黒字化の見込みのない事業ということだ。
デルファイのようなかつての名門企業が、そこまで深刻な業況に陥ったとは、ただただ驚きだ。
日本の自動車セクターも低迷期に入りつつあるが、それでも大手が清算を意識するような例は皆無だ。
米国の自動車セクター不振の一因として、年金債務の負担が大きいことが挙げられるが、それだけとは言えまい。
むろん、事業部門ごとでは、救えるような事業・資産もあろう。
そのような部門(工場)はGMに引き取られる見込みというが、それがまたGMの財務の重しになってしまう。
人に優しい企業として有名であったGMとデルファイ。
他人事とは思えない話だ。
公正な金融検査を望む
新銀行東京の第1四半期決算が29日開示された。
経常収益18.9億円、経常損失36.4億円、四半期純損失37.2億円という結果だった。
銀行は、ほぼ見込みどおりとの説明のようだが、経常的な見入りが18.9億円に対して、かかった経常費用55.3億円ということだから、悲惨というほかない。
新銀行東京には現在も金融庁による金融検査が行われている。
5月中旬から検査官が入り、いわゆる「ラインシート」などにより、債権の健全性ほかがチェックされる。
7月末には検査官は引き上げたというが、検査は、検査結果が銀行へ説明されるまでは終了とはならない。
検査結果として今回、最も注目されるのは、言うまでもなく金融庁による資産査定結果だ。
個々のラインシートについて、金融庁による査定がなされると、銀行側はその査定結果を受け入れ、次の(四半期)決算期にその変化を反映することになる。
通常は、銀行自身による査定よりも、金融庁による査定の方が厳しくなる。
銀行とは、カネを貸して儲けが出る商売だ。
自ら債務者格付けを厳しくすれば、自ら貸出先を失うことになりかねない。
貸すかどうかは別として、債務者格付けは「正常先」にしておきたい。
そこに生じうる甘さを、金融庁は正してくれるという仕組みだ。
7月末に引き上げながら、8月末を迎えても資産査定結果がフィードバックされないというのは、やや長いような気がする。
しかし、ここにも金融当局らしい、銀行や金融市場への配慮がある。
不良債権とされる債権が増えれば、「要注意先」以下の債権で回収可能額を超える部分が損金とされ、損益が悪化する。
8月末に決算開示を予定している銀行に、8月下旬にフィードバックするというのは、決算作業上、酷だ。
銀行がフィードバックを検証し、対策を講じる時間を与えてあげないと、社会から過剰反応を受けてしまう危険がある。
また、それが、金融市場全体にも悪影響を与えかねない。
新銀行東京については、全体から見れば、瑣末でレベルの低い問題のはずだったが、昨今のマクロ経済の停滞を鑑みれば、万全を期しておきたい。
また、検査結果についても、恣意性がないとは言えない。
万が一にも金融市場に悪影響を与えないよう、ある程度の幅で、資産査定に匙加減がありうるのも事実だろう。
1999年の金融危機においても、そのような匙加減があったと聞くし、むしろ、匙加減なく杓子定規にやったとしたら、そちらが責められるべきかもしれない。
さて、ここで、一つ注文しておきたい。
国政では解散風が吹いている。
次の衆議院選挙は、政権交代、2大政党制の進展という意味で、歴史的な意味を持つような重要な選挙かもしれない。
その重要な選挙を控え、与野党ともにバラマキ合戦、人気取りに明け暮れている。
新銀行東京の資産査定については、ゆめゆめ国政に影響されないよう願いたい。
言うまでもなく、都知事は自民党に近い政治家だ。
そのような構図から、選挙前の資産査定に横槍が入ることは、決してあってはならない。
新銀行東京の資産評価額は、上期決算で、地方銀行並みの計上基準に合致させねばならない。
この問題は、単に都だけの問題ではなく、日本の金融秩序の維持の問題でもある。
そうすると、新銀行東京の上期決算はどうなるだろう。
現在の予想では、経常収益34億円、経常損失73億円、中間期純損失73億円とされている。
これは、第1四半期をほぼ横に伸ばした水準だ。
金融庁の資産査定結果は、自己査定よりは悪くなるだろうから、経常費用とするか、特別損失とするかは別として、第2四半期に損失計上が予想される。
つまり、この中間期予想は下方修正となる可能性が高い。
追加資本注入の前提であった計画値が下方修正となれば、再び責任を明らかにしなければならなくなる。
都民の財産が、都知事と都議会の道楽に費消され、だらだらと、責任追及という不利益な手続きさえ生んでいる。
責任追及は利益こそ生まないが、やらねばならぬことだからしかたがない。
しかし、無駄は無駄。
誇りと良心を有する当事者たちが、自ら、自己の責任を真摯に受け止め、傷を大きくするような問題先送りを取りやめることを願う。
経常収益18.9億円、経常損失36.4億円、四半期純損失37.2億円という結果だった。
銀行は、ほぼ見込みどおりとの説明のようだが、経常的な見入りが18.9億円に対して、かかった経常費用55.3億円ということだから、悲惨というほかない。
新銀行東京には現在も金融庁による金融検査が行われている。
5月中旬から検査官が入り、いわゆる「ラインシート」などにより、債権の健全性ほかがチェックされる。
7月末には検査官は引き上げたというが、検査は、検査結果が銀行へ説明されるまでは終了とはならない。
検査結果として今回、最も注目されるのは、言うまでもなく金融庁による資産査定結果だ。
個々のラインシートについて、金融庁による査定がなされると、銀行側はその査定結果を受け入れ、次の(四半期)決算期にその変化を反映することになる。
通常は、銀行自身による査定よりも、金融庁による査定の方が厳しくなる。
銀行とは、カネを貸して儲けが出る商売だ。
自ら債務者格付けを厳しくすれば、自ら貸出先を失うことになりかねない。
貸すかどうかは別として、債務者格付けは「正常先」にしておきたい。
そこに生じうる甘さを、金融庁は正してくれるという仕組みだ。
7月末に引き上げながら、8月末を迎えても資産査定結果がフィードバックされないというのは、やや長いような気がする。
しかし、ここにも金融当局らしい、銀行や金融市場への配慮がある。
不良債権とされる債権が増えれば、「要注意先」以下の債権で回収可能額を超える部分が損金とされ、損益が悪化する。
8月末に決算開示を予定している銀行に、8月下旬にフィードバックするというのは、決算作業上、酷だ。
銀行がフィードバックを検証し、対策を講じる時間を与えてあげないと、社会から過剰反応を受けてしまう危険がある。
また、それが、金融市場全体にも悪影響を与えかねない。
新銀行東京については、全体から見れば、瑣末でレベルの低い問題のはずだったが、昨今のマクロ経済の停滞を鑑みれば、万全を期しておきたい。
また、検査結果についても、恣意性がないとは言えない。
万が一にも金融市場に悪影響を与えないよう、ある程度の幅で、資産査定に匙加減がありうるのも事実だろう。
1999年の金融危機においても、そのような匙加減があったと聞くし、むしろ、匙加減なく杓子定規にやったとしたら、そちらが責められるべきかもしれない。
さて、ここで、一つ注文しておきたい。
国政では解散風が吹いている。
次の衆議院選挙は、政権交代、2大政党制の進展という意味で、歴史的な意味を持つような重要な選挙かもしれない。
その重要な選挙を控え、与野党ともにバラマキ合戦、人気取りに明け暮れている。
新銀行東京の資産査定については、ゆめゆめ国政に影響されないよう願いたい。
言うまでもなく、都知事は自民党に近い政治家だ。
そのような構図から、選挙前の資産査定に横槍が入ることは、決してあってはならない。
新銀行東京の資産評価額は、上期決算で、地方銀行並みの計上基準に合致させねばならない。
この問題は、単に都だけの問題ではなく、日本の金融秩序の維持の問題でもある。
そうすると、新銀行東京の上期決算はどうなるだろう。
現在の予想では、経常収益34億円、経常損失73億円、中間期純損失73億円とされている。
これは、第1四半期をほぼ横に伸ばした水準だ。
金融庁の資産査定結果は、自己査定よりは悪くなるだろうから、経常費用とするか、特別損失とするかは別として、第2四半期に損失計上が予想される。
つまり、この中間期予想は下方修正となる可能性が高い。
追加資本注入の前提であった計画値が下方修正となれば、再び責任を明らかにしなければならなくなる。
都民の財産が、都知事と都議会の道楽に費消され、だらだらと、責任追及という不利益な手続きさえ生んでいる。
責任追及は利益こそ生まないが、やらねばならぬことだからしかたがない。
しかし、無駄は無駄。
誇りと良心を有する当事者たちが、自ら、自己の責任を真摯に受け止め、傷を大きくするような問題先送りを取りやめることを願う。
2008年08月28日
ドル暴落に蓄えられるエネルギー
日本経済新聞が、3月の金融危機の時に日米欧で為替強調介入の合意があったことを報じた。
大手証券会社ベアスターンズが深刻な経営危機に陥り、それが引き金となって米国に金融危機が引き起こされ、ついには基軸通貨であるUSドルの暴落とつながることを懸念してのことであった。
「米国主導」と書かれており、自由経済を唱える米国が、自国通貨の防衛を求めたとすれば、事態の深刻さが伺われよう。
この出来事から考えなければいけないことが2つある。
中・長期的に見れば、経済はあるべき方向に進むということ。
幸い現在、米国経済は急激な変化を避けるペースで調整を済ませようとしている。
しかし、この調整は大きな変動の中の、小さなコブ程度の話に過ぎないかも知れない。
暴落を引き起こすかも知れないドライビングフォースは、長年の米国の貿易赤字によって積み上がった対外債務が反転を促している力である。
例えるなら、貿易赤字によって、大陸プレートが海洋プレートによりパンパンに巻き込まれている状態なのだ。
協調介入によって、歪みが急速に解消しない、つまり大地震が起こらないようにしたところで、そもそも歪みが解消しない以上は、本質的な解決にはならない。
今もまだ、大陸プレートは地中深く巻き込まれていく一方なのだ。
もう一点は、大地震を起こすカタリストが不在で、それがまた地震の規模を大きくしてしまうだろうということ。
1992年のポンド危機では、ジョージ・ソロス氏がイングランド銀行を敵に回してポンドをショートした。
これによりポンドは暴落した。
ポンド暴落により不利益を被った者は多かったろうが、考えてみれば、ポンド下落は必然の方向性であったし、下落により輸出が増え、経済が回復したという見方もできる。
時として、このような投機が、経済の転換点でカタリストとして働くことがある。
しかし、今の米国経済とドル相場では、そのカタリストが機能しない。
米国を敵に回して利益のある投機家が見当たらないからだ。
ソロス氏のような、ハンガリー系、ユダヤ系のアメリカ人が、アメリカ経済を揺らすことに利益は少ないだろう。
同じように、米国も、対米債権を持つ国にも利益はない。
中東諸国なら、政治的にも経済的にも可能性があろうが、現状は概ね親米的な経済が多く、むしろ、揺り返しを防ぐような行動をしている。
プレートの潜り込みを緩やかに解消するようなソフトランディングの手法が講じられない限り、いつかは大きな揺れが避けられない。
しかし、そのような手法について世界経済が合意をするのは極めて困難だ。
ならば、きっと大きな揺れが起こるのだろうが、その時点を予言するのも無理な話だ。
日本の投資家(個人も法人も)が、どのような資産クラスに財産を配分するか、考える時間は残り少ない。
大手証券会社ベアスターンズが深刻な経営危機に陥り、それが引き金となって米国に金融危機が引き起こされ、ついには基軸通貨であるUSドルの暴落とつながることを懸念してのことであった。
「米国主導」と書かれており、自由経済を唱える米国が、自国通貨の防衛を求めたとすれば、事態の深刻さが伺われよう。
この出来事から考えなければいけないことが2つある。
中・長期的に見れば、経済はあるべき方向に進むということ。
幸い現在、米国経済は急激な変化を避けるペースで調整を済ませようとしている。
しかし、この調整は大きな変動の中の、小さなコブ程度の話に過ぎないかも知れない。
暴落を引き起こすかも知れないドライビングフォースは、長年の米国の貿易赤字によって積み上がった対外債務が反転を促している力である。
例えるなら、貿易赤字によって、大陸プレートが海洋プレートによりパンパンに巻き込まれている状態なのだ。
協調介入によって、歪みが急速に解消しない、つまり大地震が起こらないようにしたところで、そもそも歪みが解消しない以上は、本質的な解決にはならない。
今もまだ、大陸プレートは地中深く巻き込まれていく一方なのだ。
もう一点は、大地震を起こすカタリストが不在で、それがまた地震の規模を大きくしてしまうだろうということ。
1992年のポンド危機では、ジョージ・ソロス氏がイングランド銀行を敵に回してポンドをショートした。
これによりポンドは暴落した。
ポンド暴落により不利益を被った者は多かったろうが、考えてみれば、ポンド下落は必然の方向性であったし、下落により輸出が増え、経済が回復したという見方もできる。
時として、このような投機が、経済の転換点でカタリストとして働くことがある。
しかし、今の米国経済とドル相場では、そのカタリストが機能しない。
米国を敵に回して利益のある投機家が見当たらないからだ。
ソロス氏のような、ハンガリー系、ユダヤ系のアメリカ人が、アメリカ経済を揺らすことに利益は少ないだろう。
同じように、米国も、対米債権を持つ国にも利益はない。
中東諸国なら、政治的にも経済的にも可能性があろうが、現状は概ね親米的な経済が多く、むしろ、揺り返しを防ぐような行動をしている。
プレートの潜り込みを緩やかに解消するようなソフトランディングの手法が講じられない限り、いつかは大きな揺れが避けられない。
しかし、そのような手法について世界経済が合意をするのは極めて困難だ。
ならば、きっと大きな揺れが起こるのだろうが、その時点を予言するのも無理な話だ。
日本の投資家(個人も法人も)が、どのような資産クラスに財産を配分するか、考える時間は残り少ない。
2008年08月24日
金利入札証券
Auction Rate Security, ARS.
(30年などの)長期の資金調達のために、(1か月などの)短期の金利入札を繰り返す証券。
前回入札した金利期間が経過すると、次の期間のための金利を再び入札で決める。
発行体は、長期資金を短期金利で調達でき、金利の非流動性プレミアム分だけ安い調達が可能になる。
(ただし、非流動性プレミアムは、常に意味のあるプラスの値とは限らない)
地方自治体などが低コストの資金調達として利用している。
投資家にとっても、信用力のあるMuniであるために受け入れられてきた。
しかし、サブプライム問題が表面化すると、短期金融市場が機能不全に陥り、ARS維持のための金利入札が困難となった。
(買い手不在となったため)流通市場が消滅し、売却しようとすれば大きな損失を生じる事態となった。
大手金融機関は投資家にARSを販売してきたが、このリスクについての説明に不十分な点があった。
そのため、大手金融機関が司法取引に応じて、投資家からARSを買い戻すこととなった。
市場規模は3,000億ドルと言われ、この一部でも買い戻すこととなれば、金融機関側が大きな損失を負うこととなる。
(30年などの)長期の資金調達のために、(1か月などの)短期の金利入札を繰り返す証券。
前回入札した金利期間が経過すると、次の期間のための金利を再び入札で決める。
発行体は、長期資金を短期金利で調達でき、金利の非流動性プレミアム分だけ安い調達が可能になる。
(ただし、非流動性プレミアムは、常に意味のあるプラスの値とは限らない)
地方自治体などが低コストの資金調達として利用している。
投資家にとっても、信用力のあるMuniであるために受け入れられてきた。
しかし、サブプライム問題が表面化すると、短期金融市場が機能不全に陥り、ARS維持のための金利入札が困難となった。
(買い手不在となったため)流通市場が消滅し、売却しようとすれば大きな損失を生じる事態となった。
大手金融機関は投資家にARSを販売してきたが、このリスクについての説明に不十分な点があった。
そのため、大手金融機関が司法取引に応じて、投資家からARSを買い戻すこととなった。
市場規模は3,000億ドルと言われ、この一部でも買い戻すこととなれば、金融機関側が大きな損失を負うこととなる。
2008年08月23日
「証券マル優制度」の時限爆弾
本日の日本経済新聞1面に「証券マル優制度」についての記事があった。
2009年度の税制改正要望案に、高齢者の株譲渡益について500万円以下を非課税にするというものだ。
「貯蓄から投資へ」という経済政策、お金を持っているのは高齢者という現実を踏まえると、当たり前のようにも感じられる。
しかし、ここには大きな落とし穴がある。
株式投資というのは、運用成績がマクロ経済の影響を強く受ける。
そして、マクロ経済は循環している。
だから、株式投資の成果も波を打つ。
言うまでもなく、貯蓄とは異なり、大きくマイナスとなることもある。
だからこそ、株式投資は長期投資を前提とすべきだ。
換言すれば、短期・中期での運用成績の変動を時間的に平均するということだ。
こう考えると、株式投資に向く世代というのは、実は若年層である。
若ければ、幾つかの景気循環の波を平均化する機会が与えられるからだ。
一方、高齢者というのは、平均すれば、蓄えた資産を切り崩して生活する世代だ。
投資を換金した現金は、生活費にあてられる。
かならず、使わなければならないお金を株式投資からの回収で賄うのはリスクが高すぎる。
大きな損失を出すのが分かっていても、株を売っていかなければいけなくなるからだ。
もちろん、安定的な配当で生活できれば理想だが、配当だけで生活できる人は稀だろうし、そもそも、配当にしても経済環境の影響を受ける。
証券マル優を、今、導入するなら、リスクの表面化には時間がかかるだろう。
今は、株式市場が低迷期にあるように思われるからだ。
ここから、それほど大きな市場下落が起こるとは、現状では予想されない。
(もちろん、公的機関が保有する株式を売却し、その受け皿が高齢者になるようなことがあれば、早い段階での問題表面化もありうる。)
高齢者の税制優遇、国内金融市場の振興と聞けば、聞こえはいい。
しかし、注意して考えたい問題だ。
2009年度の税制改正要望案に、高齢者の株譲渡益について500万円以下を非課税にするというものだ。
「貯蓄から投資へ」という経済政策、お金を持っているのは高齢者という現実を踏まえると、当たり前のようにも感じられる。
しかし、ここには大きな落とし穴がある。
株式投資というのは、運用成績がマクロ経済の影響を強く受ける。
そして、マクロ経済は循環している。
だから、株式投資の成果も波を打つ。
言うまでもなく、貯蓄とは異なり、大きくマイナスとなることもある。
だからこそ、株式投資は長期投資を前提とすべきだ。
換言すれば、短期・中期での運用成績の変動を時間的に平均するということだ。
こう考えると、株式投資に向く世代というのは、実は若年層である。
若ければ、幾つかの景気循環の波を平均化する機会が与えられるからだ。
一方、高齢者というのは、平均すれば、蓄えた資産を切り崩して生活する世代だ。
投資を換金した現金は、生活費にあてられる。
かならず、使わなければならないお金を株式投資からの回収で賄うのはリスクが高すぎる。
大きな損失を出すのが分かっていても、株を売っていかなければいけなくなるからだ。
もちろん、安定的な配当で生活できれば理想だが、配当だけで生活できる人は稀だろうし、そもそも、配当にしても経済環境の影響を受ける。
証券マル優を、今、導入するなら、リスクの表面化には時間がかかるだろう。
今は、株式市場が低迷期にあるように思われるからだ。
ここから、それほど大きな市場下落が起こるとは、現状では予想されない。
(もちろん、公的機関が保有する株式を売却し、その受け皿が高齢者になるようなことがあれば、早い段階での問題表面化もありうる。)
高齢者の税制優遇、国内金融市場の振興と聞けば、聞こえはいい。
しかし、注意して考えたい問題だ。
税制適格退職年金
退職金制度を年金契約にして、生命保険会社や信託銀行に委託して運用する企業年金で、厚生年金基金制度とは異なり、基金が介在しない。
1962年以前は、企業が従業員の年金支払いに備えて社外の資金プールへ拠出する場合、拠出の時点で従業員への給与とみなされ、課税されていた。
1962年よりの税制改正で、国税庁より税制適格と承認された場合、拠出金が税務上、全額損金処理扱いできることとなった。
これにより、従業員の課税も繰り延べられることとなった。
かつて、厚生年金基金とならび普及した企業年金で、税務上のメリットから、主に中小・中堅企業で採用された。
しかし、年金資産と年金債務を管理する仕組みが整備されなかったことで、多くの企業で深刻な積み立て不足となる事象が発生。
放置すれば、従業員の年金受給ができなくなることから、2012年3月末で廃止されることとなった。
加入企業は、廃止となる前に、他の企業年金へ移行するか、解約しなければいけない。
移行するとすれば、企業年金基金連合会、企業年金(確定給付、確定拠出)、中小企業退職金共済、法人加入保険などへの移行となる。
1962年以前は、企業が従業員の年金支払いに備えて社外の資金プールへ拠出する場合、拠出の時点で従業員への給与とみなされ、課税されていた。
1962年よりの税制改正で、国税庁より税制適格と承認された場合、拠出金が税務上、全額損金処理扱いできることとなった。
これにより、従業員の課税も繰り延べられることとなった。
かつて、厚生年金基金とならび普及した企業年金で、税務上のメリットから、主に中小・中堅企業で採用された。
しかし、年金資産と年金債務を管理する仕組みが整備されなかったことで、多くの企業で深刻な積み立て不足となる事象が発生。
放置すれば、従業員の年金受給ができなくなることから、2012年3月末で廃止されることとなった。
加入企業は、廃止となる前に、他の企業年金へ移行するか、解約しなければいけない。
移行するとすれば、企業年金基金連合会、企業年金(確定給付、確定拠出)、中小企業退職金共済、法人加入保険などへの移行となる。
2008年08月22日
経済産業省の「研究法人」法案の執念
本日の日本経済新聞の1面トップは経済産業省が主導する「研究法人」の法案が来年にも国会に提出されるとの記事だった。
この見出しを見て、首をひねった企業関係者も多いだろう。
記事によれば、共同研究などのVehicleとして、税負担を軽減し、会社組織への転換も可能な形態を用意したいとの趣旨だ。
ここで思い出すのは、3年前の新会社法の公布時に議論された、合同会社と有限責任事業組合だろう。
このうち、有限責任事業組合は、欧米でのLLPに相当するもので、
・組合であるため法人格を有せず、事業活動の幅に制約
・事業化フェーズにおける法人への転換が煩雑
などの課題がある。
一方の合同会社は、米国でのLLCに相当するもので、
・法人格を有する
・株式会社への転換が可能
とされる。
合同会社がある日本で、なぜ、研究法人か?
それは、言うまでもなく、税法上の問題だ。
米国のLLCが普及したのは、出資者がLLCの損益の出資割合分を自己の損益へ取り込める「パススルー課税」とされていたからだ。
新会社法の制定時においても、経済産業省は、合同会社にこのパススルー課税を実現させたかった。
しかし、税収減を案じる財務省からストップがかかり、パススルー課税の適用は有限責任組合のみに終わった。
今回の「研究法人」構想は、その復活折衝であろう。
法人の目的を研究開発に限定することで、税収へのインパクトを軽減し、パススルー課税を実現させようとしている。
経済が停滞し、景気刺激策が求められる中、今度は悲願が成就するのだろうか。
この見出しを見て、首をひねった企業関係者も多いだろう。
記事によれば、共同研究などのVehicleとして、税負担を軽減し、会社組織への転換も可能な形態を用意したいとの趣旨だ。
ここで思い出すのは、3年前の新会社法の公布時に議論された、合同会社と有限責任事業組合だろう。
このうち、有限責任事業組合は、欧米でのLLPに相当するもので、
・組合であるため法人格を有せず、事業活動の幅に制約
・事業化フェーズにおける法人への転換が煩雑
などの課題がある。
一方の合同会社は、米国でのLLCに相当するもので、
・法人格を有する
・株式会社への転換が可能
とされる。
合同会社がある日本で、なぜ、研究法人か?
それは、言うまでもなく、税法上の問題だ。
米国のLLCが普及したのは、出資者がLLCの損益の出資割合分を自己の損益へ取り込める「パススルー課税」とされていたからだ。
新会社法の制定時においても、経済産業省は、合同会社にこのパススルー課税を実現させたかった。
しかし、税収減を案じる財務省からストップがかかり、パススルー課税の適用は有限責任組合のみに終わった。
今回の「研究法人」構想は、その復活折衝であろう。
法人の目的を研究開発に限定することで、税収へのインパクトを軽減し、パススルー課税を実現させようとしている。
経済が停滞し、景気刺激策が求められる中、今度は悲願が成就するのだろうか。
2008年08月21日
カバードボンド, Covered Bond
社債のうち、(住宅ローン債権などの)資産プールからのキャッシュフローを引き当てとして発行するもの。
カバードボンドは、無担保社債と同様、資金調達を図ろうとする(金融機関など)オリジネーター自らが発行する。
このためオンバランスとなるが、資産の裏づけがあるため、高格付けが得られる。
サブプライム問題で注目を浴びた資産担保証券は、担保資産を引当にSPVが発行する債券である。
SPVに担保資産が移転するため、資金調達を行おうとするオリジネーターはオフバランスにできる。
そのため、担保資産で債務不履行(デフォルト)が発生すると、資産担保証券を購入した投資家が損失を被る。
カバードボンドでは、資産プールでデフォルトが起こっても、オリジネーターが利払い・償還を行う義務を負う。
このため、資産プールからのキャッシュフロー回収について、オリジネーターのモラルハザードを回避できる。
欧州では20か国で採用され、発行残高は300兆円という(週間ダイヤモンド7月19日号)。
米国の商業銀行などでカバードボンドが導入されれば、現在、オフバランス化されている資産をオンバランス計上することになる。
そうなれば、BIS基準等の観点から、事業活動に大きな制約を受けると予想される。
カバードボンドは、無担保社債と同様、資金調達を図ろうとする(金融機関など)オリジネーター自らが発行する。
このためオンバランスとなるが、資産の裏づけがあるため、高格付けが得られる。
サブプライム問題で注目を浴びた資産担保証券は、担保資産を引当にSPVが発行する債券である。
SPVに担保資産が移転するため、資金調達を行おうとするオリジネーターはオフバランスにできる。
そのため、担保資産で債務不履行(デフォルト)が発生すると、資産担保証券を購入した投資家が損失を被る。
カバードボンドでは、資産プールでデフォルトが起こっても、オリジネーターが利払い・償還を行う義務を負う。
このため、資産プールからのキャッシュフロー回収について、オリジネーターのモラルハザードを回避できる。
欧州では20か国で採用され、発行残高は300兆円という(週間ダイヤモンド7月19日号)。
米国の商業銀行などでカバードボンドが導入されれば、現在、オフバランス化されている資産をオンバランス計上することになる。
そうなれば、BIS基準等の観点から、事業活動に大きな制約を受けると予想される。
2008年08月17日
海外子会社からの配当が非課税に
本日の日本経済新聞1面で報じられている。
企業が海外で得た利益を国内に還流しないのを防ぎ、国内への還流を促すことで、国内への投資を刺激しようというものだ。
経済産業省による税制改正案で、財務省との調整に入るという。
歳入を確保したい財務省との調整がまだだから、実現のほどはいまだ分からない。
しかし、産業のグローバル化が進む中で、重要なテーマの一つであることは間違いない。
現在の日本の税制では、海外子会社が利益を上げると、海外当局への納税義務を生じる。
さらに、配当等によりキャッシュを日本に回収すれば、そこで日本政府から課税されてしまう。
ただし、海外で支払った税金分は、日本で税額控除される。
そもそも、企業の国外源泉所得に対する課税方法には大きく2つある。
国外所得免除制度
法人税の課税対象を居住地国内での所得に限定し、国外源泉所得には課税しないとするもの。
OECDモデル条約CHAPTER Vで規定されている。
ドイツやフランスなどが採用している。
全世界所得課税
居住地国内外を問わず法人税を課税する。
ただし、国外での所得への国内での課税は国内に配当される時点で行われ、その際、国外での納税額を税額控除する。
後者の仕組みから、外国税額控除制度とも呼ばれる。
(ほとんどの全世界所得課税では、外国税額控除が行われるため。)
日本、米国、イギリスなど、多くの国で採用されているが、見直しも盛んだ。
今回報道されている改正案では、国内で非課税とする範囲は、原則25%以上を出資している海外関係会社で、6か月以上株式を保有しているものという。
受取配当額の範囲は、
・配当額の一定の割合
・配当額からそれに対応する費用を差し引いた額
の2案。
理論的には後者が正しいように思えるが、簡潔な運用を考えて、前者が有力だという。
今回の見直しは、日本の産業振興にとってはプラスだろう。
しかし、この改正にしても、本質的なものとはいえない側面があることを指摘したい。
そもそも、なぜ、このような手当てが必要なのか。
それは、日本の法人税率が海外より高いからだ。
日本の法人税率が海外子会社のある国より低ければ、配当に対する課税はタックスレシートによる税額控除でオフセットされるはずだ。
つまり、全世界所得課税であっても配当について税金を納める必要はない。
法人税率の低さは、各国の産業拠点としての魅力の一つだ。
各国が、産業誘致のために弾力的に運用している。
いわば、国々が企業を取り合う構図なのである。
残念ながら、日本はそこで負けているわけだ。
本質的な解決は法人税率の低減であるべきではないか。
また、この課題は、法人のみに限らない。
個人の海外投資においても、2重課税と感じられてしまうような場面は多いし、個人の株式投資においても、法人税と配当課税という2重課税が存在する。
高齢化・運用難などが鮮明になるにしたがい、税の問題は尽きない。
企業が海外で得た利益を国内に還流しないのを防ぎ、国内への還流を促すことで、国内への投資を刺激しようというものだ。
経済産業省による税制改正案で、財務省との調整に入るという。
歳入を確保したい財務省との調整がまだだから、実現のほどはいまだ分からない。
しかし、産業のグローバル化が進む中で、重要なテーマの一つであることは間違いない。
現在の日本の税制では、海外子会社が利益を上げると、海外当局への納税義務を生じる。
さらに、配当等によりキャッシュを日本に回収すれば、そこで日本政府から課税されてしまう。
ただし、海外で支払った税金分は、日本で税額控除される。
そもそも、企業の国外源泉所得に対する課税方法には大きく2つある。
国外所得免除制度
法人税の課税対象を居住地国内での所得に限定し、国外源泉所得には課税しないとするもの。
OECDモデル条約CHAPTER Vで規定されている。
ドイツやフランスなどが採用している。
全世界所得課税
居住地国内外を問わず法人税を課税する。
ただし、国外での所得への国内での課税は国内に配当される時点で行われ、その際、国外での納税額を税額控除する。
後者の仕組みから、外国税額控除制度とも呼ばれる。
(ほとんどの全世界所得課税では、外国税額控除が行われるため。)
日本、米国、イギリスなど、多くの国で採用されているが、見直しも盛んだ。
今回報道されている改正案では、国内で非課税とする範囲は、原則25%以上を出資している海外関係会社で、6か月以上株式を保有しているものという。
受取配当額の範囲は、
・配当額の一定の割合
・配当額からそれに対応する費用を差し引いた額
の2案。
理論的には後者が正しいように思えるが、簡潔な運用を考えて、前者が有力だという。
今回の見直しは、日本の産業振興にとってはプラスだろう。
しかし、この改正にしても、本質的なものとはいえない側面があることを指摘したい。
そもそも、なぜ、このような手当てが必要なのか。
それは、日本の法人税率が海外より高いからだ。
日本の法人税率が海外子会社のある国より低ければ、配当に対する課税はタックスレシートによる税額控除でオフセットされるはずだ。
つまり、全世界所得課税であっても配当について税金を納める必要はない。
法人税率の低さは、各国の産業拠点としての魅力の一つだ。
各国が、産業誘致のために弾力的に運用している。
いわば、国々が企業を取り合う構図なのである。
残念ながら、日本はそこで負けているわけだ。
本質的な解決は法人税率の低減であるべきではないか。
また、この課題は、法人のみに限らない。
個人の海外投資においても、2重課税と感じられてしまうような場面は多いし、個人の株式投資においても、法人税と配当課税という2重課税が存在する。
高齢化・運用難などが鮮明になるにしたがい、税の問題は尽きない。
2008年08月13日
風力発電の課題
コスト増
原材料費の高騰や風力発電の需要増大により、風力発電設備、特に風車の価格が高騰しているという。
2007年6月の改正建設基準法の影響
改正建設基準法により、風力発電設備に対しても厳格な耐震基準が課されることとなった。
系統連系
風力発電の出力は気象条件により変動する。
この出力を直接、電力系統に接続すると、交流周波数が変動してしまう。
日本では電力会社ごとに周波数調整を行っており、その許容範囲しか電力を受け入れられない。
また、電力会社間の連系線には安定した電力を流す必要があり、電力会社を超えて風力発電の出力を送電することができない。
蓄電を用いた風力発電
出力を直流に変換し蓄電し、その後、出力を安定的な出力を交流に変換、系統へ送電するもの。
・長周期対応型:
1日単位の電力を蓄電し、より安定な出力を得るものだが、蓄電池のコストが大きい。
蓄電素子には、NAS電池、Liイオン電池が用いられ、NASは日本ガイシや東京電力が実績を積んでいる。
・短周期対応型:
数分〜数十分の電力を蓄電し、短時間の変動を解消するもの。
蓄電素子は、電気二重層キャパシタと2次電池(鉛蓄電池やNiH)の組み合わせなどで、実証試験が行われている。
原材料費の高騰や風力発電の需要増大により、風力発電設備、特に風車の価格が高騰しているという。
2007年6月の改正建設基準法の影響
改正建設基準法により、風力発電設備に対しても厳格な耐震基準が課されることとなった。
系統連系
風力発電の出力は気象条件により変動する。
この出力を直接、電力系統に接続すると、交流周波数が変動してしまう。
日本では電力会社ごとに周波数調整を行っており、その許容範囲しか電力を受け入れられない。
また、電力会社間の連系線には安定した電力を流す必要があり、電力会社を超えて風力発電の出力を送電することができない。
蓄電を用いた風力発電
出力を直流に変換し蓄電し、その後、出力を安定的な出力を交流に変換、系統へ送電するもの。
・長周期対応型:
1日単位の電力を蓄電し、より安定な出力を得るものだが、蓄電池のコストが大きい。
蓄電素子には、NAS電池、Liイオン電池が用いられ、NASは日本ガイシや東京電力が実績を積んでいる。
・短周期対応型:
数分〜数十分の電力を蓄電し、短時間の変動を解消するもの。
蓄電素子は、電気二重層キャパシタと2次電池(鉛蓄電池やNiH)の組み合わせなどで、実証試験が行われている。
2008年08月12日
エレコム (6750) 大幅増益スタート
第1四半期は、売上高12,730百万円(前年同期比2.6%減)、営業利益1,246百万円(同57.2%増)の大幅増益となった。
・PCサプライ・ファニチャー: PCサプライの販売が堅調で売上高は3,988百万円(前年同期比5.0%増)。
・ストレージ・メモリ: 販売チャネル毎に取扱製品の見直しを進め、売上高2,429百万円(同29.3%減)。
・IOデバイス: マウス、メモリリーダーライタ等の新製品投入等により売上高は順調で、1,675百万円(同3.7%増)。
・その他: AV関連製品が順調、その他のPC関連製品も堅調だったことから、売上高4,637百万円(同10.1%増)。
利益面では、新製品の投入・販売戦略が奏功し、PC周辺機器の販売価格が概ね安定していたことで、大幅増益となった。
足元の業績を踏まえ、上半期の業績予想を、前回(5月15日)から上方修正したが、通期業績予想は据え置いている。
・PCサプライ・ファニチャー: PCサプライの販売が堅調で売上高は3,988百万円(前年同期比5.0%増)。
・ストレージ・メモリ: 販売チャネル毎に取扱製品の見直しを進め、売上高2,429百万円(同29.3%減)。
・IOデバイス: マウス、メモリリーダーライタ等の新製品投入等により売上高は順調で、1,675百万円(同3.7%増)。
・その他: AV関連製品が順調、その他のPC関連製品も堅調だったことから、売上高4,637百万円(同10.1%増)。
利益面では、新製品の投入・販売戦略が奏功し、PC周辺機器の販売価格が概ね安定していたことで、大幅増益となった。
足元の業績を踏まえ、上半期の業績予想を、前回(5月15日)から上方修正したが、通期業績予想は据え置いている。
フォトロン (6879) プロダクトミックス改善で増益に
第1四半期は、売上高1,955百万円(前年同期比9.9%減)、営業利益448百万円(同13.6%増)の減収増益だった。
高速度デジタルビデオカメラが国内海外ともに好調だった一方、テレビ放送用映像記録装置は前年同期の絶好調に比較して減少した。
結果、自社製品が増加し、輸入商材が減少してプロダクトミックスの改善となり、利益率が向上したもの。
足元の業績を踏まえ、上半期の業績予想につき、利益を上方修正した。
通期業績予想は、各事業部門の業績が時間的に平準化されると見られることから、据え置かれている。
過去の株式レポート
高速度デジタルビデオカメラが国内海外ともに好調だった一方、テレビ放送用映像記録装置は前年同期の絶好調に比較して減少した。
結果、自社製品が増加し、輸入商材が減少してプロダクトミックスの改善となり、利益率が向上したもの。
足元の業績を踏まえ、上半期の業績予想につき、利益を上方修正した。
通期業績予想は、各事業部門の業績が時間的に平準化されると見られることから、据え置かれている。
過去の株式レポート
テクノアルファ (3089) 08年11月期業績予想を増益修正、過去最高の売上高・利益に
通期業績予想を、前回(1月15日)の売上高3,336百万円、営業利益305百万円から、売上高3,308百万円(0.8%減)、営業利益364百万円(19.5%増)に修正した。
売上高はほぼインラインの推移だったが、商品仕入れの70%が米ドル建てであることから、円高の恩恵を受け、利益を上方修正した。
売上高はほぼインラインの推移だったが、商品仕入れの70%が米ドル建てであることから、円高の恩恵を受け、利益を上方修正した。
ハーモニックドライブシステムズ (6324) 第1四半期はインライン
第1四半期は、売上高4,899百万円(前年同期比2.7%増)、営業利益1,111百万円(同3.9%減)のほぼ前年同期比で横ばいとなった。
地域別では、国内が前年同期比で9.7%増加、欧州は9.7%減少、半導体製造装置向けの低迷と円高の影響を受けた北米は19.9%減少となった。
営業利益は、プロダクトミックスの変化、人件費・一般経費の増加などにより、減益となった。
通期業績予想については変更していない。
過去の株式レポート
地域別では、国内が前年同期比で9.7%増加、欧州は9.7%減少、半導体製造装置向けの低迷と円高の影響を受けた北米は19.9%減少となった。
営業利益は、プロダクトミックスの変化、人件費・一般経費の増加などにより、減益となった。
通期業績予想については変更していない。
過去の株式レポート
サンケン電気 (6707) 第1四半期は減収増益スタート
第1四半期は、売上高43,869百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益103百万円(同5.8%増)の減収増益となった。
円高等の影響により減収となったものの、CCFLの受注回復により利益面では向上したもの。
半導体事業: 売上高35,670百万円(前年同期比3.2%増)。
半導体デバイスは、自動車向けが伸長伸長したものの、ブラウン管からFPDのシフトによるテレビ向けの減少、季節要因による一時的な白物家電向け製品の減少、円高などから、前年同期比で減収。
CCFLは、ほぼフル生産が続き、前年同期比べ大幅増収だった。
PM事業: 売上高5,320百万円(同20.9%減)。
韓国サンケンでの生産を中止し、インドネシアへの生産集約を推進したほか、SCM強化など事業構造改革を継続したが、重点市場であるプラズマテレビの低迷により、スイッチング電源の受注が減少した。
PS事業: 売上高2,878百万円(同0.9%増)。
携帯電話基地局向けの通信設備電源が好調だった。
ほぼインラインの業績推移であり、通期業績予想については、変更していない。
円高等の影響により減収となったものの、CCFLの受注回復により利益面では向上したもの。
半導体事業: 売上高35,670百万円(前年同期比3.2%増)。
半導体デバイスは、自動車向けが伸長伸長したものの、ブラウン管からFPDのシフトによるテレビ向けの減少、季節要因による一時的な白物家電向け製品の減少、円高などから、前年同期比で減収。
CCFLは、ほぼフル生産が続き、前年同期比べ大幅増収だった。
PM事業: 売上高5,320百万円(同20.9%減)。
韓国サンケンでの生産を中止し、インドネシアへの生産集約を推進したほか、SCM強化など事業構造改革を継続したが、重点市場であるプラズマテレビの低迷により、スイッチング電源の受注が減少した。
PS事業: 売上高2,878百万円(同0.9%増)。
携帯電話基地局向けの通信設備電源が好調だった。
ほぼインラインの業績推移であり、通期業績予想については、変更していない。
Alert: TOWA (6315) 第1四半期は10億円の営業損失に
第1四半期は、売上高3,192百万円(前年同期比47%減)、営業損益は1,061百万円の損失(前年同期は470百万円の利益)と巨額の赤字を計上した。
半導体メーカーの設備投資の削減・先延ばしにより大幅な売上減となり、売上減により営業赤字に陥ったもの。
ただし、会社によれば、超精密金型の生産能力向上による短納期化、コンプレッションモールドの営業強化により、受注高は4,635百万円と回復基調にあるという。
これを受けて、会社では通期業績予想を前回(5月21日)の売上高240億円、営業利益25億円から、今回、売上高220億円(前回比8.3%減)、営業利益12億円(同52.0%減)に下方修正した。
HSCIでは5月22日付レポート(下記リンク)にて、前回の営業利益予想が過大であると指摘していたが、残念ながら、それが早期に実現してしまった形だ。
過去の株式レポート
半導体メーカーの設備投資の削減・先延ばしにより大幅な売上減となり、売上減により営業赤字に陥ったもの。
ただし、会社によれば、超精密金型の生産能力向上による短納期化、コンプレッションモールドの営業強化により、受注高は4,635百万円と回復基調にあるという。
これを受けて、会社では通期業績予想を前回(5月21日)の売上高240億円、営業利益25億円から、今回、売上高220億円(前回比8.3%減)、営業利益12億円(同52.0%減)に下方修正した。
HSCIでは5月22日付レポート(下記リンク)にて、前回の営業利益予想が過大であると指摘していたが、残念ながら、それが早期に実現してしまった形だ。
過去の株式レポート
2008年08月11日
液浸ステッパー
投影レンズとウェハーの間に液体を満たすことで、高解像度を得られるステッパー。
前工程プロセスの変更を最小限にしながら高解像度を実現する手法として期待されている。
回路線幅が60nm以下の半導体デバイスで適しており、50nm台の量産が開始しているNANDフラッシュメモリーの生産に採用されている。
NANDフラッシュメモリーのほか、DRAMやロジック半導体でも採用が広がると予想される。
現在、ニコン、ASML(オランダ)、キャノンの3社で競合。
ステッパーの世界トップであるニコンによれば、満たす液体には純水(露光波長での屈折率1.44)を用いるという。
水の温度変動を抑え、ウェハー交換でのプロセスの中断を避けるため、ウェハー交換時にも水を流し続けなければならない。
ニコンでは、ウェハーステージの隣に装置校正用の小型ステージを設け、水を抜くことなくウェハーを交換し、同時に装置を校正する仕組みを開発した。
ニコンは、液浸ステッパーの生産能力強化を発表した。
主要拠点である大田原と熊谷の拠点で新棟を建設、来年12月にも稼動の予定。
投資額は10年度までに350億円、延床面積は16,000平米を新設し、既設と合わせ従来の2倍以上の生産能力90台/年を見込む。
前工程プロセスの変更を最小限にしながら高解像度を実現する手法として期待されている。
回路線幅が60nm以下の半導体デバイスで適しており、50nm台の量産が開始しているNANDフラッシュメモリーの生産に採用されている。
NANDフラッシュメモリーのほか、DRAMやロジック半導体でも採用が広がると予想される。
現在、ニコン、ASML(オランダ)、キャノンの3社で競合。
ステッパーの世界トップであるニコンによれば、満たす液体には純水(露光波長での屈折率1.44)を用いるという。
水の温度変動を抑え、ウェハー交換でのプロセスの中断を避けるため、ウェハー交換時にも水を流し続けなければならない。
ニコンでは、ウェハーステージの隣に装置校正用の小型ステージを設け、水を抜くことなくウェハーを交換し、同時に装置を校正する仕組みを開発した。
ニコンは、液浸ステッパーの生産能力強化を発表した。
主要拠点である大田原と熊谷の拠点で新棟を建設、来年12月にも稼動の予定。
投資額は10年度までに350億円、延床面積は16,000平米を新設し、既設と合わせ従来の2倍以上の生産能力90台/年を見込む。
2008年08月09日
最低賃金の改定が意味すること
6日、厚生労働省の諮問機関、中央最低賃金審議会が、今年の地域別最低賃金引き上げの目安を時給「15円程度」と決めた。
昨年は「14円程度」で、2年連続で10円台半ばの高い水準だった。
前向きに捉えるなら
言うまでもなく、賃金水準の低い層の生活を下支えする効果がある。
最低賃金の上げが、それより上の賃金水準の層にもプラスに波及することもある。
小泉元首相のもとで進んだ改革の弊害として現れた「格差」の問題について、下の層を救済することで緩和しようということだろう。
むろん、労働者賃金が上がれば、国内消費にもいい影響を与える。
心配するなら
低賃金に喘ぐ労働者がいるのは、中小企業であったり、派遣会社であったりだ。
中小企業については、現在の景気低迷で業績は悪化している。
賃金を上げなければならないなら、人員を絞り込むところも出てこよう。
人員削減を行うなら、雇用が失われる。
派遣へ切り替えるなら、また別の問題が生じてしまう。
マクロ経済へのマイナス影響では、企業業績にマイナスとなる変化は、株価等の低迷を通して消費の妨げとなるし、国内設備投資にも悪影響が及ぶかもしれない。
輸入インフレがホームメイドインフレにならないわけ
現在の原材料費等の高騰が始まったとき、ようやくデフレ脱却かと喜ぶ声があった。
日本は原材料等の多くを海外に頼っており、その輸入価格にインフレが生じ、これがデフレを反転させると期待されたからだ。
しかし、今は「悪いインフレ論」がさかんだ。
現在の価格上昇は、原材料費さえ転嫁できない水準にあることが多い。
なぜ、転嫁できないかといえば、そもそも需要の腰がそれほど強くなく、値上げするなら買い控える消費者行動が見られるからだ。
このような環境では、言葉は悪いが「便乗値上げ」は起こりえないから、ホームメイド・インフレに転換しない。
ここでいう便乗値上げというのは、悪い意味ではない。
輸入インフレが起これば、消費者の支出は増大してしまう。
ならば、消費者としての労働者は賃上げを願うだろう。
商品やサービスの価格がその賃上げ分を吸収するなら、輸入インフレ+αの価格上昇が起こることになる。
しかし、前段で述べたとおり、これが起こらない。
だから、賃上げの余力が企業にない。
日本の賃金は低いのか
まず、この根源的な問いを考えてみたい。
1980年代から、日本のメーカーは海外進出を進めてきた。
貿易摩擦などの外的要因はあるものの、大きな要因の一つが、経営資源のコストが低いことにあったろう。
特に、東南アジアや中国への進出では、その要因は大きい。
何の経営資源かと言えば、ヒトと不動産が主だ。
不動産はともかく、ヒトとはどういうことか。
同じ作業を国内で行うより、海外に移転して行ったことが安いからそうする、というのはどういうことか。
単純化しすぎの議論なのは承知しているが、同じ労働に対して1桁も2桁も異なる対価しか払わないというのは、いかがなものか。
Fair Tradeとは言えないだろう。
そう認めるなら、少なくとも単純労働の分野での労働者のコストパフォーマンスという観点では、日本の労働者の世界での競争力は極めて乏しくなったと言えよう。
では、ホワイトカラーではどうか。
米国でオフショアリングが急速に進んだ事実を見る限り、先進国のホワイトカラーの労働生産性というものたいしたものではないらしい。
日本人はまだ幸運だった。
日本語を話すだけで、インド人と競わなくてすんでいるから。
平均において賃金を下げるべきでは
日本の労働者の賃金水準が平均において高すぎると仮説を設けるならば、次に何を行うべきなのか。
言うまでもなく、平均における賃下げだろう。
しかし、あいにく労働賃金とは、ことさら下方硬直性の高い性格だ。
そこにきてデフレが進行し、賃金が据え置かれても実質賃上げのような効果を生じていた。
唯一の救いは、円がUSドルと連動し、世界通貨に対して安くなってきたことだ。
しかし、この円安も、日本の労働者の世界におけるコスト競争力を取り戻させるほどとはいいにくい。
賃金が下方硬直性を持つなら、円安やインフレを引き起こしつつ賃金を据え置き、実質賃金の引き下げを図ればいい。
これが解だろうが、平均において、消費者としての労働者は損失を被ることになる。
それでも、労働者としての競争力は上がるから、我慢するという意見もあろう。
まず手をつけるべきはダブルスタンダードの解消ではないか
筆者は、円安やインフレによる賃下げが最終的な解であると考えている。
しかし、その前にやるべきことがある。
企業内での労働のダブルスタンダードの解消だ。
正社員と派遣社員など非正規社員との間の差別を解消すること。
同じ仕事をするなら、同じ賃金を払うべきということだ。
実は、平均において議論するなら、正社員というのは非正規社員より働けていないことさえ多い。
日本の企業が高齢化する中で、年齢ピラミッドもピラミッドではなくなった。
そこで、導入されたのが「担当部長」とか「担当課長」とか言った、担当だか管理職だか分からないポジションだ。
ラインの長でないから権限は極めて小さく、権限がないから権限に基づく意思決定などの機能を果たせない。
仮に能力があったとしても、それを発揮する機会は担当者としてのみであって、限定的になる。
それでも、結構いい年収を稼いでいたりする。
かたや、非正規社員の働きは充実している。
必要なくなれば機動的に減員されてしまうから、人がだぶつくことも少ない。
正社員のように組合等の保護にあぐらをかいていることもなく、給料分の仕事をする確率は高い。
この正社員と非正規社員の間の「人種差別」を解消することが、まず着手すべきことではないか。
働かない、あるいは、権限が回ってこないために働く機会が与えられない正社員は、大胆な賃下げを行う。
これにより、逆に日本の労働者の競争力は上昇する。
一方、賃下げに遭った正社員は、給与が高止まりしている正社員への見方を厳しくするだろう。
それが、序列の規律となるのではないか。
このダブルスタンダードの解消は、正社員の待遇悪化という弊害を持っている。
しかし、このような施策なしに現状を引きずることは、むしろ正社員にとっても危険だ。
惰性に任せた体制が行き詰ったとき起こるのは、過去とあまりにも非連続的な調整メカニズムである。
昨年は「14円程度」で、2年連続で10円台半ばの高い水準だった。
前向きに捉えるなら
言うまでもなく、賃金水準の低い層の生活を下支えする効果がある。
最低賃金の上げが、それより上の賃金水準の層にもプラスに波及することもある。
小泉元首相のもとで進んだ改革の弊害として現れた「格差」の問題について、下の層を救済することで緩和しようということだろう。
むろん、労働者賃金が上がれば、国内消費にもいい影響を与える。
心配するなら
低賃金に喘ぐ労働者がいるのは、中小企業であったり、派遣会社であったりだ。
中小企業については、現在の景気低迷で業績は悪化している。
賃金を上げなければならないなら、人員を絞り込むところも出てこよう。
人員削減を行うなら、雇用が失われる。
派遣へ切り替えるなら、また別の問題が生じてしまう。
マクロ経済へのマイナス影響では、企業業績にマイナスとなる変化は、株価等の低迷を通して消費の妨げとなるし、国内設備投資にも悪影響が及ぶかもしれない。
輸入インフレがホームメイドインフレにならないわけ
現在の原材料費等の高騰が始まったとき、ようやくデフレ脱却かと喜ぶ声があった。
日本は原材料等の多くを海外に頼っており、その輸入価格にインフレが生じ、これがデフレを反転させると期待されたからだ。
しかし、今は「悪いインフレ論」がさかんだ。
現在の価格上昇は、原材料費さえ転嫁できない水準にあることが多い。
なぜ、転嫁できないかといえば、そもそも需要の腰がそれほど強くなく、値上げするなら買い控える消費者行動が見られるからだ。
このような環境では、言葉は悪いが「便乗値上げ」は起こりえないから、ホームメイド・インフレに転換しない。
ここでいう便乗値上げというのは、悪い意味ではない。
輸入インフレが起これば、消費者の支出は増大してしまう。
ならば、消費者としての労働者は賃上げを願うだろう。
商品やサービスの価格がその賃上げ分を吸収するなら、輸入インフレ+αの価格上昇が起こることになる。
しかし、前段で述べたとおり、これが起こらない。
だから、賃上げの余力が企業にない。
日本の賃金は低いのか
まず、この根源的な問いを考えてみたい。
1980年代から、日本のメーカーは海外進出を進めてきた。
貿易摩擦などの外的要因はあるものの、大きな要因の一つが、経営資源のコストが低いことにあったろう。
特に、東南アジアや中国への進出では、その要因は大きい。
何の経営資源かと言えば、ヒトと不動産が主だ。
不動産はともかく、ヒトとはどういうことか。
同じ作業を国内で行うより、海外に移転して行ったことが安いからそうする、というのはどういうことか。
単純化しすぎの議論なのは承知しているが、同じ労働に対して1桁も2桁も異なる対価しか払わないというのは、いかがなものか。
Fair Tradeとは言えないだろう。
そう認めるなら、少なくとも単純労働の分野での労働者のコストパフォーマンスという観点では、日本の労働者の世界での競争力は極めて乏しくなったと言えよう。
では、ホワイトカラーではどうか。
米国でオフショアリングが急速に進んだ事実を見る限り、先進国のホワイトカラーの労働生産性というものたいしたものではないらしい。
日本人はまだ幸運だった。
日本語を話すだけで、インド人と競わなくてすんでいるから。
平均において賃金を下げるべきでは
日本の労働者の賃金水準が平均において高すぎると仮説を設けるならば、次に何を行うべきなのか。
言うまでもなく、平均における賃下げだろう。
しかし、あいにく労働賃金とは、ことさら下方硬直性の高い性格だ。
そこにきてデフレが進行し、賃金が据え置かれても実質賃上げのような効果を生じていた。
唯一の救いは、円がUSドルと連動し、世界通貨に対して安くなってきたことだ。
しかし、この円安も、日本の労働者の世界におけるコスト競争力を取り戻させるほどとはいいにくい。
賃金が下方硬直性を持つなら、円安やインフレを引き起こしつつ賃金を据え置き、実質賃金の引き下げを図ればいい。
これが解だろうが、平均において、消費者としての労働者は損失を被ることになる。
それでも、労働者としての競争力は上がるから、我慢するという意見もあろう。
まず手をつけるべきはダブルスタンダードの解消ではないか
筆者は、円安やインフレによる賃下げが最終的な解であると考えている。
しかし、その前にやるべきことがある。
企業内での労働のダブルスタンダードの解消だ。
正社員と派遣社員など非正規社員との間の差別を解消すること。
同じ仕事をするなら、同じ賃金を払うべきということだ。
実は、平均において議論するなら、正社員というのは非正規社員より働けていないことさえ多い。
日本の企業が高齢化する中で、年齢ピラミッドもピラミッドではなくなった。
そこで、導入されたのが「担当部長」とか「担当課長」とか言った、担当だか管理職だか分からないポジションだ。
ラインの長でないから権限は極めて小さく、権限がないから権限に基づく意思決定などの機能を果たせない。
仮に能力があったとしても、それを発揮する機会は担当者としてのみであって、限定的になる。
それでも、結構いい年収を稼いでいたりする。
かたや、非正規社員の働きは充実している。
必要なくなれば機動的に減員されてしまうから、人がだぶつくことも少ない。
正社員のように組合等の保護にあぐらをかいていることもなく、給料分の仕事をする確率は高い。
この正社員と非正規社員の間の「人種差別」を解消することが、まず着手すべきことではないか。
働かない、あるいは、権限が回ってこないために働く機会が与えられない正社員は、大胆な賃下げを行う。
これにより、逆に日本の労働者の競争力は上昇する。
一方、賃下げに遭った正社員は、給与が高止まりしている正社員への見方を厳しくするだろう。
それが、序列の規律となるのではないか。
このダブルスタンダードの解消は、正社員の待遇悪化という弊害を持っている。
しかし、このような施策なしに現状を引きずることは、むしろ正社員にとっても危険だ。
惰性に任せた体制が行き詰ったとき起こるのは、過去とあまりにも非連続的な調整メカニズムである。
2008年08月08日
フュートレック (2468、東証マザーズ) 第1四半期は大幅増収増益
第1四半期は、売上高513百万円(前年同期比54.5%増)、営業利益136百万円(同238.8%増)の大幅増収増益となった。
海外を中心に、音源部門の拡大が寄与した。
これにともない、上半期の業績予想を上方修正したが、通期については先行きの不透明性もあり据え置いている。
過去の株式レポート
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これにともない、上半期の業績予想を上方修正したが、通期については先行きの不透明性もあり据え置いている。
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