コラム

2008年08月17日

海外子会社からの配当が非課税に

本日の日本経済新聞1面で報じられている。
企業が海外で得た利益を国内に還流しないのを防ぎ、国内への還流を促すことで、国内への投資を刺激しようというものだ。
経済産業省による税制改正案で、財務省との調整に入るという。
歳入を確保したい財務省との調整がまだだから、実現のほどはいまだ分からない。
しかし、産業のグローバル化が進む中で、重要なテーマの一つであることは間違いない。

現在の日本の税制では、海外子会社が利益を上げると、海外当局への納税義務を生じる。
さらに、配当等によりキャッシュを日本に回収すれば、そこで日本政府から課税されてしまう。
ただし、海外で支払った税金分は、日本で税額控除される。

そもそも、企業の国外源泉所得に対する課税方法には大きく2つある。

国外所得免除制度
法人税の課税対象を居住地国内での所得に限定し、国外源泉所得には課税しないとするもの。
OECDモデル条約CHAPTER Vで規定されている。
ドイツやフランスなどが採用している。

全世界所得課税
居住地国内外を問わず法人税を課税する。
ただし、国外での所得への国内での課税は国内に配当される時点で行われ、その際、国外での納税額を税額控除する。
後者の仕組みから、外国税額控除制度とも呼ばれる。
(ほとんどの全世界所得課税では、外国税額控除が行われるため。)
日本、米国、イギリスなど、多くの国で採用されているが、見直しも盛んだ。

今回報道されている改正案では、国内で非課税とする範囲は、原則25%以上を出資している海外関係会社で、6か月以上株式を保有しているものという。
受取配当額の範囲は、
 ・配当額の一定の割合
 ・配当額からそれに対応する費用を差し引いた額
の2案。
理論的には後者が正しいように思えるが、簡潔な運用を考えて、前者が有力だという。

今回の見直しは、日本の産業振興にとってはプラスだろう。
しかし、この改正にしても、本質的なものとはいえない側面があることを指摘したい。

そもそも、なぜ、このような手当てが必要なのか。
それは、日本の法人税率が海外より高いからだ。
日本の法人税率が海外子会社のある国より低ければ、配当に対する課税はタックスレシートによる税額控除でオフセットされるはずだ。
つまり、全世界所得課税であっても配当について税金を納める必要はない。

法人税率の低さは、各国の産業拠点としての魅力の一つだ。
各国が、産業誘致のために弾力的に運用している。
いわば、国々が企業を取り合う構図なのである。
残念ながら、日本はそこで負けているわけだ。
本質的な解決は法人税率の低減であるべきではないか。

また、この課題は、法人のみに限らない。
個人の海外投資においても、2重課税と感じられてしまうような場面は多いし、個人の株式投資においても、法人税と配当課税という2重課税が存在する。
高齢化・運用難などが鮮明になるにしたがい、税の問題は尽きない。
posted by 浜町SCI at 17:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 備忘録
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