コラム

2008年08月30日

公正な金融検査を望む

新銀行東京の第1四半期決算が29日開示された。
経常収益18.9億円、経常損失36.4億円、四半期純損失37.2億円という結果だった。
銀行は、ほぼ見込みどおりとの説明のようだが、経常的な見入りが18.9億円に対して、かかった経常費用55.3億円ということだから、悲惨というほかない。

新銀行東京には現在も金融庁による金融検査が行われている。
5月中旬から検査官が入り、いわゆる「ラインシート」などにより、債権の健全性ほかがチェックされる。
7月末には検査官は引き上げたというが、検査は、検査結果が銀行へ説明されるまでは終了とはならない。
検査結果として今回、最も注目されるのは、言うまでもなく金融庁による資産査定結果だ。
個々のラインシートについて、金融庁による査定がなされると、銀行側はその査定結果を受け入れ、次の(四半期)決算期にその変化を反映することになる。

通常は、銀行自身による査定よりも、金融庁による査定の方が厳しくなる。
銀行とは、カネを貸して儲けが出る商売だ。
自ら債務者格付けを厳しくすれば、自ら貸出先を失うことになりかねない。
貸すかどうかは別として、債務者格付けは「正常先」にしておきたい。
そこに生じうる甘さを、金融庁は正してくれるという仕組みだ。

7月末に引き上げながら、8月末を迎えても資産査定結果がフィードバックされないというのは、やや長いような気がする。
しかし、ここにも金融当局らしい、銀行や金融市場への配慮がある。
不良債権とされる債権が増えれば、「要注意先」以下の債権で回収可能額を超える部分が損金とされ、損益が悪化する。
8月末に決算開示を予定している銀行に、8月下旬にフィードバックするというのは、決算作業上、酷だ。
銀行がフィードバックを検証し、対策を講じる時間を与えてあげないと、社会から過剰反応を受けてしまう危険がある。
また、それが、金融市場全体にも悪影響を与えかねない。
新銀行東京については、全体から見れば、瑣末でレベルの低い問題のはずだったが、昨今のマクロ経済の停滞を鑑みれば、万全を期しておきたい。

また、検査結果についても、恣意性がないとは言えない。
万が一にも金融市場に悪影響を与えないよう、ある程度の幅で、資産査定に匙加減がありうるのも事実だろう。
1999年の金融危機においても、そのような匙加減があったと聞くし、むしろ、匙加減なく杓子定規にやったとしたら、そちらが責められるべきかもしれない。

さて、ここで、一つ注文しておきたい。
国政では解散風が吹いている。
次の衆議院選挙は、政権交代、2大政党制の進展という意味で、歴史的な意味を持つような重要な選挙かもしれない。
その重要な選挙を控え、与野党ともにバラマキ合戦、人気取りに明け暮れている。

新銀行東京の資産査定については、ゆめゆめ国政に影響されないよう願いたい。
言うまでもなく、都知事は自民党に近い政治家だ。
そのような構図から、選挙前の資産査定に横槍が入ることは、決してあってはならない。
新銀行東京の資産評価額は、上期決算で、地方銀行並みの計上基準に合致させねばならない。
この問題は、単に都だけの問題ではなく、日本の金融秩序の維持の問題でもある。

そうすると、新銀行東京の上期決算はどうなるだろう。
現在の予想では、経常収益34億円、経常損失73億円、中間期純損失73億円とされている。
これは、第1四半期をほぼ横に伸ばした水準だ。
金融庁の資産査定結果は、自己査定よりは悪くなるだろうから、経常費用とするか、特別損失とするかは別として、第2四半期に損失計上が予想される。
つまり、この中間期予想は下方修正となる可能性が高い。
追加資本注入の前提であった計画値が下方修正となれば、再び責任を明らかにしなければならなくなる。

都民の財産が、都知事と都議会の道楽に費消され、だらだらと、責任追及という不利益な手続きさえ生んでいる。
責任追及は利益こそ生まないが、やらねばならぬことだからしかたがない。
しかし、無駄は無駄。
誇りと良心を有する当事者たちが、自ら、自己の責任を真摯に受け止め、傷を大きくするような問題先送りを取りやめることを願う。
posted by 浜町SCI at 20:52 | Comment(0) | TrackBack(1) | 政治
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最終局面が近づく新銀行東京
Excerpt: 金融庁が新銀行東京へ検査結果を伝えたことが報道されている。 積立不足額は、日本経済新聞によれば100億円、朝日新聞は数十億円と伝えている。
Weblog: 浜町SCI コラム
Tracked: 2008-10-22 20:23