コラム

2008年10月22日

勝ったのはどちらか? サムスンと東芝

東芝は20日、NAND型フラッシュメモリの生産拠点である四日市工場について、米国サンディスク・コーポレーションの要請に基づき、共同出資の製造合弁会社の持分を変更すると開示した。
四日市工場の第3、第4製造棟は、サンディスクと折半出資のJVが共同生産を行っていた。
今回の取引で、約30%を東芝単独で運営し、残りの約70%をJVで運営することとなる。
東芝は300mmウェハラインの生産能力を2社合計の50%から約3割増加させることができるという。

これは、言うまでもなく、サムスンによるサンディクスへの買収提案に対する対抗措置だ。
サンディスクとすれば、クラウンジュエルの一つである300mmラインを東芝へ譲渡することで、サムソンの意欲を削ぎたいのだろう。
東芝も、サンディスクが強い知的財産権を持つ中で、そのサンディスクが敵の手に落ちるのは、なんとしても避けたかっただろう。
東芝は、サンディスクに対抗TOBをかけることなく、サムスンを牽制することになる。
さらに、最新の生産ラインを自前で新設することなく手に入れることができた。
また、今回の取引が、サンディスクからの要請によるものと開示することで、その判断がやむを得ないものであったことを滲ませることもできた。

この動きは功を奏し、サムスンは22日、サンディスクへの買収提案を撤回したと発表した。
さて、誰が勝者なのか。

サンディスクは勝者なのか。
そもそも、サンディクスは、1株26ドルのサムスンによる買収提案を、買収価格が低いとして拒否した。
今回、サムスンは、
 サンディスクの赤字化、生産設備の売却により、サンディスクの価値が減少した
ことを、買収提案撤回の理由としているようだ。
ならば、26ドルの提案を拒否したこと、または、生産設備を売却すること、について、株主からの厳しいチェックを受けることになろう。
サンディスクとしては、生産設備売却が企業価値の下落につながらないだけの対価を確保したいところだ。

東芝は勝者か。
確かにサムスンの横槍を回避することはできた。
一方で、世界経済の低迷、フラッシュメモリの市況が弱含む中、生産設備を購入しなければならない。
数日前の日本経済新聞では、東芝が千数百億を見込んでいるとされていた。
決して安いとは言えないだろうし、上記の理由で、サンディスクも安売りはできない事情だ。

サンディスクも東芝も、勝者とは言えないようだ。
posted by 浜町SCI at 20:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | プレス・リリースから
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