コラム

2008年11月07日

春日電機をめぐる不毛な買収劇(3)不可解な出来事

議決権の2割弱しか持たないアインテスラが経営権を握ったこと、そして、その後に起こる金融危機が、一連の経緯に影響を与える。
これは意図されたものか、不可抗力だったのか、そう勘ぐりたくなるようなことが起こった。

2008/10/31 第三者割当による新株式発行の中止に関するお知らせ

前日の10月30日の取締役会において、第三者割当による新株式発行の意思決定を行ったこと、しかし、翌31日の取締役会において、中止を決議したことを開示。
理由として、発行内容について再検討の必要が生じたため、としている。

なお、春日電機は、30日の第三者割当増資の意思決定について、適時開示していない。
どういう発行内容だったのか、誰あてだったのか、不可思議な開示であった。

2008/11/5 特別損失の発生に関するお知らせ

「親会社等」であるアインテスラに対する債権について、特別損失に計上すると発表。
債権額は280百万円。
貸付金返済予定日の9月30日までに返済が実行されず、再三督促したが、回収が極めて困難と判断したという。

ここで、2008年9月9日に報告義務発生、17日に提出された大量保有報告書(変更報告書)を見てみよう。
この報告書で、GLOBUCKSが持分をすべて処分されたことが確認できる。
これは、同日の春日電機による開示と一致している。

それでは、アインテスラの持分はどうか。
 ・保有株数は6,750,300株。
  うち、2百万株がオリックスに担保として差し入れられている。
 ・取得資金は、自己資金152百万円、借入595百万円、合計748百万円。
  取得単価はおよそ111円と計算される。
  借入先は、インヴァスト証券445百万円、オリックス150百万円。
取得資金合計に対する借入の割合の高さを見ても、いかにレバレッジを高めた株式取得であったかがわかる。
つまり、マージンの小さい信用買いと同じリスクであったということだ。
9月以降の金融危機もあって、春日電機の現在の株価は55円だ。
この買いは大きな含み損を抱えており、信用買いではないから追証こそないものの、事実上、この株式保有だけを見れば債務超過状態にある。

11月5日の開示から、アインテスラは少なくとも280百万円を春日電機から借り入れている。
この資金は何に使われたのか。
インヴァスト証券やオリックスに対する返済に使われたのか、その他の目的のために使われたのか。

いずれにせよ、不幸な取引に終わった。
 ・アインテスラにすれば、自社のデフォルトを引き起こす一因となった。
 ・春日電機にすれば、多額の貸倒を発生させることとなった。
結果論で言うなら、上場企業を利用したバクチが外れたということになろう。
GLOBUCKSは一連の取引で利益を得たのだろうか。
GLOBUCKSの介在がなければ、春日電機は、現社長を選任しただろうか。
経営権がアインテスラに移っていなければ、春日電機はアインテスラに貸付けを行っただろうか。

経済環境が悪化する中、このような事例が増えないことを祈りたい。

(2)<< >> 続く混迷
posted by 浜町SCI at 20:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | プレス・リリースから
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