コラム
2007年05月20日
誰のための効率化か?
この記事は決して論理的なものではない
極めて感傷的な意見であることを先に述べておく
厚生労働省「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」が2010年度までにすべての診療報酬明細書(レセプト)の電子化を目指しているとCNETが報じている
先日、いきつけの某大学病院に行くと、担当医師が細かな処方箋の変更まで、自らPCに入力していた
先月までは、処方箋のハードコピーに訂正を施すだけの作業だった
合理的な変更であるとは思ったが、社会のリソースのありようを知らない変更であるとも感じられた社会保障費の低減を目指すのは、今日の日本には喫緊の重要課題だ
高齢化社会を向かえ、質は高いがコストは低い医療・介護精度を整えることは、社会の福祉を増大させる
しかし、冷静に社会のリソースのありようを思い返してみよう
リソースに限りがあるのは、カネだけだろうか?
医療の分野で限界のあるリソースと言えば、カネだけでなく、質のともなう医師の数ではないか?
豊かになった日本では、むしろカネより医師の方が重要なリソースかも知れない
そう考えると、医師に本質的でない負担を強いるような電子化は望ましくないのではないか
某大学病院の話にもどろう
先月まで処方箋を訂正印で訂正していたが、データの流れはどうなっていたのか?
想像するに、医師の段階ではハードコピーでの訂正にとどめ、それを見て事務員がデータベースの修正を図っていたのだろうと思う
この病院では、かなり前からレセプトは電子化されていたはずだ
今月からの事務フローでは、医師が自らデータベースの更新を行う
これにより、事務員がデータベース修正を行うという業務がなくなりコスト減となるほか、診察〜医療費支払までの時間短縮が実現する
IT的観点からは模範解答なのである
もしも仮に、医師が最重要のリソースと見るならば、見方は変わってこよう
医師にとって、ハードコピーを訂正するのはたやすいこと
数秒の作業だろう
ところが、データベースを修正するとすれば、数十秒〜数分の作業になってしまう
そうだとすれば、今回の変更は、誤った方向への動きということになる
換言すれば、事務員の負担を医師に移転しただけだ
事務員は優秀だから、データベース修正も数秒かも知れない
それを、本来医療行為のスペシャリストであるはずの医師に押し付けるということ
社会の人的リソースの配分上、おかしな行為なのである
医療費支払までの時間という観点から言えば、スループットの短縮になったとも思えない
医師が不慣れな分、逆にスルーで見ると長期化したかも知れない
国家予算の効率的な利用のためにIT化をすることは、間違ったことではない
しかし、社会的リソースはカネだけではないことを肝に銘じたい
役人や政治家が出す案として見れば、「IT化」というのは具体的だし前向きだし、好まれる手法だろう
しかし、安易なIT化は民間のシステム・インテグレータの懐を肥やすだけに終わりかねない
まさか、それが目的でもあるまい
さて、大学病院での逆行について言えば、時間が解決してくれると思う
各医師がデータ処理に慣れれば、大きな問題ではなくなろう
ただし、大学病院というのは(多忙ではあるが)医師が枯渇している医療機関ではない
むしろ、医師が枯渇している医療機関(おそらく地方、規模もさほど大きくない)では、医師自身のデータ処理は深刻な負担増だろう
そのようなところでは、医師が処方箋を書き、事務員がデータ入力する業務フローが続くだろうし、そうしなければいけない
それでも確かにレセプトの電子化だ
しかし、この場合、医療インフラの整備のために、最も多忙な医師たちに負担を移転したということになってしまう
私は担当医師に同情し、次のように言葉をかけた
「先生がそんな作業をするんじゃなくて、
もっと本来の付加価値の高い作業に専念された方がいいですよね」
医師は苦笑いをしていた
極めて感傷的な意見であることを先に述べておく
厚生労働省「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」が2010年度までにすべての診療報酬明細書(レセプト)の電子化を目指しているとCNETが報じている
先日、いきつけの某大学病院に行くと、担当医師が細かな処方箋の変更まで、自らPCに入力していた
先月までは、処方箋のハードコピーに訂正を施すだけの作業だった
合理的な変更であるとは思ったが、社会のリソースのありようを知らない変更であるとも感じられた社会保障費の低減を目指すのは、今日の日本には喫緊の重要課題だ
高齢化社会を向かえ、質は高いがコストは低い医療・介護精度を整えることは、社会の福祉を増大させる
しかし、冷静に社会のリソースのありようを思い返してみよう
リソースに限りがあるのは、カネだけだろうか?
医療の分野で限界のあるリソースと言えば、カネだけでなく、質のともなう医師の数ではないか?
豊かになった日本では、むしろカネより医師の方が重要なリソースかも知れない
そう考えると、医師に本質的でない負担を強いるような電子化は望ましくないのではないか
某大学病院の話にもどろう
先月まで処方箋を訂正印で訂正していたが、データの流れはどうなっていたのか?
想像するに、医師の段階ではハードコピーでの訂正にとどめ、それを見て事務員がデータベースの修正を図っていたのだろうと思う
この病院では、かなり前からレセプトは電子化されていたはずだ
今月からの事務フローでは、医師が自らデータベースの更新を行う
これにより、事務員がデータベース修正を行うという業務がなくなりコスト減となるほか、診察〜医療費支払までの時間短縮が実現する
IT的観点からは模範解答なのである
もしも仮に、医師が最重要のリソースと見るならば、見方は変わってこよう
医師にとって、ハードコピーを訂正するのはたやすいこと
数秒の作業だろう
ところが、データベースを修正するとすれば、数十秒〜数分の作業になってしまう
そうだとすれば、今回の変更は、誤った方向への動きということになる
換言すれば、事務員の負担を医師に移転しただけだ
事務員は優秀だから、データベース修正も数秒かも知れない
それを、本来医療行為のスペシャリストであるはずの医師に押し付けるということ
社会の人的リソースの配分上、おかしな行為なのである
医療費支払までの時間という観点から言えば、スループットの短縮になったとも思えない
医師が不慣れな分、逆にスルーで見ると長期化したかも知れない
国家予算の効率的な利用のためにIT化をすることは、間違ったことではない
しかし、社会的リソースはカネだけではないことを肝に銘じたい
役人や政治家が出す案として見れば、「IT化」というのは具体的だし前向きだし、好まれる手法だろう
しかし、安易なIT化は民間のシステム・インテグレータの懐を肥やすだけに終わりかねない
まさか、それが目的でもあるまい
さて、大学病院での逆行について言えば、時間が解決してくれると思う
各医師がデータ処理に慣れれば、大きな問題ではなくなろう
ただし、大学病院というのは(多忙ではあるが)医師が枯渇している医療機関ではない
むしろ、医師が枯渇している医療機関(おそらく地方、規模もさほど大きくない)では、医師自身のデータ処理は深刻な負担増だろう
そのようなところでは、医師が処方箋を書き、事務員がデータ入力する業務フローが続くだろうし、そうしなければいけない
それでも確かにレセプトの電子化だ
しかし、この場合、医療インフラの整備のために、最も多忙な医師たちに負担を移転したということになってしまう
私は担当医師に同情し、次のように言葉をかけた
「先生がそんな作業をするんじゃなくて、
もっと本来の付加価値の高い作業に専念された方がいいですよね」
医師は苦笑いをしていた
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