コラム
2007年08月08日
ブルドック論争は終幕ではない
本日の日経新聞では、3つの紙面に渡ってブルドックソース買収防衛策にかかわる最高裁決定を報じている
大きな見出し
「ブルドック買収」終幕
が読める
しかし、買収は終わっても提起された課題は解決しない
ブルドックソース経営陣の皆さんには悪いが、今回のごたごたについて筆者は少し経営者に厳しい立場にある
今回の防衛策の趣旨が分からないし、うがった見方をすれば会社の過剰反応または経営者の保身に見えてしまうからだ
そのような立場の筆者から見ても、最高裁の抗告棄却の論拠はとても妥当なものであったと思う
その判断は株主自身により判断されるべきもの
今回、ブルドック株主総会では83.4%が賛成し可決した
それは、スティールの提案が株主の共同の利益を害すると判断したものとみなせる
その背景には、スティールが経営権獲得後の経営・投資回収方針を示さなかったことがあるのであろう
スティールは新株予約権の行使はできなくとも、金銭的な補償は得られる
その金額はスティールのTOB価格に基づき計算されたもの
株主もその金銭支払が会社に損失を与えることを承知している
スティールが濫用的買収者にあたるか否かにかかわらず、この買収防衛策は法令等に違反しない
スティールの新株予約権には価値に見合う対価が支払われるのであり、「著しく不公正な方法」とは言えない
新株予約権の無償割当が役員らまたは特定株主の支配権の維持のためであれば「著しく不公正な方法」と解すべき
しかし、本件はそのような場合に該当しない
今回はスティールによる買収を想定した上で株主自身が判断した買収防衛である
これを排除するのは、かえってブルドックの8割以上の株主の権利を侵すことになる
スティールが濫用的買収者であるかどうか判断しなかったこと
これは、意見の分かれるところだ
判断しなかったから、東京高裁の判断が追認されるとする見方
スティールを濫用的買収者とする根拠が十分でなかったとする見方
そもそも、東京高裁がスティールを濫用的買収者とする根拠は曖昧だった
企業経営も資本市場のよく知らない裁判官が心証だけで下したような感さえあった
最高裁は同じ過ちはしていないように見える
いずれにせよ、「濫用的」か否かは熟慮の上具体的な基準を示すことが大切だ
よかれと思ってできの悪い判断基準を作ってしまえば、資本市場・経営活動に大きなマイナスを及ぼしかねない
同じように経営者の保身としなかったこと
筆者が持った印象はともかく、今回の買収防衛策が経営者の保身である確たる証拠はない
ならば、それは司法の場ではシロであるべきだ
また、第三者の支配権維持のための買収防衛でないことは客観的事実である
濫用的買収者に金銭を与える方法を用意してしまったこと
これは残念なことだ
今回と同じことをグリーンメーラが行ったら、グリーンメーラは喜んで対価をもらっていくことだろう
公然とそのような反社会的な行動を行うフレームワークを作る結果になったことは残念だ
このような眺めてみると、最高裁の決定は、極めて冷静に感情を排して下されたものであるようの思う
東京高裁の決定があまりにも拙速であったので、今回の最高裁決定には胸をなでおろした
そもそも買収防衛策という形をとること自体に、経営者の保身が見え隠れする
保身の魂胆を隠したいがために買収防衛策という形をとったのだろうが、みえみえのタイミングだ
むしろ、今回は株主の理解を得られていたのだから、TOBに応じないよう株主に呼びかけることで乗り切るべきだった
買収防衛策を導入するのはほとぼりが冷めてからでもよかったはずだ
問題が終わらないのは、ブルドックが依然として証券取引所に上場し続けることだ
いや、株主の利益を保護するためには上場を廃止するのは行き過ぎかもしれない
しかし、ブルドックのような会社では株主の権利が突如として制限されない状況が継続する
ならば、そのことを分かりやすく表示し、投資家に注意を喚起すべきだ
決算短信や有価証券報告書を何ページも読み進まなければわからないような株主権の制限を許してよいのか
これを防ぐために、株主権に潜在的に制限が起こりうる銘柄について、市場を分ける等の工夫をすべきではないか
今回の論争は、会社法等の法令上の論争を終えた
しかし、資本市場の守護神たる証券取引所による検討はまだまだ続くべきであるように思う
大きな見出し
「ブルドック買収」終幕
が読める
しかし、買収は終わっても提起された課題は解決しない
ブルドックソース経営陣の皆さんには悪いが、今回のごたごたについて筆者は少し経営者に厳しい立場にある
今回の防衛策の趣旨が分からないし、うがった見方をすれば会社の過剰反応または経営者の保身に見えてしまうからだ
そのような立場の筆者から見ても、最高裁の抗告棄却の論拠はとても妥当なものであったと思う
最高裁決定の要旨
株主の共同の利益を守るための買収防衛を行うことは認められるその判断は株主自身により判断されるべきもの
今回、ブルドック株主総会では83.4%が賛成し可決した
それは、スティールの提案が株主の共同の利益を害すると判断したものとみなせる
その背景には、スティールが経営権獲得後の経営・投資回収方針を示さなかったことがあるのであろう
スティールは新株予約権の行使はできなくとも、金銭的な補償は得られる
その金額はスティールのTOB価格に基づき計算されたもの
株主もその金銭支払が会社に損失を与えることを承知している
スティールが濫用的買収者にあたるか否かにかかわらず、この買収防衛策は法令等に違反しない
スティールの新株予約権には価値に見合う対価が支払われるのであり、「著しく不公正な方法」とは言えない
新株予約権の無償割当が役員らまたは特定株主の支配権の維持のためであれば「著しく不公正な方法」と解すべき
しかし、本件はそのような場合に該当しない
最高裁決定のポイント
買収防衛の是非は株主自身により判断されるべき今回はスティールによる買収を想定した上で株主自身が判断した買収防衛である
これを排除するのは、かえってブルドックの8割以上の株主の権利を侵すことになる
スティールが濫用的買収者であるかどうか判断しなかったこと
これは、意見の分かれるところだ
判断しなかったから、東京高裁の判断が追認されるとする見方
スティールを濫用的買収者とする根拠が十分でなかったとする見方
そもそも、東京高裁がスティールを濫用的買収者とする根拠は曖昧だった
企業経営も資本市場のよく知らない裁判官が心証だけで下したような感さえあった
最高裁は同じ過ちはしていないように見える
いずれにせよ、「濫用的」か否かは熟慮の上具体的な基準を示すことが大切だ
よかれと思ってできの悪い判断基準を作ってしまえば、資本市場・経営活動に大きなマイナスを及ぼしかねない
同じように経営者の保身としなかったこと
筆者が持った印象はともかく、今回の買収防衛策が経営者の保身である確たる証拠はない
ならば、それは司法の場ではシロであるべきだ
また、第三者の支配権維持のための買収防衛でないことは客観的事実である
濫用的買収者に金銭を与える方法を用意してしまったこと
これは残念なことだ
今回と同じことをグリーンメーラが行ったら、グリーンメーラは喜んで対価をもらっていくことだろう
公然とそのような反社会的な行動を行うフレームワークを作る結果になったことは残念だ
このような眺めてみると、最高裁の決定は、極めて冷静に感情を排して下されたものであるようの思う
東京高裁の決定があまりにも拙速であったので、今回の最高裁決定には胸をなでおろした
しかし問題はまだ終わらない
今回のブルドックの買収攻防戦は、いささかレベルの低い会社側の対応があったそもそも買収防衛策という形をとること自体に、経営者の保身が見え隠れする
保身の魂胆を隠したいがために買収防衛策という形をとったのだろうが、みえみえのタイミングだ
むしろ、今回は株主の理解を得られていたのだから、TOBに応じないよう株主に呼びかけることで乗り切るべきだった
買収防衛策を導入するのはほとぼりが冷めてからでもよかったはずだ
問題が終わらないのは、ブルドックが依然として証券取引所に上場し続けることだ
いや、株主の利益を保護するためには上場を廃止するのは行き過ぎかもしれない
しかし、ブルドックのような会社では株主の権利が突如として制限されない状況が継続する
ならば、そのことを分かりやすく表示し、投資家に注意を喚起すべきだ
決算短信や有価証券報告書を何ページも読み進まなければわからないような株主権の制限を許してよいのか
これを防ぐために、株主権に潜在的に制限が起こりうる銘柄について、市場を分ける等の工夫をすべきではないか
今回の論争は、会社法等の法令上の論争を終えた
しかし、資本市場の守護神たる証券取引所による検討はまだまだ続くべきであるように思う
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