コラム

2008年04月24日

日本板硝子 (5202) グローバル化のお手本

日本板硝子の社長にイギリスの子会社Pilkingtonの社長のチェンバース氏が就任する。
社外取締役を除くボードの過半を外国人が占めるというから、立派な多国籍企業だ。
日本企業がグローバル化する手本とすべき事例ではないか。

日本板硝子は2006年に自社の倍の売上のある英社Pilkingtonを子会社化した。
国内市場が成熟する中で、海外比率わずか2割と出遅れたための起死回生の買収だった。
このような同業間での買収を成功させるのは、言うまでもなくPost-acquisition Consolidationである。

従来の日本企業のように、資本の論理を振りかざしたやり方だったらどうなるだろう。
日本板硝子側が「買収する金は日本板硝子の金だから」として、Pilkingtonの経営を入れ替え、日本側による統治を行うケースだ。
Pilkingtonの役員・従業員、特に優秀なホワイトカラーは自律性を失ったと感じ、極度なモラルダウンに陥っていただろう。
かつて誇を持って仕事にあたっていた人たちが、日系企業の「ローカル社員」という意識を抱いてしまう。
たくさんの従業員が、優秀な順に会社を去ってしまい、被買収企業の価値は瞬く間に失われてしまうだろう。

今回の日本板硝子の決定は、クロス・ボーダーの買収に限らず、Post-acquisition Consolidationのお手本と言えるものだった。
買収資金は買収会社のものであって、買収会社の役員・従業員のものではない。
それは、買収会社の株主のものなのである。
だから、Post-acquisition Consolidationは、それら株主の利益を最大化させるように努めなければならない。

買収で得るものは、財産や市場シェアだけではない。
大切なのは、優秀な人材だ。
だから、被買収会社の人材を最大限に生かす施策を考えるべきだ。
そこで「被買収会社の組織・人材に最大限に活躍していただく」という考えが必要になる。

そのような観点からも、今回の日本板硝子の意思決定は賞賛に値する。
こういう経営を行っていれば、市場シェアがさほど大きくない会社でも、自然とグローバル化がなされていくのではないか。
posted by 浜町SCI at 08:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境
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