コラム

2008年05月24日

グッドウィル (4723) 臨時株主総会のレビュー

グッドウィル・グループ(GG)は昨日の臨時株主総会において、予定していた特別決議の提案を見送った。
いろいろな公表資料から、今回の票読みの復習をしてみよう。

GGのウェブサイトを見ると、黄色い背景色の画面に次回の臨時株主総会での支持を訴える内容が掲示されている。
ここでは、筆頭のユナイテッド・テクノロジー・ホールディングス(UTH)は25.66%となっている。
また、書面とインターネットによる事前の議決権行使状況が書かれており、UTH以外で議決権割合50.61%が意思表示をし、96.09%が賛成したとされている。
つまり、議決権割合で48.63%が賛成だったことになる。
この数字に、創業者やモルガンスタンレー/サーベラス陣営の数字が入っているかどうかは明確でない。

事前行使では76.27%が議決権行使し、賛成48.63%、反対または無効27.64%であったと推定できる。

昨日付「当社臨時株主総会決議結果と継続会の開催及び代表取締役の異動に関するお知らせ」では、議決権行使された議決権が全体の76.22%であったとされている。
端数で矛盾があるのはご愛嬌。
安堵するのは、当日、ほとんどの株主が株主総会に出席しなかったことだ。
大きな混乱がなかったことは結果的にはよかった。

また、この数字から、創業者やモルガンスタンレー/サーベラス陣営は株主総会に出席しての議決権行使ではなく、事前行使だったことが分かる。

余談になるが、このリリースは内容がかなり面白い。
第1号議案及び第2号議案の否決が確定し、本件財務リストラクチャリングの実行が見込めなくなった場合には、当社のキャッシュフローが悪化するのみならず、金融機関の当社に対する見方もより慎重なものとなると思われます。また、当社株価が本件財務リストラクチャリングの実現を織り込んで形成されていることを前提とすると、当社株価が大きく下落し、結果的に当社の企業価値及び株主価値が著しく毀損されるおそれがあります。
というような脅し文句ともとれるような強い書きかたがされている。
そうかと思えば、
議決権行使を頂いた株主様は総議決権数の76.22%に過ぎない
と言ってみたりする。
通常なら3/4が行使すれば何の問題もないはずだ。
会社は否決を恐れる以上に、訴訟を恐れたのではないかと邪推したくなる部分だ。

本題に戻ると、議決権行使76.22%に対して、反対または無効が27.64%またはそれ以上あったから、上程していれば否決となったことになる。
当日、株主総会に出席して賛成する株主がいる可能性もあったが、会社は議決を延期する道を選んだ。
結果的には、出席する株主は僅少だった。

出席株主が僅少だったのにも理由がある。
5月8日付「臨時株主総会の運営について」という案内で

今回は臨時株主総会であることも踏まえて、これまで実施してまいりました株主総会当日のお土産の配布、昼食のご用意、送迎用シャトルバスの運行および株主懇談会の開催を見合わせることといたしました。
とされている。
土産や昼食はともかく、最も対話をすべき時期にこれでは個人株主が出席するはずもなかった。
会社は円滑な総会運営のために、個人株主等を排除したかったのだろうが、これが裏目に出たということだ。

苦言をいくつか。
決議を実行したら否決されるかも知れないから決議しないというのはいかがなものか。
確かに否決されるのは大きな賭けだ。
結果、会社が言うように「株価が大きく下落し、結果的に当社の企業価値及び株主価値が著しく毀損される」かも知れない。
あるいは、当日、株価が上がったように、会社側の見込みが的外れであったことが露呈するのかも知れない。
株主はそれらリスクを知らされた上で、それでも決断しようとしている。
それを会社が実質的に妨げるのはいささか行き過ぎではないか。

そもそもの問題を作ったのは誰だったか。
一義的にはGGという持株会社の責任ではないのか。
その当時者たちが、どこまでも内輪でやりたいようにやっているという印象を与え続けているのは残念だ。
GGのグループ会社のほとんどはまっとうな会社であり、そこには誠実に働く従業員や派遣要員がいる。
その人たちを守ることも、会社、そして株主の社会的責任だろう。
結論を先延ばしするようなやり方が果たして適切なのだろうか。

08年6月期の中間決算短信によれば、連結の有利子負債は1655億円。
うち1514億円が持株会社単体の有利子負債だ。
これは朗報だ。
GGという持株会社がデフォルトになろうと、グループの事業会社は生き残る。
金融機関から大きく借りこんでいるのは、持株会社でしかない。
むろん、持株会社がデフォルトすれば、その影響は事業会社にも及ぶが、事業会社には事業が創出するキャッシュフローがある。
生き残るべき事業は、そのキャッシュフローを引き当てに新たな銀行借入を起こすようにすればよい。

そう考えると、この財務リストラもグループ維持を優先させたもののように感じられてしまう。
創業の事業からの撤退を考えている会社が、持株会社を中心とした現組織に執着するのは何故なのか。

組織防衛を悪と言うつもりはない。
組織防衛をする者がいなくなれば、組織は滅びるしかない。
しかし、上記のようなことをめぐらしていると、どうしても頭をかすめることがある。
 これらが、持株会社の経営層の保身ではないのか。
そこに多くの人たちが違和感を感じているのではないか。
これを払拭しない限り、問題は円満に解決しない。

UTHは昨日午後、決算短信を開示した。
グッドウィル・グループは今月下旬に予定されている第3四半期業績開示がまだだ。
両社ともに社内は大忙しの状態なのだろう。
権力と金のために飽くなき闘争を続ける経営者は別として、従事するスタッフの皆さんの現状には心から同情したい。
posted by 浜町SCI at 10:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | プレス・リリースから
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