コラム

2008年05月30日

アデランスホールディングス (8170、AH) 社長以下7名の再任を否決

スティール・パートナーズが約29%を保有するAHの株主総会で、社長を含む7名の取締役の再任が否決された。
スティールは業績・株価の低迷を理由に再任を反対していた。
スティールは株主への賛同を求めるために目だった活動を行っていなかったが、外国人株主の保有比率の上昇、一般株主の意識の変化が否決に結びついた。

この件で、考えておきたい点は3つ。

これまで悪者扱いされることが多かったスティールだが、実は投資家側は冷静であり、悪者とは思っていない人も多いことが推測される。
日本の投資家もAgency Problemと戦い始めた。
パフォーマンスの悪い経営者にNoと言う、この当たり前の権利を行使し始めた。
今後は、株主に不誠実な経営者にもNoと言う事例が増えそうだ。

日本経済新聞の社説はこう結んでいる。
スティールもアデランスの経営をどう変えるのか、大株主として姿勢が問われている。
この表現は曖昧だが、真意に注意したい。
「経営」を「経営者」と読むならば、その通りだ。
再任に反対し、否決したのだから、代案を出すのは大株主の役割だろう。
しかし、もしも「経営」が会社経営のことであると解釈するなら、それは誤りと言うべきだ。
「所有と経営の分離」をもう一度思い出してほしい。
同種のことをTCIも主張していたが、会社経営は経営者の仕事であって、株主の仕事ではない。
株主は経営者を選任することによって、経営に影響力を持つ。
再任を否決することで会社経営にまで責任を持たせるのは、金融投資家から実質的に株主権を剥奪するに等しい。

総会の開催前に再任が否決されることを会社は知っていたこと。
これは、最近のグッドウィルでの事例と異なるところだ。
グッドウィルは、優先株発行のための特別決議が否決されるのを恐れ、総会での議案提案を見送った。
AHでもこのような手段を講じる可能性もあったはずだ。
しかし、あえて会社は株主の判断を受けた。
この点で、AHは誠実であったと思う。
posted by 浜町SCI at 22:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境
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