コラム

2008年09月08日

名さばき、されど問題は解決しない

米政府が、住宅公社を公的管理下に置く。
公社を公的管理下というと変なようだが、ファニーメイやフレディマックは今のところは民間企業である。
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2008年09月04日

国際会計基準への収斂が加速

経団連、会計士協会、金融庁などが、2011年度以降に国際会計基準を導入する検討に入ったと、日本経済新聞社が1面トップで報じた。
これまで独自路線を継続すると思われてきた米国SECが国際会計基準を容認する意向を受け、日本も追随するものだ。
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2008年09月03日

セグメント情報の開示がマネジメント・アプローチに

2011年3月期の連結決算より、セグメント情報の開示基準が変更になる。
経営者が経営管理に用いている情報に基づいて開示する「マネジメント・アプローチ」が採用される。
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2008年08月28日

ドル暴落に蓄えられるエネルギー

日本経済新聞が、3月の金融危機の時に日米欧で為替強調介入の合意があったことを報じた。
大手証券会社ベアスターンズが深刻な経営危機に陥り、それが引き金となって米国に金融危機が引き起こされ、ついには基軸通貨であるUSドルの暴落とつながることを懸念してのことであった。
「米国主導」と書かれており、自由経済を唱える米国が、自国通貨の防衛を求めたとすれば、事態の深刻さが伺われよう。

この出来事から考えなければいけないことが2つある。

中・長期的に見れば、経済はあるべき方向に進むということ。
幸い現在、米国経済は急激な変化を避けるペースで調整を済ませようとしている。
しかし、この調整は大きな変動の中の、小さなコブ程度の話に過ぎないかも知れない。
暴落を引き起こすかも知れないドライビングフォースは、長年の米国の貿易赤字によって積み上がった対外債務が反転を促している力である。
例えるなら、貿易赤字によって、大陸プレートが海洋プレートによりパンパンに巻き込まれている状態なのだ。
協調介入によって、歪みが急速に解消しない、つまり大地震が起こらないようにしたところで、そもそも歪みが解消しない以上は、本質的な解決にはならない。
今もまだ、大陸プレートは地中深く巻き込まれていく一方なのだ。

もう一点は、大地震を起こすカタリストが不在で、それがまた地震の規模を大きくしてしまうだろうということ。
1992年のポンド危機では、ジョージ・ソロス氏がイングランド銀行を敵に回してポンドをショートした。
これによりポンドは暴落した。
ポンド暴落により不利益を被った者は多かったろうが、考えてみれば、ポンド下落は必然の方向性であったし、下落により輸出が増え、経済が回復したという見方もできる。
時として、このような投機が、経済の転換点でカタリストとして働くことがある。
しかし、今の米国経済とドル相場では、そのカタリストが機能しない。
米国を敵に回して利益のある投機家が見当たらないからだ。
ソロス氏のような、ハンガリー系、ユダヤ系のアメリカ人が、アメリカ経済を揺らすことに利益は少ないだろう。
同じように、米国も、対米債権を持つ国にも利益はない。
中東諸国なら、政治的にも経済的にも可能性があろうが、現状は概ね親米的な経済が多く、むしろ、揺り返しを防ぐような行動をしている。

プレートの潜り込みを緩やかに解消するようなソフトランディングの手法が講じられない限り、いつかは大きな揺れが避けられない。
しかし、そのような手法について世界経済が合意をするのは極めて困難だ。
ならば、きっと大きな揺れが起こるのだろうが、その時点を予言するのも無理な話だ。
日本の投資家(個人も法人も)が、どのような資産クラスに財産を配分するか、考える時間は残り少ない。
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2008年07月30日

錬金術としての投資ファンド業

野村プリンシパルファイナンスとCVCCパートナーズがあわせて97%の議決権を持つすかいらーくでこれら投資ファンド2社が創業者社長に退任要求していると日本経済新聞1面で報じられた。
すかいらーくは2006年、MBOを行い「経営改革を迅速に進めるため」上場を廃止した。
退任要求の理由は「業績が上向く兆しが見えないこと」と報じられている。
見方によっては、投資ファンドによる企業ガバナンスが日本でも見られるようになったともとれる。

一歩引いて、広く投資ファンド業という営みを見直してみたい。
最近は、業界で高名なトップ企業が、投資ファンドと組んでMBOを行うというニュースが聞かれるようになった。
「なぜ、トップ企業が?」と思う読者も多いだろう。
こう感じるような案件では、多くの場合「錬金術としての投資」が存在する。

業界でのトップ企業でありながら、株価がさえないというような場合が株式市場ではままある。
セクターが投資家に注目されていない、成長性が誤解されているなど、さまざまな理由による株式市場のアノーマリーの一種と言える。
このような事象をとらえて、欲に駆られた経営者と投資ファンドがMBOを仕込むのである。
まずは、上場している株式をTOBで買い集める。
そこまではいいとしても、次に来るのが上場廃止である。
「経営改革を迅速に進めるため」というような建前のもと、上場が廃止される。
しかし、なぜ、上場廃止すれば経営改革が進むのか、疑問を持つ人も多い。
意思さえあれば、経営改革は進むはずだというのが、常識人の考えだろう。

案の定、それから2-3年経ち、少しだけ業績が上ぶれすると、そのタイミングをとらえて再上場する。
再上場の際の公募・売出では、幹事証券のアナリストがバリュエーションを行う。
類似企業比較法も用いるものの、やはりDCFも大きなウェイトを占めることになるから、かつての割安な株価よりも高い株価でのIPOとなることが多い。
こうして、仮に経営改革が進まなくとも儲かるという「錬金術」が成立する。
なぜ儲かるかというと、市場のアノーマリーを取り払ったからだ。
まさにマネーゲームと言わざるを得ない営みだろう。

もちろん、投資ファンドの人たちは「本当に経営改革には上場廃止が必要なのだ」と真顔で主張する。
まったくプラスにならないとは思わないが、上場廃止のための手続き、事業とは関係のない業務プロセスの変更、再上場の手間を考えると、やはり眉につばをして聞かざるを得ない。
せめてもの救いは、投資ファンド間の競争が激しくなってきたことだ。
投資ファンドが林立する中、ポスト・アクイジションに事業にまで立ち入ってバリューアップすることができなければ儲からないような案件の取り合い状況になってきた。
ただ乗りの「錬金術」が成立しにくい環境になってきている。

筆者は以前、投資ファンドの設立と運営に参加したことがある。
だから、必ずしも錬金術が悪いとは思わない。
合法的に利益が上がる機会を目の前にして、それを掴むなと言えるほど高潔な人がどれだけいるだろうか。
しかし、やはり額に汗をしないで儲けることを恥じることだけは忘れてはなるまい。
今回のすかいらーくでの社長退任要求も、ファンド側が額に汗して働こうというスタートラインなのかも知れない。

錬金術を避けるには、TOB価格をよく検証し、ファンダメンタル・バリューに比べ低いと思えるときには、頑固に売らないということに尽きる。
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2008年07月28日

平成20年度「「年次経済財政報告」メモ

今年の経済財政白書で、投資という観点から興味深いトピックについてメモにしたので、ご参考まで公表いたします。

平成20年度「経済白書」より
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2008年07月27日

もう一つの「暗黙の債務保証」

米国の住宅公社債券の信用度が問題になっている。
従来は、同債券には米国政府の「暗黙の政府保証」が付されていると解されており、信用度は米国国債に準じるものとされてきた。
その信頼感は大きく揺らいでいる。
米国債券自体の信用度が揺らいでいるわけではないのにである。

「暗黙の政府保証」で想起される債券がある。
日本の地方自治体が発行する地方債である。
「地方債月報」によれば、3月末の地方債の残高は75兆円に上る。
これら地方債には、次のような債券格付が公表されている。

JCR(7/25現在)
大阪市AA+(長期)


R&I(6/30現在)
神戸市AA [安定的]
静岡県AA+ [安定的]
岡山県AA [ポジティブ]
北海道AA-op
宮城県AAop
福島県AAop
茨城県AAop
群馬県AA+op
埼玉県AA+op
千葉県AA+op
東京都AAAop
神奈川県AA+op
新潟県AAop
長野県AAop
岐阜県AAop
愛知県AA+op
京都府AA+op
大阪府AAop
兵庫県AAop
島根県AA-op
広島県AAop
福岡県AAop
熊本県AAop
大分県AAop
鹿児島県AA-op
札幌市AAop
仙台市AA+op
さいたま市AAop 2
千葉市AA+op
横浜市AA+op
川崎市AAop
静岡市AAop
名古屋市AAop
京都市AA-op
大阪市AA-op
堺市AAo
広島市AAop
北九州市AAop
福岡市AAop

財政状態は各自治体によってまちまちであるはずなのに、格付はAA格に収束している。
これこそ「暗黙の政府保証」の効用である。

日系格付機関のJCRでは、2月に「地方債格付けの考え方」というリリースを行った。
その中から気になる記述を紹介しよう。
JCRでは、地方債の格付けを行うにあたり、各地公体を単体として評価するわけではなく、国の信用補完と一体として評価している。
地方債に対する国の信用補完は強固なものであり、いわゆる暗黙の政府保証が働いているという前提に立った評価となっている。
このリリースは、夕張市が破綻状態に陥って生じた、市場関係者・金融機関等の「暗黙の政府保証」の有効性への疑念を払拭するために書かれた。
JCRの主張は、21年度から施行される「財政健全化法」で定める再生スキームにおいて、国の強い関与が期待でき、資金面での国による支援が制度的に組み込まれたというものだ。
国が大丈夫なら地方債も大丈夫という論理だ。
現状を是とするなら、極めて妥当な考えである。
しかし、サブプライムローン問題では、証券化商品の格付の信頼が大きく崩れたという現象も起きている。

何がアメリカと異なるのだろう。
金額規模なのか、支援の法律の有無なのか。
いずれも正解だろうが、本当に事情は異なるのだろうか。
金額が小さいと言っても、75兆円を買い支える財力が、一般会計歳出予算83兆円の日本政府にあるはずもない。
米国政府が米国住宅公社を支援する法律は近々発効するが、それで住宅公社債券の信用不安は完全に払拭されるのだろうか。
では、日本政府の信用力なのか?

OECDによる「OECD Economic Outlook No.83」には、加盟国の一般(総)政府債務残高の名目GDP比率が公表されている。
2007年の日本の数字は170.3%と、イタリアを大きく突き放して堂々の首位である。
米国は11位の62.8%。
確かに米国は対外債務が大きく、日本は小さいという違いはある。
しかし、この日本政府の信用力を長期的に信頼していいものだろうか。

地方債だけで75兆円。
人口1.3億円で割ると、一人あたり577千円だ。
決して小さな額ではないだろう。
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2008年07月23日

米国の住宅公社債券は総額5兆ドル

ポールソン財務長官が講演の中で公表したと、日本経済新聞が報じている。
これは、米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が発行する社債とMBSの総額。
うち、1.5兆ドルが海外の中央銀行や金融機関が保有しているという。

ファニーメイやフレディマックの発行する社債は、担保資産をともなうものだから、これが全部吹き飛ぶようなことはもちろんない。
しかし、金額規模がとてつもなく大きいだけに、その一部でも価値が減じた場合には海外の金融システムにまで大きなインパクトがあることになる。
米国の不動産市場については、かねてからバブルとの危惧がありながら、言われていたとおりの結果が実現するには構造的な背景がある。

言うまでもなく、米国の貿易収支だ。
世界の消費財をすごいスピードで消費していく米国経済は、慢性的な貿易赤字を続けている。
この収支の赤字は、資本収支でオフセットすることになる。
つまり、海外からの対米投資は積みあがらざるを得ない。
リスクを回避したいなら、米国国債をと思うかも知れないが、こう金額が大きくなると、利回りも重視せざるをえない。
国債より少しでも利回りがよく、信用度が国債並みと言われていた住宅公社債券に向かうのはある意味当然だったろう。

今回の問題は、サブプライム問題と呼ばれるとおり、不動産担保ローンの市場から始まった。
だから、住宅公社債券が問題となるのは自然の流れだ。
しかし、この問題が米国のマクロ経済を深刻に蝕むと、他のアセットクラスでも資産価格下落の連鎖が飛び火しよう。
そうなると、金額規模の多寡はあろうが、他の金融資産でも価格下落リスクが高まっていくだろう。

グローバル投資を考える上で、これら米国の資産クラスと、日本や他の諸外国のどの資産クラスが連動するのかを見極めるのが重要だ。
さらに、これら米国の資産クラスとデカップリングするのはどのような資産クラスかを予想できればと願うが、これは難しい。
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二次証券化

資金調達のために発行した債券(一次証券化商品)を束ね、裏付け資産として組成・発行した証券のこと。
例: 債務担保証券(CDO, Collateralized Debt Obligations)。

担保となる資産が膨大な数になるため、情報開示・リスク管理するのが難しく、2007年のサブプライム問題の一因とされる。
二次証券化商品についても厳格な情報開示が義務付けられると、組成は現実的に難しくなると言われている。
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2008年07月22日

特集メモ「インドへの事業投資」をリリース

近年、日本企業の進出が進むインドについて、法規制等を簡単にまとめたメモ「インドへの事業投資の近況」をリリースしました。
ご活用ください。

インドへの事業投資の近況
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2008年07月17日

持分法投資損益

ソニーが09年3月期から持分法投資損益を営業損益に計上すると報じられている。
この変更により、関連会社の利益の持分の分が営業利益に合算されることとなる。
営業利益がグループの実力を示すようにという趣旨だ。
これに似た話として、先日投資ファンドの会計処理について紹介した。
連結会計の課題は、何も投資ファンドに限ったものではないようだ。

ソニーは米国会計基準に基づき決算開示を行っている会社だ。
米国会計基準では、原則、持分法投資損益を営業損益に計上するのを許していない。
持分法適用会社が親会社の事業に必須とされる場合に認めている例外的取り扱いだ。
ソニーはこの取り扱いと同時に、重要な関連会社3社の財務諸表を個別開示、残りを合算で開示する。

証券分析の立場から、この変更のインパクトを考えてみよう。
ソニーには、携帯電話事業など重要な関係会社が複数ある。
この損益が営業損益に反映されるのは、実態を知る上でプラスととらえるべきだろう。
一方で、注意したい点もある。

貸借対照表と損益計算書の対比においては、注意が必要となる。
証券分析で重要な指標の一つが、ROAだろう。
ROAの分子は営業利益、分母は総資産だ。
この営業利益には関連会社分が算入されているのに、分母には連結されない。
結果、ROAの意味合いが歪なものになってしまう。
この議論はROIC等の指標においても同じことだ。

証券分析の世界は毎日何かが変化する。
この件もその一つのようだ。
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2008年07月16日

日本株は安全資産たりうるか

サブプライム問題に端を発した世界的な経済停滞の中で、投資資金の安全資産への逃避が進んでいる。
安全資産を債券とするなら、残りの投資戦略は為替のみとなる。
しかし、そう割り切るのは早いだろう。

このところ、米国株の下落がすさまじい。
言うまでもなく、ファニーメイとフレディマックの経営危機をめぐる米金融経済の不安が背景だ。
この数年、ドルと円のみならず、米国株と日本株までもが連動する傾向が強かった。
ここに来て、先行して下げた日本株には下げ止まり感がある。
そろそろ、米国株と日本株の間にはデカップリングが起こりそうな気配だ。
そこで、気になる問が、
 日本株は安全資産たりうるか
ということになる。
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2008年07月11日

投資事業組合(投資ファンド)の会計処理

本日の日本経済新聞に、
 JAFCOが運営するファンドを非連結にする
と報じられている。
かなり、複雑な話なので、背景を説明しよう。

投資ファンドというのは、
 集めた資金と出資者たち(投資事業組合等)
 その資金を運営するGP(正確には業務執行組合員等)
からなることが多い。

金融機関が設立する場合、子会社としてGPを作ることが多いが、VC専業の場合は、本体=GPとすることが多い。
記事はVCについてなので、VC本体=GPのケースで考えよう。
GPはどのような収益を上げるのか。
典型的には
 ・(受託総額に対して)年2%程度の管理報酬
 ・組合にキャピタルゲインがあった場合の成功報酬
  (キャピタルゲイン総額の20%程度)
がまず発生する。
そのようなGPの取り分、その他の運営費用を差し引いたものが、組合員(LPとGP)の取り分となる。
通常、GPも組合に出資しているので、
 ・GPの出資分に対する収益分配
もGPの収益となる。

つまり、
・管理報酬
・キャピタルゲインに応じた成功報酬
・出資に対する分配
であった。
従来は、これらの金額をGPの収益に計上する会計処理がなされていた。

ところが、2000年に入ってから、投資組合を利用した不明朗な会計が散見されるようになった。
そこで、企業会計基準委員会は2009年9月、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」を公表し、会計処理の変更により、問題に対応しようとした。
その概要は、
(1) 子会社判定では、投資事業組合に対しても支配力基準を適用し、業務執行の権限によって、組合への支配力を判断する。
(2)GPでなくとも、緊密で同意している者がGPであり、かつ緊密な者とあわせて組合の資金調達額の過半の融資・出資を行っている場合や組合損益の過半について享受・負担する場合は、組合を子会社とする。
(3)関連会社判定のためには影響力基準を用いるが、支配力基準と同様、業務執行権限により判断する。
であった。
つまり、GPは業務執行権限を有するため、組合を子会社として連結することとされたのである。

そうなると、GPの連結財務諸表はどのようになるのだろう。

管理報酬
子会社である組合からGPへの支払いとなるため、連結消去される。

投資事業組合のキャピタルゲイン
運営する投資事業組合にキャピタルゲインが発生した場合、子会社での収入であるため、売上高に計上することになる。
組合全体のキャピタルゲインの全額がGPの売上高に計上され、営業利益にもその全額の寄与分がプラスされる。
たとえGPが組合総額の半分未満の出資であっても、全額のキャピタルゲインが加算されるのは不合理だ。
この不合理は、通常の連結会計と同じように、当期利益前の「少数株主利益」で減算される。
当期利益には、ネット数字だけの寄与になる。

このような連結財務諸表への数字の表れ方が問題となっている。
現行の会計基準に従うと、連結売上高や連結営業利益の数字に意味がなくなってしまう。
投資家に財務内容を正確に伝えるためのP/Lにおいて、当期利益以外の項目に意味がなくなるのでは意味がないという主張だ。

JAFCOでは、資産管理業務を信託銀行に委託することを理由に、連結から除外するという。
この手法には異論もあるようだし、当初のルールの趣旨から見たら、無理のある考え方だろう。
一方で、そのルールにも致命的な問題点があるように思える。
どのような方向性に収束するのか、注目されるところだ。
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2008年07月01日

会計制度メモ「無形資産評価の趣旨と概要」

企業会計基準委員会は6月30日、M&A会計のうち持分プーリング法廃止の案を公表した。
これにより、M&A会計はパーチェス法に統一され、国際会計基準に収斂する。

パーチェス法では、受け入れる資産・負債と買収対価の差額が問題となる。
取得企業は、受け入れる資産・負債を再評価して受け入れる。
この再評価後の資産・負債のネット(純資産)と買収対価は通常は合致しない。

これまで、多くの日本企業は
・買収対価の方が大きい場合、差額をのれん計上
・買収対価の方が小さい場合、差額を負ののれんとして計上
してきた。
しかし、実はこの取り扱いは、国際会計基準とは異なる。
国際会計基準では、買収対価の方が大きい場合、一定の要件を満たせば無形資産intangiblesを計上することとされている。
日本では、無形資産の計上が任意であったため、ほとんどの企業が無形資産の計上をせず、差額すべてをのれんに計上している。

この日本の会計基準は近い将来、変更されるものと予想される。
この点について、会計制度メモ「無形資産評価の趣旨と概要」に簡単にまとめたのでご参照願いたい。
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2008年06月28日

株主総会をダメにするもの

株主総会が真剣勝負になってきた。
すばらしいことだと思う。
一方で、今年の株主総会シーズンでも失望することがあった。

レベルの低い株主がますます増えた
お土産目当ての株主。
遅刻・早退は当たり前。
趣味として、経営者たちに説教をたれる老人たち。
まったくの勉強不足なのに、したり顔をして新事業の提案をする。

このようなレベルの低い行為は、実は株主全体の利益に反する行為であることに気づいてほしい。
レベルの低い議論に、取締役は神妙の顔をしながら、心の中で胸を撫で下ろしている。
無駄な時間によって、本質的な議論をする時間は失われてしまう。

レベルの低い個人株主は、かつてのシャンシャン総会で会社側から雇われていた総会屋に等しい。
このような勢力の増徴をアクティビストが助長してしまったとすれば、悲しいことだ。

株主の権利を放棄する機関投資家
買収防衛策の導入が大流行だ。
すべての案が悪であるとは言わないが、そのほとんどが大きな議論もなく承認されていくのはやはり何かがおかしい。

本来であれば、大きな議決権を有する機関投資家が、株主総会の場で議論・意見表明してもいいはずだが、その自浄作用は望めないのが現状だ。
米英のように、年金基金のような機関投資家が会社のガバナンス強化に一役買うような形になっていない。

議決権の多くを握る機関投資家がその役割を十分に果たさず、議決権をほとんど持たない株主の一部が株主総会をかく乱する。
日本企業のガバナンスはまだまだ改善の余地がある。
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2008年06月13日

絶妙のタイミングで報告書を出す企業価値研究会

今月11日、経済産業省の企業価値研究会が買収防衛策のあり方に関する報告書をまとめた。
買収防衛策が「株主の利益を守るためのもの」であるべきとし、取締役会による濫用に釘をさす内容だと報道されている。

投資家であれば誰でも関心のあるテーマだろう。
筆者は、報道されるとすぐ経済産業省のウェブサイトをブラウズした。
しかし、報告書は公表されていない。
後の報道によれば、今月中に報告書を公表する予定だという。
なんとも絶妙のタイミングだ。

ここからは下衆の勘ぐり。

言うまでもなく、今月下旬は株主総会シーズン。
すでに召集通知を送付済みの会社がほとんど。
買収防衛策花盛りの今年の株主総会シーズンをやり過ごすのでは面目が立たない。
さりとて、このタイミングで公表すれば、混乱を引き起こしかねない。
もしかしたら4月や5月に公表でも間に合ったかも知れないが、それでは経済産業省が企業に対して負い目を感じることになる。
結果、6月上旬にマスコミに情報提供、株主総会の終わりころに公表というのは都合がいい。

企業価値研究会の思いとは別に、今年はたくさんの買収防衛策が承認を受けることになる。
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2008年06月10日

「株主にも資格と義務が伴う」のか

本日の日本経済新聞「一目均衡」で末村篤特別編集委員が含蓄のある指摘をしておられる。
氏は、松永安左衛門の「株主は株式の所有者ではあっても、会社そのものの所有者ではない」という言葉を引き、最近の投資ファンドの振る舞いを批判する。特定少数の私募ファンドが議決権を行使する際、出資者を開示させ、真の株主は誰かを明かすのが筋だろう。
・・・
正体を明かせば、投資家が逃げ、株価が下がるという主張には、日本はそれで結構と答えればよい。
なるほど、大賛成だ。

筆者は、私募のファンドであっても、ファンド以外の投資家を守るという意味から、ファンドへの出資者を公開することが望ましいと考えている。
一般の投資家がある銘柄に投資したとしよう。
そこにファンドが投資してくるが、誰が真の出資者かは分からない。
10位以内の株主になれば、個人投資家でも住所・名称が記載されるが、ファンドの場合はファンドの住所・名称が記載されるに過ぎない。
一般投資家は誰と一緒に同じ船に乗っているのか分からない。

たとえば、こんなルールにしたらどうか。
ある投資ファンドが
・ある銘柄で関係者を含めた持分が10位以内になったり、
・預かり資産額がたとえば50億円以上となったりしたら、
そのファンドの上位出資者10名を開示する義務を課す。
これなら、上場企業とスクラッチの条件ではないか。

末村氏の指摘でどうしてもうなずけない点がある。会社は株主のためにあるのではなく、経営に参加する以上、株主にも資格と義務が伴う。というくだりだ。
3つ私見を述べたい。
たとえ株主が株主総会で反対票を入れても
(1) それが即ち経営に参加することを意味しない。
(2) 株主には資格は伴わない。
(3) 株主に義務は伴わない。

筆者は個人のポートフォリオにおいて、議決権行使書の「否」に○をつけて返送することがある。
多くの場合、役員選任議案についてである。
全員を否とすることはないが、いくつかのケースで否をつけさせていただいている。
例としては
・上場子会社で経歴から見てミスマッチと思える親会社出身者が候補となっている場合
・業績が極端に悪い会社で、あまりにも長く居座っている役員が候補となっている場合
などである。
企業でIR担当をやっている知人からは
 そんなことするとブラックリストに挙がっちゃうよ
と言われるが、自ら恥じるところはないから仕方がない。

筆者が株主総会で反対票を入れたからといって、だから経営に参加することにはならないというのが(1)の主張だ。
所有と経営の分離の中での行動である以上、たとえ大株主が反対票を入れたとしても、それが即ち経営参加とはならないだろう。
どんな組織でも、部下が拙い案を上げてきたら、上司は突っ返すだろう。
取締役を雇っている株主もそれをしているだけなのだ。
言いたいのは、
 もっとましな案を出して来い
ということ。
ただし、むろん反対をする者も、反対の意味を重く受け止めるべきであるのは言うまでもない。

(2)は上場企業について述べたものだ。
長い間に会社法も上場規則も変化を遂げてきたのは、末松氏も指摘している。
今に生きる以上、現行の法・規則にそって行動するのが市民の避けられない生き方だ。
少なくとも現行の証券取引所のあり方を見る限り、投資家に資格を求めるような規則はない。
それを求めるなら、プロ専用の市場を作るしかない。
現状のインフラの中で「資格のない株主」を排除するというなら、いったん上場企業は上場を見直すのが筋ではないか。
ルールに則り投資をした投資家の側に負担を課すのが筋なのだろうか。

最後に(3)。
企業のガバナンスを高める意味から、こうは考えたくない。
会社について、株主は経営者ほどには情報が与えられていない。
その中で、株主に義務を課すのでは、事実上、黙れというに等しい。

ここまで書いてきて、一つ申告しなければいけない。
かつてここに書いた「投資家にも品格が必要だ」である。
この拙文では、末村氏ほどの高尚なポイントではないが、最近、眉をひそめたくなる株主が増えたことを嘆いた。
つまり、筆者自身もまだ迷っているということか。
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2008年06月07日

荏原 (6361) 監査役が決算承認せず

27日に開催予定の荏原の定時株主総会において、決算が承認議案となる。
警察庁、内閣情報調査室長、NEC専務などを歴任された大森義夫氏が事業報告(注)を承認しなかったためだ。

日本経済新聞によれば、大森氏は
 取締役が調査に必要な情報の開示を行わなかった
 関係者へのヒアリングにも協力していない
 取締役にも法令違反の疑いがある
と主張しているようだ。

本件と別の話として、企業ぐるみの法令違反が報道されることは珍しいことではない。
しかし、監査役がそれに公にストップをかけたという例はほとんどない。
監査役には、経営側の提示する経営側に都合のいい情報に基づき、追認するというイメージがある。
それで報酬を得ているとすれば、本末転倒も甚だしい。

ニュースとしては、やれやれといった話だが、日本でもガバナンスに変化が現れたと思えば嬉しい話でもある。
そういう検察官のような監査役を擁することは会社の品格を高めることでもある。

(注)「決算」を「事業報告」に訂正(6月9日)
会社より公表された平成20年6月8日付「昨日の一部報道について」を受けての訂正。
本開示の趣旨は、承認されなかったのは決算ではなく、事業報告であると説明されている。
おそらく、決算内容への不信感を払拭するための主張だろう。
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2008年06月02日

日本株は上昇するか

本日の日本経済新聞「月曜経済観測」にモルガン・スタンレー・アセット・マネジメント投信社長のアルカイヤ氏のインタビュー記事が掲載されている。
たいへん興味深いコメントが多い。
 先週の株価や長期金利の上昇は、日本経済の好循環入りの可能性を示唆している
 ・・・
 日本経済はティッピングポイントに近づいていると思う
 ・・・
 債券が売られ、長期金利の指標である新発10年国債利回りは年内に2%に乗せ、
 向こう3年以内に3%をうかがう可能性もある
世間の見方と大きく違うのは、氏が日本株にブルな予想を立てていること。
もちろん、エクイティ関係者の言だから、希望的観測が入っていることも意識しなければいけない。
しかし、長年日本株に関わってきた氏の意見には胸を打つものがある。

HSCIではかねてより短中期円高、長期円安の予想を紹介してきた。
なかなか実現しない円高だったが、このところ、やや流れが変わってきたような感もある。
もしかしたら、短中期の円高・株高がやってくるのかもしれない。
もしも円高・株高がこの2−3年で進行するなら、
 短期で日本株運用
 中期で株式売却・ドル転
がリズナブルなストラテジーとなる。

ただし、多くのエコノミストが円高・株安を予想しているから、このストラテジーには大きなリスクが存在することに留意されたい。
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2008年05月30日

アデランスホールディングス (8170、AH) 社長以下7名の再任を否決

スティール・パートナーズが約29%を保有するAHの株主総会で、社長を含む7名の取締役の再任が否決された。
スティールは業績・株価の低迷を理由に再任を反対していた。
スティールは株主への賛同を求めるために目だった活動を行っていなかったが、外国人株主の保有比率の上昇、一般株主の意識の変化が否決に結びついた。

この件で、考えておきたい点は3つ。

これまで悪者扱いされることが多かったスティールだが、実は投資家側は冷静であり、悪者とは思っていない人も多いことが推測される。
日本の投資家もAgency Problemと戦い始めた。
パフォーマンスの悪い経営者にNoと言う、この当たり前の権利を行使し始めた。
今後は、株主に不誠実な経営者にもNoと言う事例が増えそうだ。

日本経済新聞の社説はこう結んでいる。
スティールもアデランスの経営をどう変えるのか、大株主として姿勢が問われている。
この表現は曖昧だが、真意に注意したい。
「経営」を「経営者」と読むならば、その通りだ。
再任に反対し、否決したのだから、代案を出すのは大株主の役割だろう。
しかし、もしも「経営」が会社経営のことであると解釈するなら、それは誤りと言うべきだ。
「所有と経営の分離」をもう一度思い出してほしい。
同種のことをTCIも主張していたが、会社経営は経営者の仕事であって、株主の仕事ではない。
株主は経営者を選任することによって、経営に影響力を持つ。
再任を否決することで会社経営にまで責任を持たせるのは、金融投資家から実質的に株主権を剥奪するに等しい。

総会の開催前に再任が否決されることを会社は知っていたこと。
これは、最近のグッドウィルでの事例と異なるところだ。
グッドウィルは、優先株発行のための特別決議が否決されるのを恐れ、総会での議案提案を見送った。
AHでもこのような手段を講じる可能性もあったはずだ。
しかし、あえて会社は株主の判断を受けた。
この点で、AHは誠実であったと思う。
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