コラム

2007年06月25日

ブルドック・ソースは上場を廃止すべきではないか

ブルドック・ソースの株主総会が開催され、経営陣から提案されていた買収防衛策が特別決議で承認された
この買収防衛策はスティール・パートナーズによる株式取得に対抗したものだ

特別決議による承認の意味は重い
株主の総意に近い意思決定がなされたということ
この上は、司法の判断を待って実行されていくことだろう

この承認の是非を議論するつもりはない
それは、会社の所有者である株主の判断であるからだ
しかし、気になることが2つある

まず第一は、以前述べたとおりこのスキームが、会社からグリーンメーラーに利益供与する方策として利用されかねないことだ
これが社会的道義に反するのを言うまでもない

次に、このような名指しで株主を排除するような企業が上場を維持してよいものかという議論だ
筆者はスティール・パートナーズがグリーンメーラーなのか否か、客観的に論じる材料と軸を持たない
そのため、両面で考えたい

もしもグリーンメーラーであることが客観的に示されるなら、そのグリーンメーラーを恣意的に排除することは許されるかもしれない
しかし、これを実行すると、先に述べたとおり、グリーンメーラーに利益供与する道が開かれることになってしまう
もしもグリーンメーラーでないとすると、これは明らかに不当に株主を差別的に扱ったということになる
このような企業の上場を取引所は許していいものであろうか

この問題は会社と投資ファンドの特殊事例として片付けてはいけないものであると思う
誰でも株式を購入できる上場制度というもの、株主の財産権にまつわる議論であろう
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2007年06月13日

所有と経営の分離さえ整理できない日本人の甘さ

本日の日本経済新聞に、スティール・パートナーズのリヒテンシュタイン代表のインタビュー記事が載っている
その中で、
 企業のオーナーになることと経営者になることは別
という発言がある
これは、投資先から
 過半数の株式取得を目指しながら
 実際の経営をする意思がない
という批判を受けたことに対する反論だ

そもそも会社法において株式会社という法人が設計された背景は「所有と経営の分離」という基本的な考えが存在するからだ
金を持っている者と経営に長けた者が同一人物であるとは限らない
だから、株式会社という法人を設計し、所有権は金を出資する者に与え、経営を経営に長けた者に委ねるという仕組みを作った
これが、資本や人材を有効に活用して、産業を発展させるための基本的な仕組みとして働いてきた
リヒテンシュタイン氏のいいたいことは、この大原則に沿ったものだ

それに対して、日本企業の経営者のレベルは低い
 過半数取ったから経営しなければいけない
などという、会社組織の基本さえ理解しない経営者が多い
こういう土壌では、
・経営者は株主に仕える気持ちを持たず
・年功序列だけに支えられて、経営に長けもしない者が経営者になる
ようなことが起こる

同じ紙面で、信越化学の金川社長の言葉が紹介されている
 余人をもって代えがたい経営をするのが買収対応の鉄則
卓見だ
スティール・パートナーズにeducateされなくとも立派な経営を行う
これが最大の買収防衛策だし、これさえ実現すれば、経営者は保身に走らなくとも、ファンドの方から経営を継続してほしいと頼まれるものだ
posted by 浜町SCI at 07:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境

従業員は誰のもの?

本日の日本経済新聞一面の特集「株主とは」で面白い記述があった

大株主であるIDECから株主提案を受けているモリッテックスで、「休日出勤の従業員が手分けして、個人株主2,200人に電話をかけ続けた」という
67%の議決権を占める個人株主に、経営陣側についてほしいという趣旨の行動だろう
この記事で面白いのは2点

@従業員が経営者の側に立つことの是非

新会社法の精神では(いまだ議論はあろうが)株式会社の所有者は株主であり、会社は株主の利益のために行動すべきとされている
会社を巡る論争でいち早く注目を浴びた「株主代表訴訟」では、株主が経営陣を訴えた場合、会社は原告である株主の勝訴のために努力することになる
つまり、会社は原告側の一員として、被告である経営陣の過失・犯罪を立証するよう求められるのである

大株主と経営陣の間で株主提案をめぐって論争となった時、会社はどう振舞うべきなのか
新聞記事が正しいとすれば「休日出勤」であるから、従業員は有給で電話かけを行ったことになる
もしも、電話の内容が経営陣を支持するものであったならこれは問題だ
(実際にはそうではないのだろう)
従業員は、このような論争において、意見表明をすることはできても、片側に会社の負担によって加担すべきではないと思う

A電話の趣旨は「株主総会への出席」だったこと

このようなことをモリテックスは承知していたらしく、報道では、電話の目的が総会出席であったとされている
つまり、従業員に電話をかけさせ、株主提案に反対させるということが大義でないことを会社は気づいていたのであろうと推測されるのだ
「休日出勤」で電話をさせる以上、その依頼内容は中立的な「総会出席」のとどまらざるをえない

株主が法に定められた株主権を行使するようになって、会社役員にも緊張感が高まっているのだろう
それと同時に、従業員の側にも、正しい対応が求められるようになっているが、従業員はこの手の話にはひどく不慣れだ
いったん法の精神に立ち返って、自分の行動の規範を見定めるという厄介なプロセスが必要になったらしい
posted by 浜町SCI at 06:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境

2007年06月08日

ブルドックソースを応援する投資銀行と弁護士たち

6月7日にブルドックソースの買収防衛策が発表された
買収防衛策の前段に、米系ファンドからのTOBへの反対意見が述べられているので、根拠の骨子を見ていこう
大きく理由は二つ挙げられている

 @今回の買収者による買収が企業価値、株主共同の価値を毀損

ブルドックは食品という健康・文化と関わる高い専門性を要求される業務であるのに対して、買収者にその分野の見識がないと見られること
買収後の経営方針について具体的な説明がないこと

 ATOBの条件・方法が不適当であること

TOB価格等が低すぎること

Aは株主が判断すべきことだとしても、@については子供の言い訳のような言い草に聞こえてしまう
このような理屈を許せば、およそ企業という企業は高い専門性が要求され、したがってジェネラルな投資対象を扱うファンドによる買収は不可ということになってしまう
また、TOBが一方的にしかけられたにせよ、ファンドと会社の話し合いがもたれていない段階で、「具体的な説明がない」からすなわち不可というのはいかがであろうか
おそらく銀行家や法律家が楽しんでワーディングした文書であろうが、少なくとも私には経営者らの保身の言い訳にした聞こえてこない

さて、言い訳は好きにさせるとして、詳しく検討されるべきは新株予約権だろう
基準日の発行済株式総数の3倍の新株予約権が発行され、行使価額は1円だから、概ね、既存株主の株式を4倍にする取引と言ってよい

問題なのは、新株予約権はすべての株主に交付されるものの、
 @ かの米系ファンド
 A その共同保有者
 B 特別関係者
 C @〜Bから取締役会承認なしに新株予約権を譲り受けた者
 D @〜Cの関連者
には行使する権利を与えず、かわりに新株予約権1個あたり396円で買い受けるというのだ
この買収防衛策は株主総会の特別決議によって承認を得るため、会社側は法律論争においても自信を持っているという

私は、このスキームに三つほど問題を感じている

まず一つ目は、新株予約権に実質的な譲渡制限が付いていること
譲渡制限が付けられてはいけないはずの上場株式をUnderline AssetにしたOptionに譲渡制限が付されている
これは、上場規則の抜け道なのではないか

二つ目はD関連者の定義だ
「関連者」の定義は、@〜Cの共同の支配下にある、または、協調して行動する者と、取締役会が認めた者
とされている
つまり、「関連者」であるか否かは、ブルドックの取締役会が決めるという
これは、恣意的に株主を不平等に取り扱うことにならないか

三つ目は、このようなスキームが認められれば、これがグリーン・メーラーへの利益供与を可能にするスキームになりかねないことだ
今回の買収者がグリーン・メーラーであるかどうか、私には知見がない
しかし、今回のスキームが認められてしまうと、次回、仮に暴力団関係者・総会屋が同じような買収提案を行った場合に、会社は合法的にそれらの者に利益供与をできるようになってしまわないか

本件ではブルドックソースの財務アドバイザーに野村證券が、法律顧問に西村ときわ法律事務所が選任されている
いずれも、日本の最大手のプロフェッショナルだ
このようなプロ中のプロが、たとえ法や規則の目を潜り抜けたにせよ、上記のようなスキームを後押しするとは嘆かわしいことだ

これら一流のプロフェッショナルが求めるべきことは、
 法や規則に反しないことではなく
 法や規則の精神を守ること
なのではないか
単に「法廷闘争で勝てるからよし」とするのか
金のためなら、どんな論陣でも張るというなら、そのような人たちがトップを張っている日本を悲観したくなる

そもそも、問題の根源は上場する株式会社の基本的あり方にある

会社法に定める株式会社では「所有と経営の分離」を実現し、それが効率的な事業運営を実現する一助となっている
経営者が経営のプロとして、素人からの買収に対して拒絶感を持つのも無理はない
しかしながら、会社法は、所有者である株主の会社への支配権まで否定するものではない
根源的な株主権である役員の選任を通じて、株主は会社を支配するようにビルト・インされているのである
それを一企業が否定してかかるとすれば、それには無理がある

また、取引所規則では、上場株式に譲渡制限を付すことを原則禁じている
つまり、株式を上場させるということは、誰が株を買ってもいいということだ
多くのIPOでは創業者らがキャピタル・ゲインの恩恵を得る
それと引き換えに、株主が分散していくのである
キャピタル・ゲインだけを得て、株主は相変わらず自分たちで指名したいというのはいささか欲張りではないか

このような会社法・取引所規則の精神を鑑みるに、最近の買収防衛策のほとんどは、脱法・脱規則の策であるように見えてしまう
このようなことに日本のトップのプロフェッショナルが加担するとは悲しいことだ

幸い今回は決定権を株主が有している
プロフェッショナルの見識に期待できない以上、株主の見識に期待したい
posted by 浜町SCI at 18:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境

2007年06月05日

T・ZONEの合併に待った

前述のとおり、T・ZONEは上場親会社の親会社にあたるKEホールディングスと合併する予定だった
これは本ブログでは「不思議な取引」と表現したが、JASDAQ市場も素通しにはしなかったようだ

「不適当な合併等」に該当するとして、上場審査の受け直しを要求したのである
JASDAQ市場は、この合併での実質的な存在会社がT・ZONEではないとした
上場審査並みのレベルになければ、上場廃止へ向かうとしたのである
T・ZONEは上場廃止猶予期間中に上場維持の審査を受けることを予定しているが、一般株主は上場廃止リスクを嫌気している

T・ZONEは合併に明確な目的があると胸を張るが、その「明確な目的」が見るものの心に瞬時には響かないのが不思議に感じられる
posted by 浜町SCI at 06:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境

NECエレクトロニクスに見る親子上場の是非

上場半導体大手NECエレクトロニクスの発行済み株式の7割を保有するNECが苦しい言い訳をしている
NECエレクトロニクスの海外大株主2社から親子上場の弊害を咎められて考えを示したもの:
 資本政策を変えるつもりはない
 NECの研究所と連携することで子会社の競争力が高まる
といったものだ
(出典: 日本経済新聞)

残念ながら、このような説明では
 なぜ親子上場を是とするのか
 なぜ出資関係を維持するのか
の答にはなっていない
今、問われているのは、
・不特定多数の少数株主との間で、利益相反が起こりうる親子上場を維持する理由
・研究所との連携によるメリットを得るくらいのことで出資関係を維持する理由
なのである

研究所と連携するくらいのことならば、資本関係などなくても業務提携で十分
親会社が7割の株式を保有する以上、親会社の意向が子会社の経営の意思決定に大きな影響を与えるのは必至
結果、親会社と子会社の少数株主との間に利益相反が生じやすい土壌にある

こういう基本的な論点に立ち戻った議論を正面から行うべきなのだ
どうやら日本の大企業というのは、有事(訴訟)にでもならない限り、経営の基本を議論したりしない生き物のようだ
posted by 浜町SCI at 04:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境

2007年05月25日

不思議な取引

最近新聞を読んでいると、不思議な取引を見かけることがある
いや、新聞記事だけで「不思議」と断ずるのは早いだろう
きっと何か事情があるに違いない
しかし、少なくとも、丁寧に説明または報道されていないように思える

九州親和ホールディングスの解散
これは持株会社の解散であって、銀行の解散だから特筆すべきことではないのかも知れない
しかし、報道された経営者の会見では不思議な回答がクローズアップされた
本来、企業が経営に行きづまった時、株主の負担で清算を行うのは、法にも当然の手順だ
この決断を尋ねられたふくおかFG谷社長は、
 九州親和HDの現在の株価では優先株の含み損が大きすぎる

優先株とは公的資金の対価として国が保有する優先株を指している
つまり、現在の普通株の株価から算出した優先株の「時価」で公的資金の返済を図るとすれば、国に大きな損害が生じるといいたいのだろう
この回答の不思議なことは、国が買い戻しによって公的資金の回収するか否かは国の判断であるべきなのに、それを発行体が言及しているところにある
それとも、発行体は国に買い戻しを申し入れて断られたのだろうか
そうなら、そう言えばよい

仮に発行体が優先株の時価での買い戻しを申し入れた場合、投資家である国は、その申し出を検討して対応を決める裁量を有する
「時価」で売ると損がでて都合が悪いなら、優先株の償還期限まで保有して、償還を受ければいい
その意思決定のプロセスまでも発行体が語ることに違和感がある

おそらく国に配慮したのだろう
公的資金は、銀行業界が業界の信用度を主張するための伝家の宝刀だ
その出し手である国を悪者にして、怒らせないという配慮ではないか
しかし、違和感があるには変わりない


KEホールディングスとT・ZONEホールディングスの合併
個人の資産管理会社であるKEホールディングスは、SFCG(旧商工ファンド、東証上場)を子会社として保有する
SFCGはT・ZONEホールディングス(JASDAQ上場)を子会社として保有する
つまり、KEホールディングスは孫会社であるT・ZONEと合併する
結果、SFCGは合併新会社の子会社となる

日本経済新聞では「複雑なグループ内の資本関係を整理し、投資事業をテコにしたグループ拡大に弾みを付ける」と目的が書かれている
複雑な関係が整理されるのは間違いない
しかし、KEは個人の資産管理会社、本当に事業上の意味があるのか

KEの株主はこの合併で、T・ZONE株式を交付される
 体のいい未公開株と公開株の交換ではないか
 本当の理由は、換金性の確保や税務上のメリットにあるのではないか
などと疑いたくもなる話だ
(もちろん、筆者の根拠のない推測であるので、ご注意いただきたい)
posted by 浜町SCI at 08:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境

2007年05月23日

経営は結果論?

みずほフィナンシャルグループが、統合三行の当時の頭取へ退職慰労金を支払うと決めたと報道されている
金融危機の時期に導入された公的資金を完済し終えたことが判断の材料の一つだったようだ

そもそも統合三行の頭取は、日本の金融界の業界再編の最大の立役者であったと言ってよいだろう
いわば、日本の金融産業が立ち直ったきっかけを作った人たちであり、その功績は大きい
だから、当時の業績不振を理由として退職慰労金が受け取れなかったことは気の毒ではある

しかし、思い返してみれば、それは会社を預かるものの当然の職責なのだと思う
数年を経て、業績が回復したからといって、払うことをやめた慰労金を払うというのは、いささか結果論にすぎるのではないか
もしもそうだとするなら、数年後に業績が悪化すれば、すべての企業経営者はもらった慰労金の中からいくらかを返納するのだろうか
そうではあるまい

株主代表訴訟に代表される経営者の責任の果たし方は、結果論に基づいてなされるのではない
善良なる管理者としての注意義務、忠実義務等の義務を果たさなかったことを咎めるものだ
つまり、その時点の行動・判断として、不正や瑕疵がなかったかが判断基準なのである
決して、結果が悪かったから罰せられているのではない

経営とは結果論なのか?
どうも釈然としないニュースであった
posted by 浜町SCI at 08:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境

2007年04月16日

「総合取引所」構想はどう実を上げるのか

本日の日本経済新聞朝刊1面トップは「総合取引所」構想だった
東証が以降する持株会社の下に
 ・東京工業取引所
 ・東京穀物取引所
 ・東京金融先物取引所
を統合し、将来的には電力・排出権等の取引もカバーしたいという
海外の主要取引所に対抗できるよう、「各取引所の枠組みを超えた商品設計」を実現させるのが狙いのようだ
狭い「証券取引所」という枠組みだけでなく、広い「取引所」という範疇でもグローバル競争が進んでいることの証左だろう

課題は、どのように実を上げるかにある
持株会社の下に4つの取引所をぶら下げたからと言って、それがすなわち効を奏するわけではないだろう
極言すれば、今だって日本政府という下に4つの取引所が存在するのである
持株会社の下に統合するのは、政府内の縦割り行政の弊害を取り除くためだということでもないだろう

組織の改革は魂をともなってこそ生きる
実のある組織を設計し実現してほしい
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2007年04月14日

監査法人のあり方の検討を

みすず監査法人が実質解体する
日本経済新聞では、
みすずの会計士百人余りが監査業界から流出する
観測があることを報じている

監査業界も慢性の人材不足だ
よく言われるところでは、
 難関の試験を通って会計士になっても
 弁護士のような社会的ステータスはなく
 金融機関より給料は安く
 仕事は多忙を極める
ということ
こういう構造に、監査業界の不祥事の原因の一端があるというのは、あながち誤りではないだろう

根源は、監査法人が監査される側から雇われているという構造だ
これを解決しないことには、発行体と監査法人の馴れ合いは解消し得ない

社会的コストは増加するかも知れないが、ここで一つの提案をしたい
証券取引法(金融商品取引法)上の監査業務については、証券取引所が監査法人を雇うという仕組みはどうだろう
1. 証券取引所は、上場各社から簡単は方法で各社の監査業務の負荷を推定
2. 証券取引所は負荷から計算される最高入札額を発行体から徴収
3. 負荷・最高入札額を開示した上で、監査法人各社での入札を行う
4. 応札上位2-3社の中から発行体が監査法人を選択
もちろん、現行のように、監査法人が固定化しないためのルールは継続する

1の負荷測定は難しいだろうが、1期・2期と続けるうちに、過去の落札額を参考にすれば精度は上がっていくだろう
上記のような(少し乱暴な)仕組みにすれば、監査法人は発行体におもねることなく監査業務を遂行できるのではないか
posted by 浜町SCI at 09:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境

2007年03月14日

第三者割当増資の是非

今日の日本経済新聞のコラム「大機小機」に「第三者割当増資のない世界」という文章が載っている
英米では第三者割当増資がほとんど行われないことを解説している

なぜか
希薄化や支配比率低下を避けるというのもあろうが、このコラムでは次のように断じる
株主が個人および個人のために厳格な受託者責任を負うべき機関投資家である以上、そうした個人中心の社会のあり方を変えてはならないとの社会の合意ないし規範意識

とても難しい言葉だが、私の受け止め方は、
・株主は個人、または個人の代理たる機関投資家
・投資家たる個人の利益を守ることが株主の立場
・ならば、企業のエゴの権化のごとき第三者割当増資は避けるべき

ということではないか
企業が不振で多額の債務を抱えているとき、支援のために第三者割当増資を受けることがある
これは、既存株主にもメリットのある取引だ
しかし、この場合も、せめて債務免除を勝ち取るぐらいの努力の上で、第三者割当増資を行ってほしいものだ
そうでないと、既存株主が支配権を薄めるというデメリットを避けられない

こういう意識を投資家がきちんと持つことが大切だ
そうでないと、北越製紙のように、王子製紙から買収提案を受けたから三菱商事に増資を引き受けてもらうようなことが許されてしまうだろう
第三者割当増資にも作法が必要ということだ
posted by 浜町SCI at 16:37 | Comment(0) | TrackBack(1) | 気になる投資環境

2007年03月13日

Debt HolderとEquity Holderの利益相反

本日の日本経済新聞「一目均衡」欄に編集委員、前田昌孝氏の「銀行の証券業務の限界」というコラムが載っている
これは、日産ディーゼルが行った一連のファイナンス取引についての意見だ
日産ディーゼルは2005年12月に一株824円の公募増資を行った
そして、ボルボが一株540円でTOBをかけている
単純計算で、公募増資に応じた株主の損失は176億円になると言うのだ

前田氏が問題とするのは、日産ディーゼルの経営陣メンバーに大きな変動はなく、大幅な株安の責任を負った形跡がないことだ
そして、日産ディーゼルの取締役1名、監査役3名はみずほグループの出身である

みずほグループは、一連の取引でどのような利益を得たのだろう
実は日産ディーゼルは2003年に転換権付優先株を発行し、その一部をみずほコーポレート銀行が引き受けている
この転換権付優先株は、優先配当と株式の希薄化をいやがる日産ディーゼルによって買入消却されている
それによって、みずほコーポレート銀行は巨額のキャピタル・ゲインを得ている
さらに、2005年の公募増資でもみずほ証券は主幹事、今回のTOBでも財務アドバイザーを務め、少なからぬフィー収入があった
いや、フィーなどはたいした話ではなく、それぞれの取引における転換価格・取引価格に強い影響力を持ったことが問題なのだ

お金に色はないから、優先株の消却のためのキャッシュの一部は公募増資による手取り金であったと考えるのが自然だろう
そうだとすれば、みずほグループは、
 優先株の投資資金を回収するために公募増資を仕組んだ
と陰口を叩かれかねない

ここで、より先鋭な話をするため、仮想の話をしよう
上の優先株が、優先株ではなく貸金だったらどうだろう
 銀行からの貸金を回収するために公募増資をさせた
 公募増資の価格より大幅に低い株価でのTOBを許した
仮にこうであったなら、一般株主への配慮のかけらもない取引であったことが露骨に感じられよう

これは、いわゆるDebt HolderとEquity Holderの利益相反と呼ばれるものだ
転換権付優先株はDebtとEquityの中間、いわゆるHybrid証券と言えるから、本件では、HybridとEquityの間で利益相反が生じたということだ

前田氏が言わんとすることは、みずほグループが銀行由来の金融グループであり、債権者としての権威をもって発行体に影響力を及ぼすことのリスクを説いたものだろう
債権者である銀行が債務者に影響力を行使し、経営者を派遣する
そのグループの証券会社が、債務者が発行体となるEquity Financeで価格への強い発言権を持つ
また、銀行がその発行体に同時にEquity Positionを持つ
このような構図が、今回の一連の流れである

私は、みずほグループや日産ディーゼルが悪意を持って一連の取引を行ったとは考えない
彼らはその時々の彼らの使命に忠実に行動しただけだろう
そして、うまく行った
しかも、そのリターンは莫大な金額だった
ただそれだけだ

しかし、上記のような利益相反の危険がある以上、それぞれの取引におけるチーム編成についてもう少し配慮の余地はなかったのか
皮肉なものだが、みずほ系の会社だからこそ、みずほグループ以外の金融機関を雇うというような度量も欲しいところだ
posted by 浜町SCI at 18:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境

投資家保護で苦渋の決断?

東証が12日、日興コーディアルグループの株式の上場を維持すると発表したとCNETが報じている
日興コーディアルグループについては、利益水増しの不正会計があったとして、株式が管理ポスト入りしていた

この報道は本日の日本経済新聞でも大きく取り扱われている
一面の真ん中を使って「本誌『日興、上場廃止へ』報道の経緯」が書かれている
さながら、自社の報道が風説の流布ではないと弁明するかのようだ
実際、東証による上場維持は、多くの人に意外と受け止められただろう続きを読む
posted by 浜町SCI at 08:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 気になる投資環境

2007年03月12日

平成19年度の税制改正法案における法人所得課税における減価償却制度の見直し

(1) 残存価額の廃止

4月1日以後に取得する償却資産は残存価額を廃止
定率法の償却率は、定額法の償却率(=1/耐用年数)を2.5倍した数とする

(2) 償却可能限度額の廃止

・4月1日以後に取得する償却資産は、1円(備忘価額)まで償却
定率法の場合には、定率法により計算した減価償却費が一定の金額を下回るときに、償却方法を定率法から定額法に切り替えて計算
「一定の金額」とは、耐用年数から経過年数を控除した期間内に、その時の帳簿価額を均等償却すると仮定して計算した金額
ただし、納税者の事務負担を考慮し、耐用年数ごとに一定の割合を定めておく

・3月31日以前に取得した償却資産については、償却可能限度額(取得価額の95%)まで償却した事業年度等の翌事業年度以後5年間で均等償却

(3) 法定耐用年数の見直し

・FPD製造設備 10→5年
・フラットパネル用フィルム材料製造設備 10→5年
・半導体用フォトレジスト製造設備 8→5年
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重要提案行為等とは

近年、アクティビストの投資ファンドが保有する株式の発行体に対してさまざまな提案を行い話題となっている
ファンドと経営が敵対的になった場合よくきかれる経営者の愚痴は、
 大量保有報告書では純投資としていながら
 このような経営への口出しをするのはいかがなものか
である
この言い分を受けて、2006年12月8日の証券取引法施行令では次のように「重要提案行為等」を定めている

第14条の8の2
1  重要な財産の処分又は譲受け
2  多額の借財
3  代表取締役の選定又は解職
4  役員の構成の重要な変更(役員の数又は任期に係る重要な変更を含む。)
5  支配人その他の重要な使用人の選任又は解任
6  支店その他の重要な組織の設置、変更又は廃止
7  株式交換、株式移転、会社の分割又は合併
8  事業の全部又は一部の譲渡、譲受け、休止又は廃止
9  配当に関する方針の重要な変更
10  資本金の増加又は減少に関する方針の重要な変更
11  その発行する有価証券の取引所有価証券市場における上場の廃止又は店頭売買有価証券市場における登録の取消し
12  その発行する有価証券の取引所有価証券市場への上場又は店頭売買有価証券登録原簿への登録
13  その他前各号に準ずるものとして内閣府令で定める事項

この重要提案行為等を行う場合には、投資ファンドであっても大量保有報告を特例報告(機関投資家向けに軽減された報告頻度)とできなくなるとされた
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TOBにおける少数株主の保護: 全部買付義務

以前はTOB(株式公開買付)においては、買付予定株数を自在に定めることができた
ある株数に満たなければTOBを不成立にしたり、ある株主数を超えれば超えた部分の買付義務はなかった

ところが、このようなことを許すと、買収者は2/3の株式をTOBで取得し、その後は発行体の株主総会においていかなる特別決議も承認することができる
これではTOBに応じながら買い取ってもらえなかった株主に不利益を生じる
そこで証券取引法が改正され、2006年12月より2/3以上の買付予定株数のTOBでは全部買付義務を課すこととなった
買付義務の範囲は普通株のみではなく、転換権付優先株・CB・ワラント等も含まれるものと解されている
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