コラム

2008年11月11日

AIGに15兆円支援で始まる先進国の支援合戦

米国政府によるAIGの追加支援が決まった。

これまでの分を合わせ、総額15兆円規模の支援になる。

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2008年11月10日

権力の座に固執する自民党の生む社会的コスト

しらける周囲をよそに、自民党と政府が不毛な議論をしている。
定額給付金について、首相が「高額所得者には辞退してもらうのが望ましい」とコメントしたという。
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2008年11月07日

本末転倒な地域金融機関の保有株式の時価会計停止

金融担当大臣が表明したと報道されている。
貸し渋り対策のため、地域金融機関に限り、株式含み損の算入を停止するものだ。
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2008年11月05日

そして取り残される日本

オバマ氏が大統領選挙を圧勝した。
事前の予想や、人種にかかわる波乱要因など問題としないような大勝だった。
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2008年11月04日

大統領選挙とG20(2)通貨政策のゆくえ

11月15日には、米国で金融サミットG20が開催される。
G7にBRICsやIMF、世界銀行なども加わった、緊急の金融経済会議である。
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大統領選挙とG20(1)歴史的な日となるのか

米国時間で今日、いよいよ大統領選挙の投票が行われる。
長く続いた選挙戦の結果はもうすぐ決まる。
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2008年10月01日

アメリカにUnfairと言おう

米国SECが、証券化商品などの時価会計を緩和した。
証券化商品のセカンダリー市場の流動性が著しく低下し、無理に取引価格を得ようとすれば、極めて低い時価になってしまうことに対する救済策だ。
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2008年09月01日

福田首相辞任

福田首相が辞任を表明した姿を見て、官房長官を辞任した時のことを思い浮かべた人も多いだろう。
ねじれ国会により国政が停滞したことを受け、自らの辞任により体制を刷新し、事態を打開したいという趣旨であった。
先月の内閣改造を考えれば、唐突な感は否めないし、福田首相の理由の説明は素直に受け取れない。
国政の停滞を防ぐには、この時期に他の人にバトンタッチすべきと判断したと言うが、聴く側からすれば、福田首相自身が「もういやだ」と投げ出したとしか思えない。

これにより、再び国政は停滞する。
ただ、福田首相に同情する国民も多いだろう。
福田首相のバランス感覚には安定感があったし、誠実さには人望も厚い。
単に、難局に要職についたことが悲劇であったと思う向きも多かろう。

日本のリーダーは長続きしない。
福田首相も1年しか持たなかった。
次の首相になっても、民主党の攻勢に変化がなければ、短命に終わるだろう。
経済は見捨てられ、長く務める官僚ばかりが笑う展開のようにも思える。
このような国政の停滞が繰り返されるなら、一度、政権を交代するぐらいの変化が必要なのかも知れない。
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[速報] 福田首相、辞任か?

9時半より、首相官邸にて記者会見の予定。
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2008年08月30日

公正な金融検査を望む

新銀行東京の第1四半期決算が29日開示された。
経常収益18.9億円、経常損失36.4億円、四半期純損失37.2億円という結果だった。
銀行は、ほぼ見込みどおりとの説明のようだが、経常的な見入りが18.9億円に対して、かかった経常費用55.3億円ということだから、悲惨というほかない。

新銀行東京には現在も金融庁による金融検査が行われている。
5月中旬から検査官が入り、いわゆる「ラインシート」などにより、債権の健全性ほかがチェックされる。
7月末には検査官は引き上げたというが、検査は、検査結果が銀行へ説明されるまでは終了とはならない。
検査結果として今回、最も注目されるのは、言うまでもなく金融庁による資産査定結果だ。
個々のラインシートについて、金融庁による査定がなされると、銀行側はその査定結果を受け入れ、次の(四半期)決算期にその変化を反映することになる。

通常は、銀行自身による査定よりも、金融庁による査定の方が厳しくなる。
銀行とは、カネを貸して儲けが出る商売だ。
自ら債務者格付けを厳しくすれば、自ら貸出先を失うことになりかねない。
貸すかどうかは別として、債務者格付けは「正常先」にしておきたい。
そこに生じうる甘さを、金融庁は正してくれるという仕組みだ。

7月末に引き上げながら、8月末を迎えても資産査定結果がフィードバックされないというのは、やや長いような気がする。
しかし、ここにも金融当局らしい、銀行や金融市場への配慮がある。
不良債権とされる債権が増えれば、「要注意先」以下の債権で回収可能額を超える部分が損金とされ、損益が悪化する。
8月末に決算開示を予定している銀行に、8月下旬にフィードバックするというのは、決算作業上、酷だ。
銀行がフィードバックを検証し、対策を講じる時間を与えてあげないと、社会から過剰反応を受けてしまう危険がある。
また、それが、金融市場全体にも悪影響を与えかねない。
新銀行東京については、全体から見れば、瑣末でレベルの低い問題のはずだったが、昨今のマクロ経済の停滞を鑑みれば、万全を期しておきたい。

また、検査結果についても、恣意性がないとは言えない。
万が一にも金融市場に悪影響を与えないよう、ある程度の幅で、資産査定に匙加減がありうるのも事実だろう。
1999年の金融危機においても、そのような匙加減があったと聞くし、むしろ、匙加減なく杓子定規にやったとしたら、そちらが責められるべきかもしれない。

さて、ここで、一つ注文しておきたい。
国政では解散風が吹いている。
次の衆議院選挙は、政権交代、2大政党制の進展という意味で、歴史的な意味を持つような重要な選挙かもしれない。
その重要な選挙を控え、与野党ともにバラマキ合戦、人気取りに明け暮れている。

新銀行東京の資産査定については、ゆめゆめ国政に影響されないよう願いたい。
言うまでもなく、都知事は自民党に近い政治家だ。
そのような構図から、選挙前の資産査定に横槍が入ることは、決してあってはならない。
新銀行東京の資産評価額は、上期決算で、地方銀行並みの計上基準に合致させねばならない。
この問題は、単に都だけの問題ではなく、日本の金融秩序の維持の問題でもある。

そうすると、新銀行東京の上期決算はどうなるだろう。
現在の予想では、経常収益34億円、経常損失73億円、中間期純損失73億円とされている。
これは、第1四半期をほぼ横に伸ばした水準だ。
金融庁の資産査定結果は、自己査定よりは悪くなるだろうから、経常費用とするか、特別損失とするかは別として、第2四半期に損失計上が予想される。
つまり、この中間期予想は下方修正となる可能性が高い。
追加資本注入の前提であった計画値が下方修正となれば、再び責任を明らかにしなければならなくなる。

都民の財産が、都知事と都議会の道楽に費消され、だらだらと、責任追及という不利益な手続きさえ生んでいる。
責任追及は利益こそ生まないが、やらねばならぬことだからしかたがない。
しかし、無駄は無駄。
誇りと良心を有する当事者たちが、自ら、自己の責任を真摯に受け止め、傷を大きくするような問題先送りを取りやめることを願う。
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2008年08月23日

「証券マル優制度」の時限爆弾

本日の日本経済新聞1面に「証券マル優制度」についての記事があった。
2009年度の税制改正要望案に、高齢者の株譲渡益について500万円以下を非課税にするというものだ。
「貯蓄から投資へ」という経済政策、お金を持っているのは高齢者という現実を踏まえると、当たり前のようにも感じられる。
しかし、ここには大きな落とし穴がある。

株式投資というのは、運用成績がマクロ経済の影響を強く受ける。
そして、マクロ経済は循環している。
だから、株式投資の成果も波を打つ。
言うまでもなく、貯蓄とは異なり、大きくマイナスとなることもある。
だからこそ、株式投資は長期投資を前提とすべきだ。
換言すれば、短期・中期での運用成績の変動を時間的に平均するということだ。

こう考えると、株式投資に向く世代というのは、実は若年層である。
若ければ、幾つかの景気循環の波を平均化する機会が与えられるからだ。
一方、高齢者というのは、平均すれば、蓄えた資産を切り崩して生活する世代だ。
投資を換金した現金は、生活費にあてられる。
かならず、使わなければならないお金を株式投資からの回収で賄うのはリスクが高すぎる。
大きな損失を出すのが分かっていても、株を売っていかなければいけなくなるからだ。
もちろん、安定的な配当で生活できれば理想だが、配当だけで生活できる人は稀だろうし、そもそも、配当にしても経済環境の影響を受ける。

証券マル優を、今、導入するなら、リスクの表面化には時間がかかるだろう。
今は、株式市場が低迷期にあるように思われるからだ。
ここから、それほど大きな市場下落が起こるとは、現状では予想されない。
(もちろん、公的機関が保有する株式を売却し、その受け皿が高齢者になるようなことがあれば、早い段階での問題表面化もありうる。)

高齢者の税制優遇、国内金融市場の振興と聞けば、聞こえはいい。
しかし、注意して考えたい問題だ。
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2008年08月22日

経済産業省の「研究法人」法案の執念

本日の日本経済新聞の1面トップは経済産業省が主導する「研究法人」の法案が来年にも国会に提出されるとの記事だった。
この見出しを見て、首をひねった企業関係者も多いだろう。
記事によれば、共同研究などのVehicleとして、税負担を軽減し、会社組織への転換も可能な形態を用意したいとの趣旨だ。

ここで思い出すのは、3年前の新会社法の公布時に議論された、合同会社と有限責任事業組合だろう。
このうち、有限責任事業組合は、欧米でのLLPに相当するもので、
 ・組合であるため法人格を有せず、事業活動の幅に制約
 ・事業化フェーズにおける法人への転換が煩雑
などの課題がある。
一方の合同会社は、米国でのLLCに相当するもので、
 ・法人格を有する
 ・株式会社への転換が可能
とされる。
合同会社がある日本で、なぜ、研究法人か?

それは、言うまでもなく、税法上の問題だ。
米国のLLCが普及したのは、出資者がLLCの損益の出資割合分を自己の損益へ取り込める「パススルー課税」とされていたからだ。
新会社法の制定時においても、経済産業省は、合同会社にこのパススルー課税を実現させたかった。
しかし、税収減を案じる財務省からストップがかかり、パススルー課税の適用は有限責任組合のみに終わった。

今回の「研究法人」構想は、その復活折衝であろう。
法人の目的を研究開発に限定することで、税収へのインパクトを軽減し、パススルー課税を実現させようとしている。
経済が停滞し、景気刺激策が求められる中、今度は悲願が成就するのだろうか。
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2008年08月06日

中国が独占禁止法を施行、M&Aに関する指針を公表

中国初の独占禁止法が施行

8月1日、法案議決まで14年を要した中国の独占禁止法が施行された。

外資による買収の審査を強化するため、同法第4章では第3の独占行為である「事業者集中」について規制している。
事業者集中とは、:
 ・合併。
 ・持分、資産の取得により他の事業者を支配すること。
 ・契約などによる支配権の取得、決定的な影響力の行使。
事業者集中が国務院の申請基準に達する場合について、M&Aは事前申請が必要になった。

ただし、次のようなグループ内再編は除外する。
 ・当事者の1人が、その他の各当事者の50%以上の議決権を与える株式・資産を保有する場合。
 ・各当事者の50%以上の議決権を与える株式・資産が、当事者でない者に所有されている場合。

また、国家安全にかかわるような事業者集中は、同法に基づき審査を受けるのみならず、国家安全審査を受けなければならない。

同法規定に違反してM&Aを行った場合、当局は実施の停止、株式・資産の売却、営業譲渡、原状回復などを命ずる措置をとり、罰金を課すことができる。

ガイドラインの公表

独占禁止法が立法化されたことで、実質的に外資に対するM&A規制が厳しくなった。
施行が近づくにつれ、運用のガイドラインが示されないことに、外資系企業に不安感が募っていたが、5日までにガイドラインが国務院から公表された。

日本経済新聞によれば、公表されたガイドラインで事前審査の対象となるのは、事業統合において
 ・統合後の売上高合計が世界全体で100億元超、かつ、最低2社の中国国内売上高がそれぞれ4億元超の場合。
 ・統合後の中国国内売上高合計が20億元超、かつ、最低2社の中国国内売上高がそれぞれ4億元超。
多国籍企業では、かなりの確率で、売上高が1社だけでも100億元(1580億円)を超えるだろうし、中国国内売上高も4億元超(63億円)を超えるだろう。
大手企業同士のM&Aでは、ほとんどの案件が事前審査の対象とされることになる。
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2008年08月04日

総務省が推進する新しい自治体会計に日本公認会計士協会が待った

公共セクターの財政・効率が社会的問題とされる中で、自治体の資産・負債のバランス、費用対効果が把握しやすいようにという、公会計改革が進められている。
総務省は2006年4月「新地方公会計制度研究会」を設け、翌月「基準モデル」と「総務省方式改訂モデル」を公表したほか、「新地方公会計制度実務研究会」にて実務的な検討がなされた。
2つのモデルの内容は以下の通り:

基準モデル

・固定資産台帳からフェアバリューに基づきB/Sを作成。
・会計取引を発生主義で複式記帳にて作成。

メリット: 精緻で、時系列での比較が可能、予決算のシミュレーションも可能。
デメリット: 仕訳の負担(一括変換方式または都度変換方式)があり、1の取引に対し通常仕訳と財源仕訳を行う必要。

総務省方式改訂モデル

・これまでの総務省方式とほとんど同じ。
・売却可能資産から始めて、段階的に固定資産の内容を把握する。

メリット: 導入の負担が小さく、勘定科目もほぼ同じ。仕訳の替わりに「簡略法」もある。
デメリット: 固定資産の把握が完了するまで、行政目的別の勘定科目を用いるため、詳細なコスト把握ができない。


日本公認会計士協会が待ったをかけたのは、これらの内容が国際公会計基準IPSASと異なるため。
日本経済新聞で報道された主な論点は3点。

出納整理

年度内(3月まで)に収入/支出すべきだが未収/未払となっているものにつき、会計年度終了後の4-5月に,終了した年度の収入と支出の決済を行うこと。
年度間での貸し借りの温床だが、出納整理を前提とした法律も多く、解消には時間がかかると言われている。

固定資産評価

基準モデルでは、固定資産をフェアバリューで評価するよう求めている。
マーケットアプローチができない場合、コストアプローチが用いられる。
(公共事業の性格から、インカムアプローチはなじまないかも知れないため。)
売却可能資産でない場合にも評価増となるのは不合理との指摘がある。

税収の取り扱い

両モデルとも、税収を純資産へ算入する。
住民が自治体のオーナーであり、税収は「出資」にあたるとの、「位置づけの再確認」から決められた取り扱い。
公会計改革の目的の一つが、自治体の費用対効果の把握にあるとすれば、入り(税収)と払い(予算の執行)が対応関係にならないのでは目標を達成できまい。
「位置づけ」についての精神は共感するが、精神と効用が一致するよう、柔軟に対応すべきだろう。
極端な例えで言うなら、民間企業が株主に製品・サービスを有償供与したからと言って、その対価全額を資本直入せよということには絶対にならないだろうということだ。
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2008年07月30日

WTO決裂を多様な観点から見るべきではないか

世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の閣僚会合が決裂した。
自由貿易の守護神、WTOでの交渉決裂である。
毎日新聞によれば、町村信孝官房長官が、
米国と対立した中印両国の交渉姿勢に関し「自国の利益を重視するあまり、世界経済全体を一体どこまで考えたのかと率直に(言って)、疑問なしとしない」と批判
したという。
なるほど、現在の日本政府の見解としてまったく妥当なものだ。
しかし、私たちは、いつも自由な視点を維持したい。

この話を聞いて、素朴な疑問を持つべきポイントがある。
世界の人口は約67億人、うち中国が13億人、インドが11億人。
一方、米国は3億人だ。
世界の人口の1/3超を占める2国が誤りで、1/20に満たない米国が正しいのか。
日本も所詮、先進国の論理を振りかざしているに過ぎないのではないか。

以前、グローバル化の是非というコラムを書いた。
グローバル化はマクロには世界を豊かにするが、ミクロには豊かにするとは限らないという趣旨だった。
米国の宣伝する自由貿易主義、もう少し広くグローバル化を推し進めることが、どこかで格差社会を生む危険をはらむことは、この数年、日本人が肌で感じていることではないか。
豊かな日本の中でも、貧しくなる人、豊かになる人が生まれる。
困るのは、貧しくなる人だ。
貧しくなる人に、
 自由貿易に貢献したのだから、貧しさに胸を張れ
と言ったところで胸を打たないし、そう言うことも適切でないだろう。

日本の中でも自由貿易やグローバル化で不利益を受ける人が多くいる。
悲しいのは、富が偏在したがることであり、往々にして、数の上で、幸福になる人より不幸になる人の方が多くなることだ。
それを国際社会で見れば、豊かな国より貧しい国の方が数が多いし、人口も多いということになる。
その人たちに「世界経済全体を一体どこまで考えたのか」と述べたところで、滑稽な響きさえある。
後を追う国々は、欧米や日本のような先進国が世界から収奪した後の世界で、ささやかに発展しようと願っているだけだと思っているだろう。

日本は対米貿易で支えられる国だから、国際社会で米国に尻尾を振ることはやむをえない。
しかし、日本人ひとりひとりは、本質がどこにあるのかをきちんと認識し、罪の意識に耐えながら生きていくぐらいの誠実さを持ちたいものだ。
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2008年07月29日

「有識者」が勧告する日雇い派遣の禁止

28日に開催された厚生労働省の有識者研究会が、労働者派遣制度の規制強化についての報告書をまとめたと報道されている。
これまで規制緩和の方向に進んできた労働者派遣制度だが、一旦足を止める時期にきたように感じられる。
規制緩和一方だったところに、節度を求めるという意味で、報道されている規制強化策には評価できる点が多い。
一方で、現実の企業経営・産業インフラの維持という観点から、あまりにも割り切った提言と思える点もある。
主なものは、日雇い派遣の禁止だ。

規制強化策では、
・日雇い派遣、30日以内の派遣を原則禁止
・派遣料金の中の派遣会社収入の公開を義務化
とされている。
これらは、あまりにも企業活動を無視した内容のように思える。

短期の派遣が労働者の権利を奪い、安定した収入から遠ざける事例が多かったのは事実だろう。
たとえそれが労働者自身の希望であったとしても、社会としては問題と考えることはできる。
しかし、それが問題だから、それを禁止すればよいのか。
問題があるなら、どこまでもそれを回避するルールを模索すべきではないか。

近年、日雇い派遣にともない、数え切れないほどのスキャンダルを起こした、あきれた企業があった。
残念ながら、その企業が業界最大手であった。
しかし、そのことにアレルギーを起こしてはいけない。
ダメな企業が生んだ、起こるべくして起こった業務の問題であったにすぎないかも知れない。
すばらしい企業が営めば、あるいは、一定のルールがあれば起こらない問題だったかも知れない。
少なくとも、腰を据えて、それを試すべきではないか。

厚生労働省の淡白な取り扱いは、あたかも、アレルギーにかかった者が、性急にある産業を切り捨てることで解決を図ろうとするように見える。
その過程で、今まで社会から容認されていた企業価値が消滅し、利用していた産業側にも不便が及ぶこととなる。
本来、求めるべきは労働者の保護であり、その周辺にあるべき配慮が産業インフラの維持であるはずだ。
産業側に問題があったなら、それを改めさせる土壌を作ってあげるのが先決ではないか。

また、派遣会社収入を公開しろと言うのもどうだろう。
あたかも、大学生に、授業料中の個々の教授給与を公開すべしというのに似ている。
販売する側は、顧客に対して原価構成を開示する義務を負うべきだろうか。

なんのための「有識者」か、と感じてしまったのは筆者だけだったろうか。
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2008年05月22日

近畿産業信用組合が新銀行東京支援に名乗り

MKタクシー創業者の青木定雄氏が会長を務め、普通銀行への転換を目指す近畿産業信用組合が新銀行東京の支援に名乗りを上げた。
業務提携先、営業譲渡先になることを視野に入れているという。

新銀行東京は創業3年間で1,000億円規模の損失を積み上げた。
2007年3月末の近畿産業信用組合の純資産は312億円に過ぎない。
信組の心意気は買いたいが、とうてい新銀行東京を引き継ぐ母体にはなりえない。
新銀行東京を破たん処理できないのは、事業継続が必要な部分があるからだ。
仮に営業譲渡としても、財務体力の規模が十分でない金融機関は対象にならないだろう。

財務体力のある大銀行にはNoを突きつけらた東京都がどう対応するか、注目される。
posted by 浜町SCI at 22:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 政治

2008年05月08日

都政には引き返す勇気を

新銀行東京の増資で揺れた東京都に、別のショックが訪れた。
築地市場移転予定地の土壌の一部から、発がん性とされるベンゼンが予想を超える濃度で検出された。
従来670億円の土壌改良費用を見込まれていたが、これが1000億円以上に膨らむ可能性があるという。

予定地は東京ガスの都市ガス製造工場跡地であり、2006年2月13日の東京都知事から中央区長あて回答では「土壌汚染については、汚染原因者である東京ガスの責任により処理を行う」とされている。
方針に変更がなければ、売り手である東京ガスの負担が増すことになる。
この「売り手負担」は、工場跡地の売却において通常行われる取り決めだ。
しかし、東京ガスはどう感じるだろう。
売却する土地の用途が生鮮食品市場でなければ、ここまでクローズアップされることもなかった話だ。
処理費用を膨らませることはあっても、減らすことはない土地の用途だろう。

東京都は老朽化が進む築地市場を移転させ、誘致を目指すオリンピックのためメディアセンターを建設する予定だ。
しかし、この意向はどれだけ都民の指示を受けているのだろう。
果たしてどれだけの都民が、オリンピックを誘致したいのか、築地市場を移転させたいのか。

筆者は現実主義者だから、感覚的な反対を述べるつもりはない。
たとえ土壌に有害物質があっても、建屋に十分な手当てを施せば食品を扱うことは不可能ではないだろう。
そもそも、生鮮食品を現場の土や地下水と接触させることを前提とするような施設ではあるまい。
また、築地市場が老朽化している以上、なんらかの手当てが必要だし、最も単純な解決策は新しい場所への移転であることもそのとおりなのだろう。
だから、移転にヒステリックに反対するつもりはない。
さりとて、すでに東京の文化の重要な一部となっている「築地」の幕を引くほどの理由も思いつかないのである。

かつて青島元都知事が都議会の大反対を押し切って世界都市博を中止したことが思い出される。
石原都政が末期になって、数多くの失政を露呈するにしたがい、記憶が鮮やかになっていく。
都議会は所詮、箱物建設が好きな政治家の集まりだ。
支持者の中小建設業者のご機嫌取りに回ってしまう。
しかし、都民の意思は別のところにあるのではないか。

都政は新銀行東京について反省するなら、引き返す勇気を持ってほしい。
まず、都民が東京オリンピックを望んでいるか、もう一度確認すべきだ。
その上で、築地市場を移転すべきか、移転先をわざわざ土壌汚染のある土地とすべきか、熟慮してほしい。
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2008年04月21日

不健全な与野党の勢力争い

本日の日本経済新聞では、同紙の世論調査の結果、内閣支持率が29%に低下したことが報じられている。
政策が何も進まない現状ではやむをえまい。
しかし、野党第一党の民主党の主張も、あまりにも愚民の人気取りに見える。
本当に庶民は愚民なのか。

同世論調査でのガソリン暫定税率についての回答が興味深い。
・上乗せをやめたまま今のガソリン価格を維持する:42%
・上乗せを再開し一般財源として道路整備以外に使う:39%
税金を軽く済ませたいというのは、いつの世にも庶民の願いだろうから、上の42%は「さもあろう」数字だ。
税金を軽く済ませたいという庶民感覚がバイアスになっているから、当然に数字が大きくなるのだろう。
しかし、「上乗せを再開して一般財源化」の39%は注目に値する。
多くの庶民が、自分たちの税金の負担を重くしても、一般財源化という方向を望んでいるのである。
逆のバイアスを跳ね返して、これだけのパーセンテージとなったことは、日本の庶民の見識を示すものだろう。

かつての小沢党首は、世の中から嫌われようと自分の信じる政策を推し進める、政治家だったように思う。
今は、二大政党制への最後のチャンスを生かすため、なりふりかまわず人気取りに徹しているように見えてしまう。
あたかも、国会は、自民党が2つになったようだ。
こういう言い争いを聞いていると、「衆議院が解散されても、国政は望ましい方向に進むだろうか」と心配になる。
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2008年04月11日

日銀総裁人事にかかわるメディアの過剰反応

日銀副総裁人事が決まらない
興味深いのはメディアの反応だ
「日銀人事を政争の具とするのはけしからん」という風だ
日銀総裁人事は自民党が財務省出身者を推し、民主党が拒絶するという展開だった
衆議院は政府提案を可決し、参議院は否決した
確かに政争の具でもあったのだろう
しかし、この経過に本質論のかけらもなかったのだろうか

金融経済の知識・経験という観点で言えば、日銀の方がはるかに財務省より人材が厚い
特に大蔵省が財務省と金融庁に分割されてから、財務省は予算分配の組織という色が強くなった
ならば、財務省出身者を日銀総裁とするロジックは弱い
中央銀行と財務省が密接な意見交換を行うのは必須のことだ
しかし、それは総裁ポストを定期的に確保するというのとは別の話だろう
このような視点で見ても、財務省出身者が日銀総裁となるのは「天下り」と言われてもしかたのないものだった
出身によって人材登用が一律に拒絶されるのも妙なものだが、恒久的に財務省出身者を拒絶するものでなければ、それは相応の理屈ではないか
結果はどうあれ、国会でそのような議論がきちんと行われたことを評価したい

候補者が差し替えられるに連れ、民主党内に亀裂が生じかけたことも批判された
メディアとは不思議なもので、あたかも政党とは一枚岩でなければいけないとでもいう言い分だ
党内に様々な意見があり、話し合いによって統一されるプロセスを否とする理由があるのか
独裁国家でも望んでいるのかと疑いたくなる
もっとも、その場合の独裁者とは自メディアそのものなのだろうが

日銀は景気と為替について、かつてなく重大な課題を負っている
今回は幸い緊急事態ではなかった
政策金利による金融調整は効きにくいほどの低金利になってしまっているし、市場への流動性供給について尖鋭な対立のある時期でもない
為替は注視が必要な水準にあるが、大幅な変動を放置するような可能性のある状況でもない
目先の仕事については、方向性は見通せている
問題は長期的にどう円を守っていくか
国家のファンダメンタルズに照らして、どのようなシナリオで円相場を導き、政策金利を通常の水準に戻していくか
新総裁に期待したい
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